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11.桜井の家


連れて来られた場所は洗面所だった。


「桜井、お前こんなとこ住んでんの?」


目に入ったのは洗面所の隣にあるお風呂場。

首を傾げて聞くと目をぱちぱちさせた桜井が笑う。


「流石にお風呂場ではないよ。俺は水系の妖精じゃないから風呂場生活はふやけてしまう。クリーンで綺麗にしてもいいけど今日はたくさん考えたり泣いたし風呂でさっぱりしたいだろう?」


寝る準備しなきゃな!とまたわしゃわしゃ僕の頭を撫でた桜井が洗面所を出て行ったのでお風呂に入ることにした。

今日は大泣きしたからか今日の桜井はお兄さんモードらしい。




お風呂から上がるとちょっと耳が欠けたうさぎさんりんごを渡され交代で桜井が風呂場へと向かう。


シャクシャクシャク…


今日は色々あって精神的な面で色々疲れたけど湯船に浸かって一息つけば思ったより冷静な自分に気付いた。


「桜井が妖精でおばあちゃんが精霊でおじいちゃんが精霊界のアイドル…」


何となくしっくりくるような気はする。

あの桜井の妙に良い顔とかシワとか少しあるけど歳の割には若いおばあちゃんとか。

おじいちゃんはー…おばあちゃんが散々他の精霊達に自慢したのかなって。

昔は儚げ美形で可愛かったんじゃ!!勿論今の爺さんも素敵じゃが!!と力説しながらよく写真見せてきたし。

あとは精霊とか妖精とかあんまり知らないっていうのが大きいのかもしれない。


さっき桜井が説明していた要点が書かれている紙に僕、桜井、おばあちゃんとおじいちゃんそれから妖精の森にいたうさぎさんやくまさんに妖精さん達を描く。

鉛筆でささっと描いただけのイラストに花を描き足して完成。

…うん、ささっと描いた割には桜井より上手いんじゃないかな?


「南雲、絵上手だな!!」


「っ!?…いつの間にお風呂上がってたの?」


「髪拭きながら見始めたのは南雲がハナクマ描いてる辺り?」


「…全然気付かなかった。」


「家案内するからさ、歯磨いて寝る準備済ましてしまおう!」


りんごが入っていたお皿を台所に置いて2人並んで洗面所で歯磨き。

歯ブラシについては桜井、よく泊まりに来るから桜井用の歯磨きセットがしれっと置いてある。


「そういや桜井今日やけにお兄さんモードだよね。」


シャコシャコ歯磨きしながらふと思い出したことを口に出す。


「まあ婆さん達に南雲任せられてるし実際俺の方が年上だしな!」


「ん?桜井って4月生まれだっけ?」


「俺、誕生日いつか分かんねぇ。旅に出たのが50歳の時だったからえぇ…と今何歳だっけ?」


「…は!?っていうか聞かれても知らないよ!!」


「まあ妖精は長寿だからな!多分人間の歳にして南雲の1歳か2歳上くらいだって!知らないけど!」


びっくりして歯磨き粉飲み込みそうになったけど長寿なら気にしなくていい…のかな?

歯磨きを再開して嗽をする。

なんかあれだよ、桜井って時限式びっくり箱みたいな奴なんだよな。うん。








「まさかの家の中(ここ)。」


歯磨き終わって案内された場所、それはおじいちゃんの趣味部屋。

ドールハウスみたいな桜井の家はおじいちゃんの作った物を保管する部屋にひっそりと…ではなくドカンッて感じであった。


「爺さんが気まぐれで家具とか増やしてくれてたから充実してるんだぜ!」


いつか南雲に自慢したいと思っていたと語る桜井はいい笑顔。


「僕、この大きさの家ならお邪魔できないんだけど……」


いくら100歩譲って僕が男子高校生にしては小柄だとしても人形サイズでは無い。


「……そういえば南雲小さくなれないんだったな。」


盲点だったって顔の桜井。


「…仕方ないからこの家運んで僕の部屋でおじいちゃん達の話してよ。あといつまで僕の顔でいるのさ。」


「それも忘れてた。いやぁ、堂々と南雲の部屋入るの久々だわ〜。」


「待て待て待て、もしかして勝手に入ってた??」


「やっべ…聞かなかったことにしてくれ!!」


「まあそこら辺も後で話してもらうからね。」


「へーい。じゃあ運ぶからドア開けて。」


「…何にも持ってないならドア開けれるよね?」


「南雲がドアの方向いた隙に収納魔法で仕舞ったんだけど気付いちゃったか…」


「魔法使うのはこの世界ではこの家だけにしときなよ?」


「この世界では南雲に変身する魔法以外は元々この家の外では使ってないから大丈夫だぞ!!」


「安心出来るような出来ないようなセリフだね。」


僕は身に覚えのない話聞いたら最初に桜井を疑おうと心に決めるのだった。


ご覧頂きありがとうございます。


次も南雲視点です。

キーワードは『予定』。

爺婆っ子な柚ちゃんたくさん書きたいな(*'ω'*)!


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