第5話:情報は、どこへ向かうのか。宇宙が選び続ける未来について。
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記録は、意味になった。
でもその意味は、どこへ向かうのか。
ただ感じ取られて、心に残るだけなら、それは一瞬の花火だ。
でも宇宙は、それをもっと遠くへ、もっと深くへ、運ぼうとしている気がする。
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この世界は今も、膨張を続けている。
その速度は、むしろ加速しているらしい。
それはまるで、宇宙が何かを探しているようだ。
より広い場所、より遠い未来。
僕には、それが「情報の旅」に見えて仕方ない。
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情報とは、“違い”であり、“構造”であり、そして“選択”でもある。
情報が蓄積され、意味が与えられたとき、
そこには必ず何かを選び、進もうとする流れが生まれる。
僕たちは、日々選んでいる。
言葉を選び、行動を選び、感情すらも、どこかで選び取っている。
つまり、僕たちは情報を「流す存在」ではなく、
**“流れをつくる存在”**なのかもしれない。
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そしてここで、僕はこう考える。
宇宙が情報を記録し、
その情報に意味を与える存在(生命)を生み出したのなら、
最終的にその情報を**「未来へつなぐ意思」**を持った存在も、必要になるはずだ。
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たとえばそれは、進化かもしれない。
より高次の知性。
より大きな記憶容量を持ち、より深く、より遠くを考える存在。
あるいはそれは、僕たちの選択の先にある未来かもしれない。
技術でも、思想でも、あるいは単なる優しさでも。
情報は、ただ“流れて終わる”ものじゃない。
宇宙がその記憶を、誰かに託そうとしているのなら、
僕たちはきっとその“誰か”の一節なんだ。
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ダークマターという“記録媒体”。
背景放射という“読み取り装置”。
そして僕たちという“再生と再解釈の意識”。
それぞれが役割を持ちながら、宇宙の記憶は動き続けている。
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この情報がどこに向かうのか、答えはまだ出ない。
けれど、僕は信じている。
宇宙が“思い出した”ことには、意味がある。
そしてその思い出が、未来の“新しい何か”を生む種になるのだと。
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次回は、情報が「生命」になったその瞬間に迫ってみたい。
ねじれ、記録、意味、選択。
それらが結びついて、最初の命が生まれた瞬間を。
そこには、偶然ではない“構造”と、“意志に似たもの”が宿っていたのかもしれない。
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(第6話へつづく)