春
ふわふわと儚く溶ける淡雪にも
さざめく女生徒達の笑い声にも似た
薄甘い花弁をにぎやかに
枝いっぱいに盛り
未来を夢に霞ませて
乙女の風情の春
やがて少しずつ
乙女は現実を知り
夢の花はひらひらと
冷たい風に吹かれ地に降り落ち
行く先の枝を現す
花の後に
恥じらうような
躊躇うような
枝先にほのりと滲む淡い芽は
現実を見始めた強さと
まだ世間を知らない甘さの黄緑
周りの空気までほんわりと
優しくほどく初々しい輝きはやがて
生命力に溢れた若々しさ
不条理の歪みを知らないまっすぐさ
若さ幼さ故の無謀の強さで
目に痛い程の鮮やかな緑
風にも落ちない力強い葉をつけ枝を伸ばす




