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27話 売り言葉に買い言葉

「お疲れさま。」


テストが終わったカミラさんに声をかける。


「……カッコ悪いところ見せちゃったなぁ。」


「まあ、急でしたからしかたないですよ。」


「そう言ってもらえると気が楽です。」


「おいおい。何だ今のは?まさか今年から面白さもテストの課題に加わったのか?爆笑物だったぜ?」


っ!

後ろから聴こえてきたのウェルヒの声。

それと同時に見物人の中からも同調したような笑い声がチラホラ聴こえてくる。

それを聞いて、折角カミラさんがぎこち無いながらも笑みを浮かべてくれているのに、その笑顔すらも曇ってしまう。

これには流石に私もイライラが隠せない…かな?


「いい加減にしていただけませんか…ウェルヒさん?でしたか?」


「フェルさん!私なら大丈夫です!」


「いいえ友人が馬鹿にされて黙ってるなんて私が我慢できないんです!…なんの謂れがあってカミラさんを笑うんですか!?」


「ふっ…火魔術師未来の神童とも謳われたカミラさんがこんなザマだとつい面白くてな。」


「火魔術師未来の神童…?」


「あぁ、初等部での神童も、中等部では凡人、高等部では落ちこぼれとは随分面白いとは思わないか?」


初等部で神童………、カミラさんの魔力量を考えればそう言われるのも分かる。

ただ、何かしらの理由あって落ちこぼれ、そして枯れた蕾と言う訳か。…………ただ、それならその何かしらの理由さえ取り除けば……カミラはきっと魔術の才能を花開くことができるはず。

それに……。


「なるほど、同じ火魔術師同士比べられた思い出でもあるということですか。……その相手が落ちぶれて今度はストレス発散の相手にする、ロクでもありませんね。」


かつて私の知らない何かが二人の間にあったのかもしれないけど、だからといってこんなふうに人を貶めるようなことは許されない。

 

「なんだと!?」


「それにカミラさんの力を見る限り切っ掛けさえ貴方にも劣らない力を持っていると感じました。侮っていられるのも今だけかもしれませんよ。」


「落ちこぼれが俺と同等だと!?笑えない冗談だ。」


「体内魔力量と魔力出力に関しては既にそこまで大差ないレベルでしょう。魔術の安定性や魔術変換効率さえどうにかすれば、ありえない話ではないです。」


「何を根拠にそんな事を………、そこまで言うんだ。お前は魔術が出来るんだろうなぁ!?」


「えぇ、少なくとも貴方よりは。」


「なら、お前もテストを受けろ。」


「いいでしょう。」


いい加減にイライラしてきました。

テストで叩き潰してやりましょう。


ウェルヒは私の実技テストを今すぐやるために判定員に話を付けに行ったのでその間を見計らってカミラさんが話し掛けてきました。

おそらく上位貴族である侯爵としての権力で何とかするんでしょうけど、権力の使い方は私も学んでいかないとな。


「ちょっとフェルさん。なんでそんな話に!?」


「いやー。売り言葉に買い言葉で。まあ、でも負ける気はサラサラないですよ。」


「それに私に才能があると言ってくれるのは嬉しいですけど、私の事は自分でよく分かってますから。」


「いや、分かってないですよ。カミラさんは必ず魔術が使える様になりますよ。私が保証します。」


「………ほんとに……ですか?」


「ええ、取り敢えず私の目が間違っていない事を証明する為にもウェルヒさんを勝ってみせます。」


「おい、判定員に話は付けてきた。テストの点数は流石に言えんらしいがどちらの点数が上かくらいは教えてくれるらしい。今すぐやるぞ準備しろ…あん?………ん~ん……そいやぁお前の名前は聞いてなかったな。」


まあ、どうせ同じ学校に通う事になる訳ですし教えても問題ない…でしょう。


「フェル・ミフェルです。」


「ミフェル……って〜と、…っ!侯爵家じゃねぇか。だがあそこに直系の子供は居なかったはずだろ?……てことは傍家か養子ってところか?なるほどそれなりに魔術が使えて本家に引き取られ王都の学校に連れてこられたってところか?だが、田舎で幾ら優れていようがここじゃただの凡人だぜ。」


変な勘違いをしているようですけどわざわざ否定する必要もないし放置でいいや。


「勝手な憶測は結構ですが、井の中の蛙とは貴方のことです。美しい魔術と言うものを教えてあげましょう。あ~そういえば私が勝ったらカミラさんに謝っていただきますから。」


「あ?なんで俺がただ、見たまんまを言っただけだぜ?」


「どうせ勝手にカミラさんの受付をやったのも貴方何でしょう?」


「っ!……証拠もなしにそこまで言うんだ。テメーも覚悟があるんだろうなぁ?お前が負けたら今後の学校生活では俺の命令は絶対だ!問題ないだろ?」


ウェルヒの視線が私の足元から徐々に上に、そして私のこの年としては少し大き目な胸で少し止まり、そして顔まで視線が動く。

うぅ〜!キモチワルイ。養子と勘違いしているとはいえ侯爵家の娘になんて気持ち悪い視線を向けてくるんだ!こんなところだとその命令というのもある程度想像はつく。


「ウェルヒさん!一体何を言ってるんですか!フェルさんは貴族の淑女ですよ!?それに対してなんてことを!そもそも謝る事とそんな絶対服従みたいな内容とでは対等な条件として成立していません!」


「かまいませんよ。」


「フェルさん!!!」


カミラさんはああ言ってくれているけど、私は絶対に負けない。それにおそらくこの条件の方が後々私に都合よく自体が動くと思う。

あとはなるべく圧倒的な差を付けて勝つ事。それだけ。


「じゃあ条件成立だ。」


「フェル・ミフェルさん!準備お願いします。」


おっ、呼ばれた行ってこようか。


「フェルさん……………色々言いたいこともありますが、もうこれ以上は何も言いません。ただ…頑張ってください!」


「うん。任せて。」


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