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4話 やっぱり家族

覗いてたなんてバレたら絶対フェテシア母さんが怒るし、何食わぬ顔で帰ろ。

こういう表情の演技とかはアリア母さんが得意で色々教えてもらっているのだ。

「私ならこの表情をしてれば、大体の男は落とせる。うーん、………フェルならこの表情がいいわ。」とか、「フェルは私の弟子よ。私の技術を余すことなく受け継ぎなさい。」とか言われた。

私は男遊びをする気はないけどなぁ。

でも、相手の表情を詠む力や、自分の表情・感情を偽る力はこんな時には役に立つ。

あとは、怒られた時反省している表情を作る時にも役立つ。


「ただいま。」


「あら?おかえりなさいフェル。」


「おお!帰ったかフェル。おかえり。」


娘の手前隠しているみたいだけど、フェテシア母さんもディル父さんも浮かれない表情だなぁ。

…………今日はもう名探偵はやめかな。


フェルも自覚している事だが肉体の年齢に魂は引っ張られている。

無論、フェルとて親の秘密は知りたい。

だが、あの完璧人間としか思えないフェテシアが浮かない顔をしているのに、こそこそ秘密を探るような行為をしたいとはフェルは思えなかった。

今世の親は変わった形の家族構成だが全員を愛しているからだ。

そんなフェルからしてみれば何としても何時もの顔を戻したいと思う。

それは道理だろう。


「フェテシアお母さん、ディル父さん!たまには一緒に外に行って遊ぼうよ?」


こんな時は遊ぶのが1番、家族が悩んで顔を歪ませているのは、娘としての私が嫌がってる。


「…………そうよね。思い返せば昼は仕事、夜はお勉強でフェルと遊ぶのも久し振りよね。ごめんなさいフェル。寂しい思いさせて。」


「そんなことないよフェテシア母さん!いつも愛情のこもった料理作ってくれるし、私が悩んでるときは相談にのってくれるし。それに私もう14才だよ?お母さんが恋しくて泣く年じゃないよ?…………でも、たまには……ね?」


「そうね。お昼は森の奥の丘でランチにしましょうか?」


「そうと決まれば~♪ちょっと剣を取ってくる。フェル、お前も護身用に武器を持ってきなさい。」


「分かったディル父さん。」


あれ?

ディル父さんって剣を使える人だっけ?

………………まぁいいか。


その話のあとフェテシア母さん厨房に立って、ランチを作った後、剣を持って森に向かう。


はぁ~。この輝き最高!

刃の付いた剣は、フェテシア母さんとディル父さんが危険だって言って滅多に持たせてくれないからなぁ。


ここはこの国、レルモンド王国の王直轄領であり、国の端っこ。

他国との緩衝地帯のすぐ脇にあるあるため、その扱いは難しく、信頼できる貴族が居ないため長きに渡って王家が管理している地域。

そして、緩衝地域にある森に迂闊に騎士を送るわけにも行かず、近くに冒険者が来ることも少ないため、数多くの強い魔物が生息する森へと変化している。

だが、そんな事を知らないフェルからしてみれば、近所の裏山。

多少魔物がいるが、異世界だからそう言うものだと理解していて違和感に気付いていない。


周囲からなにか音がする。魔物かな?

辺りの様子を見ていると繁みの中からキリングボアと言うイノシンがこちらに突進してきた。


「おい!フェル、フェテシア!僕の後ろに!ここは僕…………。」


久し振りイノシン肉も美味しいかもなぁ。

首刺せば一発かな?

えい!

ディル父さんが何か言ってた気がするけど、まあいいか。


「……………なぁフェル?今のは?」


「え?なにが?……………あぁ!たまにはイノシン肉も良いかなぁと思って倒したよ?もしかしてディル父さんは嫌いだった?」


剣に付いた血を布で拭いながら答える。

もしかしたら、ディル父さんはイノシン肉が嫌いで、追い払うつもりだったのかも?

この後森を抜けランチに向かう予定だし、イノシンは数時間は放置することになる。

そうすれば新鮮さを失い、市場には卸せなくなる。

そうすれば必然的に我が家の食卓用になる。

もし、イノシン肉が嫌いなら追い返すのが妥当ではある。


「いや……………イノシン肉は嫌いじゃないんだけどな。」


「キュルェさんは後で絞めましょう。取り敢えず帰ったら親会議ですね。」


不穏な言葉が聞こえたような…………。


フェテシアは反省していた。

幾ら娘を愛してくれるからと言ってバカな男達に任せすぎてうちの娘が大変なことになってしまっている…………。

別に完璧なお嬢様にしたいというわけではないし、娘の好きに生きてくれればいいですが、それにしたってこれは………………。


そんな事をフェテシアは考えていた。

フェテシアは横で一瞬で出番を娘に奪われ茫然自失としているディルの指をツネッて正気に戻し、二人に声を掛ける。


「さっ、もうすぐよ?行きましょ?」


その後、順調に森を抜け、丘の上でランチをする。


「おっ!これはフェルが作ったやつかな?旨いなぁ。凄いぞぉ~」


「本当?嬉しい。」


フェルは考える。

前世と今世、二つの人生を足せば私よりも年下のディル父さんだが、やっぱり料理を誉めてくれると嬉しい。

どうしても顔がニヤついてしまう。

多分、私の精神が体の年齢に引っ張られてるってのも多少は有るけど、やっぱり私はお父さん、お母さんの事好きなんだなぁって自覚するな。


ディルがフェルの事を凄く誉めているとフェテシアが呟く。

普段は感情を殆ど見せない顔だがその時は僅かに沈んだ顔で、どこか悲しげであった。


「………私も………、頑張ったんですけどね…………。」


ほんとは心の中で考えていたのが、おもわず声に出てしまったと言う感じの声で、普通は聞こえるか聞こえないかギリギリの声量だった、

しかしその声はフェルとディルの元に届く。

何故ならそれを言ったフェテシアの表情は、娘の成長を喜ぶ親の表情、それと僅かばかりの娘ばかり誉められて羨ましいと言う表情、親としてそんなことを思う自分を自制しようとする表情。

様々な表情が混ざりあったフェテシアの表情は、有名絵画等が放つような圧倒的存在があったからだ。


滅多に見られないフェテシア母さんのむくれた表情は圧倒的破壊力だ。

娘の私でもその可愛さに胸がドキドキする。

ディルお父さんなんて心を持ってかれて、フェテシアお母さんをべた褒めしてる。

フェテシアお母さんはその言葉を聞いた後。


「そう………。ありがとう。」


と、そっけない返事をした。

ディル父さんは項垂れているが、アリア母さんから表情の読み方を教わっている私には分かる。フェテシアお母さんの口角が僅かに上がり、頬を赤らめていることが。

そう。フェテシア母さんは恥ずかしくて、つい素っ気ない態度を取ってるだけで内心は超絶嬉しいんだろうな。


そのままフェテシア母さんは表情を隠したまま上機嫌で、ディル父さんは落ち込んだまま家に帰る。



そしてその晩、家はキュルェ父さんの絶叫に包まれた。


「おっおい!フェテシア!止めろ!」


「はい?止めろとは?」


「あれはフェルの為を思って!それにほら!ライシュの奴は魔法を教えているじゃないか!あれはどうなんだ!」


「魔法は遠距離からで剣より怪我をするリスクが少ないです。勿論多少の護身術の必要性は理解してますが……………………意味…分かりますよね?」


家の一階から聞こえてくる声から耳を背けるべく、フェルは一人呟く。


「ワタシコドモ、モウネルジカンダカラネナイト。」


ベッドの中に入り込みうるさい音をシャットアウトする。


「悪気は無かったんだぁー!許してくれェーー!」



評価とか感想とか………………欲しいです。

承認欲求爆発中なので………。

質問あれば感想にて答えますので!

気軽に質問どうぞ、最近寂しいので質問来るのを楽しみに待ってます。

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