73.摘み食い
疲れた体には甘い物!…そう言い張る桜井と疲れたから何もしたくない僕。
僕達2人ならなんだかんだ僕に甘い桜井が折れてくれる事もあるのだけど今回は僕ら以外に四つ葉くんと二葉ちゃんもいる。
そう、つまり多数決で桜井意見が採用され甘い物を作る事になった。
「僕としては疲れてるなら温かいスープとかが良いと思うんだけど…」
「ならスープも!!甘いのとしょっぱいのは交互が最高だからな!」
「それ、組み合わせ合うの?チョコとポテトチップスじゃないんだから…」
湖から離れ精霊の森を歩きながら、四つ葉くんや桜井が行う植物採取を眺める。
時折魔法で洗浄した木の実を僕の口に放り込む桜井は楽しそうだけど甘かったり酸っぱかったり味の落差が激しい。
「なにこれ…無茶苦茶美味しい。」
「お!当たりか!」
「これ、なんていう木の実?」
「ん?南雲の口に放り込んだ木の実は全部同じ木の実だぞ?ランダムの実っていう名前通り味がランダムな木の実だ。」
「前もランダムな食べ物あったよね?こちらの世界はランダム系の食べ物が育ちやすいの?」
「この世界を作った神様って気まぐれでね、当時運も大事だよな!!とか言ってランダム性を取り入れたらしいよ。食べ物以外だと種族面とかもランダム性がある。違う種族同士がくっついた際、子どもが必ずしも母親の種族とは限らないらしいし…」
「会ったことない神様だね。その方は今何されてるの?」
「魔王城を作りたいとか言ってダーツで場所決めてたって話は花様から聞いたけどその後は知らないな…まぁ本来滅多に会えない方だし、存在を知っておくだけで良いと思うぞ。」
話しながら口に放り込まれたランダムの実を噛む。
うわぁ…さっきの木の実の味ぶっ飛ぶくらい不味い。
歯応えはグニュって感じで生臭いし苦い。
「ブハッ…どんだけ不味かったんだよ!」
「放り込んできた桜井の鼻に突っ込みたいくらい生臭くて、桜井の口に溢れんばかり詰め込みたいほどに苦い味だよ。」
「…殺意高めだな?」
「笑ってごめんなさいは?」
「あー…笑ってごめん。」
「いいよ。それより早く口直ししたいし、家入ろうよ。」
「おう!早く甘い物食べよう!!」
「まずは何があるか確認してからね。」
「分かってるって!」
僕らは並んで精霊の森にある家の扉を開けた。
家に入って櫻井がトイレに行ったタイミングで四つ葉くんに教えて貰ったんだけど、桜井はこの道のりの間、僕にはランダムの実を食べさせて自分は甘い蜂蜜草の実という果実をバレないようにこっそり食べていたらしい。
ずるいよね?
だからトイレから出てきた桜井に笑顔でお願いして僕は残りの蜂蜜草の実を出して貰って桜井の目の前で全部食べる真似をしたんだ。
甘くて美味しかったし、後味があの不味い味じゃなくなってホッとしたよ。
全部食べられたと思ってしょげた桜井に独り占めは駄目だよ?って教えて咄嗟に隠した蜂蜜草の実をみんなで食べる。
さて、桜井の機嫌が戻ったらおやつ作りをしようかな。
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次も南雲視点を予定しています。
キーワードは『ジャム』




