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7.目覚めドッキリ


「んん…」


今は5月なはずなのにこたつの中にいるような温かさ。

ほどほどに温かくてふわふわで。

うとうと目を開けたら1番先に目に入ったのは熊。


「〜〜〜ッ!?」


叫ぼうにも喉はカラカラで思うように声が出せないし何故か動けない。


現状を把握しようとゆっくり頭だけ動かし目線を動かせば右隣に熊、左隣も熊、お腹周りはうさぎやらリスやらがたくさんいた。

これは動こうにも動けない。

しかもなんか頭重いなって思ったら妖精姿の桜井が寝ぼけて張り付いていたらしい。

頭を動かした時になんかボテって落ちてきた。


「いってぇ…なんだぁ?あ、南雲起きたのか!」


「…桜井、あんま大きな声出さないでよ。熊起きる!」


小声で指摘すると桜井はニヤニヤ笑って俺の右隣で寝ていた熊にちょっかいをかける。

…背中からドバッと汗が噴き出た。

桜井が猫じゃらしを持って熊に絡んでる時点で嫌な予感しかしない。


「ちょ…桜井!それやめてよ!!」


「くま坊〜起きる時間だぞ〜♪」


「いや、起きたらどうするの!?」


熊の鼻先を猫じゃらしでスリスリする桜井にイラっとするがあまり大きな声を出せない僕はせめて少しでも動けるように…とお腹や足に乗っていた小動物を両手で優しく動かす。

幸い動かす時に暴れる子は居なくて残り3匹となった時両端が動く音がした。


「……桜井?まさか本当に起こしてないよね?」


恐る恐る横を見れば熊の口元に桜井。

袖で目を擦ってまた見る。

やっぱり熊の口元に桜井。

口元は動いてないけど桜井は熊に咥えられてる。


……やばいやばいやばい!!

ちょっかいかけて起こして食われるなんて自業自得だけど!!

でも友達が食われそうになってるのを僕は放置出来ない。



「…あの!くまさん!」


「………………。」


「さっ…桜井を返して、ください」


怖くて声は震えるしだんだん小さくなっていくのは仕方ない。

今は見えないけど桜井が猫じゃらしでちょっかいかけていた時に鋭い尖った歯も見えたんだ。

怖くないわけない。なんなら漏らしそうなレベルだ。

だって僕より大きい熊が2匹。

寝てる時は襲われなかったし、死んだふりした方がいいかも…とか考えたけど桜井は食われかけているわけで。

もしも何とか桜井を引っ手繰ったとしても足元にうさぎがいるしもう1匹熊がいる。

土地勘も無ければ花畑に武器なんて物も無い。

せめて桜井が起きれば…またはいつもの冗談ならば…そう想いを込めて声を掛ける。



「…桜井?わざとだよね?」


「………………。」



視界が歪む中後ろからぎゅっと抱きしめられた手は熊の手。

この時点で僕の頭のキャパオーバー。


それはもう赤子の様に泣いた。


閲覧ありがとうございます。

次の話も南雲視点です。

キーワードは『仲直り』

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