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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

トルジアン・シージェイ

作者: 火之香

架空の国の話です。SFは始めて書いたので完全に作者の空想です。

 トルジアという国にある男がいた。大言壮語が癖のその男はいつもこの世に造れないものはない、と豪語していたためいつしかトルジアン・シージェイと呼ばれるようになった。


「トルジアの海のカケス」


 トルジアの海辺で育ちいつも騒がしかった彼はそのあだ名を面白がってついに、そう名乗るまでになった。


「海にカケスはいないから、俺はいつしか海辺を飛び回るカケス型ロボットを造れるってことだ!」





 そんなシージェイにはあまり知られていない別の顔があった。発明家だ。彼は今テレポート装置を制作中だ。円筒型のその装置はテレポートさせたい物体を中に入れ、場所を指定するとその場所に装置に入れた物体が現れることになっていた。


「さてと、装置の出来映えを見ることにするか。以前みたいにテレポートさせた瞬間にスマホが真っ二つなんて事態は回避できたからな。今度は生き物を入れてみようか。生体はまだだったな」


 辺りを見回すといつの間にか実験室の中にコガネムシが入ってきていた。シージェイはその虫をつまむとおもむろに装置に入れた。


「テレポートする場所は俺の机の引き出しにするか」


 虫を入れたと同時に装置を作動させると、中に入れたコガネムシは跡形もなく消えた。後はコガネムシがちゃんと机の引き出しに入っていることを確認するだけだ。


 実験室を出で自室に入ると何やら予測していない事態が起きたようだ。装置に入れたコガネムシがテレポートした瞬間に死んでいたのだ。


「干からびてるな。まるで死んでから何週間も経ったみたいだ」



 その後あれこれ改良を重ねた結果虫を生きたままテレポートさせることに成功したが、虫の様子がおかしい。動きに切れがなく衰弱しているようだ。


 しかしテレポートは成功したとシージェイは思い直し、自ら装置を試すことにした。虫はテレポートしたせいで弱っただけだと思うことにした。


「虫の体の構造が装置に耐えられなかっただけかもしれない」


 透明な円筒型のテレポート装置に入った彼は助手であるジェシカに装置を作動させるよう指示した。


「いいか。ちゃんと、俺がお前の前に出てくるようにしろよ」


「分かってますよ。後は先に入れた虫のようにならなければいいだけです」


「虫は確かに生きていた。それだけで十分だ!」


「……じゃあ、作動させますよ」


 彼女が装置を作動させたまでは良かった。しかし思いもよらないことが彼の身に起きてしまった。近距離にテレポートするよう装置を作動させたのだが、どういうわけか彼自身の体が彼の目の前にあったのだ。


「ど、どうなってる? なぜ俺が目の前に倒れてるんだ?」


 にわかに信じがたいが、彼自身の意識は装置の中にいたままだ。何故? 恐る恐る彼の手を見てみようとしたが何も見えない。体も見えない。どうやら、意識が体から脱け出してしまったらしい。でも、どうして?


 つんざくような悲鳴で我に返る。意識のないもぬけの殻になった彼の体が、ジェシカを襲って噛み殺していた。


 

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