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修行時代⁈のコト

修行・・・と言っても、落語家さんの様に家に住み込んでという修行ではありません。

望月先生の紹介で、池袋ミュンヘン店に出演させていただきました。

風船やジャグリングなどを中心に演じ、望月先生の演奏を観察しながら客席を廻る形での出演です。


池袋ミュンヘン店は座席数350席の大変広いお店でした。バブルの後期でしたので連日満員状態。ほぼ毎日30分待ちになっていたので、お店の中を廻るだけでは無く、お待ちのお客様にも対応しました。

お店は地下1階にありました。入口に広めのフロアがあり、1階までの階段が伸びていました。お店の入口で待つ方から最後尾で待つ方までパントマイムの壁を作って歩いたり、玉のジャグリングをしたり、衣装靴の裏にタップダンス用のチップを貼り付けてカチカチ鳴らしながら歩いたり、待っている皆さんと世話話をしたり。

土日は待ちの列が2時間以上途切れませんでしたが、最初に入ったお客様がお帰りになる時に「頑張れ」と声を掛けてくださったりしたので、嬉しいな〜などと思いながらやっていました。

今、私がステージに上がる時に、この頃の経験がとても役に立っています。


ビアホール・レストランなので大きなステージはありませんでしたが、小さなお立ち台はありました。

お店に出演すると何回かに1回、アコーディオンを抱えた望月先生に呼ばれ「ここでやれ」と言われるんです。そのお立ち台でアコーディオンに合わせて演技をしろ、という意味です。

私がお立ち台に上がると先生が弾き始めます。その音楽に合わせて、風船・皿回し・マジック・パントマイムなどを演じました。演技時間は5分位でしょうか。

この時の先生の演奏は絶妙でして。私が演技をしやすい様に、私の演技が良く見える様に、最後のキメがカッコ良く決まる様に、演奏をしてくださるんです。自分がモノ凄く上手くなった様な気分になりました。

この経験は後に、ステージで演技や歌に合わせたり、歌声喫茶的にお客様に歌っていただく時に役に立っています。


もちろん!アコーディオンの演奏もしましたよ〜時々。でもね、私が弾いて歩いてもお客様は知らん振りなんです。望月先生が弾いて歩くと、どの席も大盛り上がりなのに。

悲しくて悔しかったです。技術と力量の違いとでもいうのでしょうか。どの曲も楽譜を暗譜して普通に弾いているんですよ。でも誰も振り返ってくれません。

イベント会場などで弾く時は、お客様に褒められるんですよ。でもお店ではまるで受けないんです。


お店に出演する様になって3年位経った頃でしょうか。お客様が初めて「いい曲ね」と声を掛けてくださいました。この時の嬉しさたるや、言葉で言い表せないです。本当に本当に嬉しかった。


この体験で思うんですが、、、

音楽で人の心を揺さぶるには、楽譜通りに弾くだけではダメなんですね。演奏の技術だけでは無く、人間としての体験や経験が必要なのではないでしょうか。曲の中に演奏者の思いや生きてきた人生が滲み出なければ、聴く人の心は動かないのではないでいかと考える様になりました。


ウチの教室にアコーディオンを習いに来る方は、アコーディオンが認知度の低い楽器なので、ほとんどの生徒さんが初めてですね。

私より年上の生徒さんが醸し出す楽器の音色は素晴らしいんです。私には出せない奥行きのある音色を聴く時、この方なりの素敵な演奏が楽しく出来る様に教えたいと思います。

子供さんや若い生徒さんの音色も素直で素敵です。これから人生を歩む中で、アコーディオンという楽器が役に立つと良いなと演奏を聴く度に思っています。


「池袋ミュンヘン店」では色々な体験をさせていただきました。約10年の間出演をさせていただき本当に感謝しています。

そして、望月先生からは本当に多くの事を学ばせていただきました。

この出会いで培った私の持っている物を、習いに来た方々に伝えられたら嬉しいと思っています。


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