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35.僕の相談

ぬいぐるみの部屋の後はカメラ部屋、物作りの部屋、うちわ部屋あとは僕やお父さんが描いたであろうイラストとか夏休みの自由研究とか色々ある部屋を巡り、公園にあるベンチに座る。


「ちょっと疲れた…」


外見は日本にある家と全く同じなのに部屋数も部屋の広さも精霊の森の家の方が大きくて思っていたより探索が大変だったのだ。


「桜井、ラスク出して。」


「はーい。」


「桜井も食べていいけど二葉ちゃんと四つ葉くんにもラスクあげてね。味はガーリックと砂糖バターの2種類だから喧嘩しないで食べて。」


「分かってるよ。」


「わぁー!良い匂い!!ありがとう!!」


「食欲そそられますねー…ありがとうございます。」


袋詰めにしたラスクを手に取り一口齧る。

サクッとした歯ごたえにオリーブオイルとニンニクの香りが口一杯に広がり食べる手が止まらない。


サクッザクッ…サクサクッ…


みんな無言で食べ続けあっという間に完食。

桜井も精霊2人も袋の底を悲しそうにしょんもり見つめていて仲良しだなぁって思った。


「また時間がある時に作るからその時まで我慢してね。」


「うぅ…もっと味わうべきでしたぁ…」


「南雲さん、次はもっとたくさんを希望します!!」


「なんか食べ始めたら止まらなかったんだけど!!次作るときは手伝うからお代わりも多めな!!」


「はいはい。」


数ヶ月前のどんよりした気持ちが今は落ち着いていてここ数日は草花を楽しむ余裕もある。

祖父母の後を追おうか悩んで次とかまた明日とか口にするのが辛かった過去が嘘みたいだ。


「あ、桜井。」


「何ー?」


「僕さ、儀式受けるよ。精霊か妖精かはまだ決めてないけど。」


「えっ…?」


「夢でおじいちゃんとおばあちゃんに会ってさ…2人が数十年後とかに花精霊として転生してくるみたいなんだよね。だからおかえりなさいって言いたくて。」


「夢の話だよな?」


「夢だったけど夢じゃなかったよ。うーん…なんていうか僕の想像の2人じゃなくて2人そのものだったから。数十年後ってのが100年近かったら厳しそうだし儀式する方が良さそうだなって。」


「まあ人間は短命だしな。」


「こっちの世界の人の寿命は知らないけど日本人は比較的長生きなんだよ?たしか、80歳くらいだったかな?」


「やっぱ人間って短命だな。」


「比べる対象が違いすぎるでしょ…」


これが妖精と人間の感覚の違いだろう。


「まあ南雲には妖精になって欲しい思いは強いが南雲が決める事だしな!」


「…どっちも選べたら良いのに。」


「ん?どういうことだ?」


「だから妖精であり精霊でもある…みたいな。」


「それは欲張りな選択肢だな!」


「良い案だと思ったんだけどな。」


多分どちらを選んでもみんな僕がそう決めたなら良いと思うって言ってくれると思う。

だからこそ妥協無く欲張りたくなった。

先程の僕の話を聞いて桜井が少し悩んでから何やら二葉ちゃんと四つ葉くんと内緒話をし始める。


「仲間外れ、やだなー…」


きっと話しているのは僕の事だしちゃんと知りたい。

それに後から色々知るのって結構精神的に疲れるし…

チラッと1番揺らぎそうな四葉くんの方を見る。


「…さくらくん。」


キョロキョロ目線が合わない様に彷徨わせ視線に耐えきれず桜井に助けを求める四つ葉くん。

桜井からそれはずりぃぞ!!とか目で訴えられたけど僕は気付かないふりをした。



「昔、居るには居るんだよ。妖精と精霊掛け持ちしてた奴。」


「えっ…」


「妖精も精霊も他の種族と比べれば大差無いしな。やり方はどちらかの儀式を受けた後にもう片方の儀式を受ければ良い。」


「それならなんでそんなに微妙そうな反応なの?」


「今まで掛け持ちしてた奴は皆魔力保有量が少ないんだ。魔法の連続使用は消滅に関わるくらい魔力が少ないから魔法は使えないと思った方が良い。」


「なんだ、そんな事か。」


「そんな事って…魔法がまともに使えないんだぞ??」


「今だって魔法使えないし。」


「あ……」


「確かに魔法は便利そうだけど桜井そばにいるし僕ができなくてもいっかなって。精霊の森にいる間は二葉ちゃんと四つ葉くんが対応してくれるだろうし。魔法が使えないのは残念だけど大丈夫だよ。」


その言葉に皆ハッとして魔法は任せて!と言ってくれる。

頼りになる友達が多くて有難いよね。

桜井はいるけど学校でもこんな友達が出来たら良いな。


「あ、儀式は早めにしたいけど、僕の周囲の人達の記憶を弄るのは高校卒業してからにして欲しいな。」


せっかく入学したから最後まで通いたいし。


「いつ儀式する?明日とかでも出来るけど。」


「ならゴールデンウィーク最終日にしようかな。」


「分かった。両方の森と神様に報告しとく。」


「ありがとう、よろしくね。」


そんなに長い間話していたわけじゃないけど、言いたいことを言えてすっきりした気がする。


「じゃあ無事相談も出来た事だし!そろそろおじいちゃん美術館行こう!」


ベンチから立ち上がって僕はみんなと一緒に美術館へ足を運んだ。

ご覧頂きありがとうございます。


次は南雲祖父視点の閑話を書く予定です。

キーワードは『孫とお出かけ』。


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