表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

8話 旅です

ゴトゴトゴトゴト。


「うう~。結構痛くなるなぁ~。」


馬車での旅路。

車窓からは一面岩肌が拡がってる。

日本にはないような光景で、大陸の内陸側見たいな雰囲気。

かつては水が流れていた名残なのか、両側にそびえ立つように崖があり、その間のかつての川底を進んでいる。

この辺は結構緑が少なそうだなぁ。

そのせいか地面の振動が………流石にいくら高級馬車とはいえ、日本の自動車には勝てないかな…………というか日本でこんな未舗装の道路を見たことないから比べるのもそもそも無理なのか。


「いやぁ~長いですからねお嬢。」


「ほんとほんとお嬢の気持ちわかりますよ。お尻痛くなる。」


目の前にいるのは冒険者四人のうちの二人、ヤッシュさんとサリファさん。

交代交代で外の監視をしてくれている。

外で馬に乗りながら並走している一人、馬車の行者をしてくれている方が一人。

馬車の行者をやってくれているのはマリアさん、並走しながら周りを警戒しているのはナサムさん。

この数日間に大分話したから結構気心の知れた仲にはなれたと思うけど、私の事をお嬢って呼んでくるんだよなぁ。


「その呼び方止めて欲しいんですけど………。別に貴族でもないし……。」


「でもボンボンではあるじゃないか。このクラスの馬車にBランク冒険者四人ともなれば普通の一般家計の年収の1/3はずだぞ?」


「そうですそうです。そりゃあ確かに痛いですけど、普通の馬車はそれどころじゃないんですから!それに比べてこの馬車の快適さと言えば………。羨ましいです!!」


「はぁ~そうですか。とはいえなぁ~。」


実際の所、フェテシアお母さんの実家が何の家なのかも分からないからなぁ………商会経営者の一族とか?あとはこの世界では魔法もあるし………稀少な魔術に関連する魔導具関係とか? ………まさか貴族ってことはないと思うけど………。下級貴族ですら簡単には会えないしなぁ。


「まぁ。快適なのは良いことだけど……。魔物もゴブリンしか出てないし暇ね。」


確かに……。冒険者の人達の戦い方ってのを見てみたかったんだけど、今まで相手がゴブリンの2匹しかいなかったから見れてなかったんだよね………。

見た感じヤッシュさんが盾持ちの戦士、サリファさんが魔術師、マリアさんがメイス持ち………多分回復職なのかな?そして最後のナサムさんは両手剣持ちのパーティーリーダー。

特に私は回復魔術のレパートリーが少ないからマリアさんの回復魔法は見てみたかったのに………。

高位の回復魔術は怪我くらいならすぐ治す。

一瞬で治るとか凄すぎだよね。

アリアお母さんは「一瞬で治ったんじゃ意味ないのよ!時間掛けて大切に治してあげるからこそ相手も愛を感じて感謝するのよ。回復魔術みたいに一瞬で処置が終わるんじゃ相手が簡単なものと勘違いするだけで、アピール出来ないわ!」という謎理論を展開してたなぁ。

アリアお母さんも回復魔術使えるらしいのに、そのせいで教えてくれなかったし。

………まぁ、代わりに教えてもらった薬学の知識はかなり面白かったし、病気の治療だけじゃなくて予防とかにも繋がるし、役に立つから良いんだけどね。特に、回復魔術で補助すると中々に使い道があって良い。

ハーブティーにすると美味しいしね。


「おいサリファ!…はぁ……バカなこと言うなよ?護衛対象を守ることが仕事なのに間違ってもそんな言い方するな。今は依頼主は優しいお嬢と奥様だから許してくれるが、依頼主によっては反感を買いかねんぞ?」


「はぁ~い。」


「さて、そろそろ交代か?行くぞ?」


「う~ん眠た~い。」


「ほれ行くぞ。」


「ああ!!」


二人が馬車を出ていく


「フフフ……面白い方々ですね…。冒険者の方々というのは随分賑やかなんですね。フェル………仲良くなるのも良い経験になるから良いけど、危ないことだけは真似しちゃダメよ?」


「流石にプロの仕事の邪魔はしないよフェテシアお母さん!」


「そうですね。………あぁ~そう言えばこれから貴女が通う予定の学校は貴族や金持ち商会・有名技術者の跡取り等、上流階級の人達も多いから言葉遣いに気を付けてね。」


「えぇ~………。」


「嫌な顔しない。普通の市民の人が言うほど、上流階級って嫌な人ばかりじゃいわ。私の母校でもあるしね。貴族の庶子にはコミュニティや(つて)の形成を目的にしてたりとか、少し格式ばったような行事なんかもあるけど、一般市民の人でも成績次第では入れる程度には平等性もあるから。」


うへぇー。

絶対サロンとかあったりして、なんか偉い貴族の子供達が優雅にしてたりして、庶民の子供を見下してたりするんだ…………。


「フェル………。なにも見ないで決めつけるようなことをする娘には育てた覚えはないわよ?」


「はーい。まぁ百聞は一見に如かずとは言うし体験して感じてみることにする。」


「まあ、言葉遣いやマナーについては昔に少し勉強したでしょう?まあ、向こうの実家に着いたら、その辺の勉強をしてもらいつつ、切り替えてもらいますよ?向こうに着いたら私のことも普通にお母様と呼んでもらいますよ。」


うひゃー。

昔に、なんでかそんなこと教えられたわ………あのときはなんにも考えずに適当に覚えてたけど………。

こんな未来、予想だにしてなかったよ。

どんなのだっけ?やり始めれば多少は思い出すかな?


そんな風に二人で話をしていると外が急に慌ただしくなる。

すると、ヤッシュさんが急に馬車に飛び乗ってきた。


「おい!魔物だ。外はあいつらが!二人は俺が守るから絶対馬車から出てくるなよ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ