第9話 表彰
ゴチン!
おやっさんの拳骨がソラツグの頭に落ちる。
「痛た!」
「なーにやってんだよお前は!」
「すんませんおやっさん。でもああするしか」
ゴチン!
拳骨がもう一発落ちる。
「でもも何も無いんだよ!お前に何かあったらお前の父さんや母さんに申し訳が立たないだろ!」
「・・・すみません」
「まあ無事で何よりだ。あんまり無茶すんなよ?」
「はい」
「今日はもう帰って休め。明日また来い」
「はい!」
次の日、学校。
「ソラツグ!何やってんだよお前!」
俺は男子に囲まれていた。
「ずるいぞお前!MTに乗って戦うなんて!」
「俺も戦いたかったー!」
男子たちは顔を近づけてくる。圧が強い。
「乗った感じはどうだった?操作は?」
「ゲーセンの筐体とほぼ同じだったよ。計器の種類と配置が違うくらい」
「そうか・・・地球軍や月面軍がパイロット適性者探索の為に、あのゲームを作ったって本当だったのか」
「そんな噂あったの?」
男子たちが頷く。
「ああ、軍も否定してなかったから隠すつもりも無かったのかもな」
「そうなんだ・・・」
そこにクラスの担任が入ってくる。
「おいソラツグ。お前何したんだ」
「どうしたんですか?」
「どうしたも何もない。市長から表彰式があるって話が来てるぞ」
「え?」
その日のソラツグの午後の授業は取りやめになり急遽表彰式が行われることになった。
市庁舎。
ソラツグは市長室にいた。
「ずいぶん急なんですね」
俺は疑問を口にする。
「急がせて済まない。しかし我々には時間が無いんだ」
「時間が無い?」
「そうだ。近々地球軍との戦争になる。その為に士気を上げなければならんのだよ」
「聞いておいて何ですけどそれ一般人の俺に話していいものですか?」
「どの道全ての月面住人にすぐに知れ渡ることになる。それに君の情報も入手してある。君はそれなりに信用のおける少年だ」
市長は振り返り、
「まあそういうことだ。では表彰式を始めようか」
そして表彰式が始まる。
市長のソラツグを称える言葉からはじまり、表彰状の授与、徽章の付与まで進む。その様子はTV中継で月面全土に放送された。地球の汚いテロに立ち向かった勇敢な少年として。ソラツグが地球人だということは伏せられていた。
そして表彰式が終盤になると一人の男性が市長室に入ってくる。
なんと月面総督だ!
それに驚いたのは市長の方だ。
「そ、総督。何故こんな所へ」
「なに。月面の英雄殿に用があってな」
総督はソラツグに向き直る。
「地球のテロリストに立ち向かった勇敢な少年、君を総督特権において第一師団のパイロットに任命する」
「は?」
ソラツグの口からは気の抜けた声しか出なかった。
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