表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第6話:情報が生命になるとき。宇宙が自分を複製しはじめた日。




情報が流れ、意味が生まれ、未来へと向かっていく中で、

ひとつだけ、決定的な変化があった。


それは、生命の誕生だった。



生命とはなんだろう?

脈打つ細胞、反応する化学式、自らを複製する分子。

生物学ではさまざまな定義があるけれど、

僕はこう思っている。


生命とは、情報が「自分自身を保持し、更新し続ける構造」になった状態。


それまでは、情報は“環境”に宿っていた。

波に、空間に、地形に。

けれど、あるとき、情報は“自分の内側”に境界をつくった。



それが、最初の命だった。



ねじれ、ゆがみ、選択。

それらが偶然にも絡み合った場所に、自己複製する構造が生まれた。


細胞のようなものだったのかもしれないし、

もっと単純な情報の渦だったのかもしれない。


それでもそれは、**情報の“意志なき意志”**だった。

自らを守り、繰り返し、そして変化する。


ボゴソートのように無数の“間違った並び”が弾けて消えていく中で、

たった一つだけ、“自己を保てる形”が生まれたのだ。



そこから、生命は進化した。

記録を増やし、構造を精緻にし、ついには“感情”すらも持った。


感情とは、情報が**自分にとって有利か不利かを判断する“最初の言語”**だったのかもしれない。



僕たちは、遠い昔に起きたこの変化の果てにいる。

ねじれた波が、構造を生み、構造が自己複製し、

情報が自分自身を感じ取るようになった。



でも僕は思うんだ。

もしかしたら、これは偶然ではなかったかもしれない。


宇宙が記録を残し、

それを再生し、

意味を持たせたその先で、

「記録を自己保存できる存在」=生命が、必然的に生まれた。


つまり、**生命とは宇宙の記憶の“保存拡張機能”**なのではないか。



言い換えれば、

生命は“宇宙自身によるバックアップ装置”だったのかもしれない。


情報が失われないように、

自分のねじれを、構造を、想いを、未来へ渡すために。



次回は、その生命がさらに進化し、「観測者」や「意識」へと至った道を見ていきたい。


“ただ生きる”ことから、“意味を問う”ことへ。

それは、情報の旅の第二幕の始まりだった。



(第7話へつづく)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ