2話 異世界要素解説します
この異世界そのものについてフェルは思い返す。
まあ、前も語ったけど、この世界には魔法がある。
これは、体内にあるマナといういう目に見えない粒子?(まぁ、視認できないから物質ですらないのかもしれないけど。)を属性の帯びたマナに変換し魔法として発現するというもの。
ただ、問題があって人それぞれで各属性へのマナ変換の効率に差があって、これによって得手不得手があるみたい。
その他にも、マナの最大変換量(マナ変換量/時間)や最大マナ保有量、マナ回復力なんかも個人差があるものらしい。
とはいえこの辺は訓練で後天的にある程度成長させられる。
ライシュお父さんは「子供の時から鍛えて積み重ねが大事なんだよ。」と珍しく真面目に話して2,3歳くらいの頃から毎日教えてくれてる。
それでこの魔法と言うもの、結構フワッとしてる。
何がって言うと発動手順だ。
基本的な発動手順は、体内のマナを感じ、一定量を属性マナに変換、それを体外に出し、思った方向に飛ばす。
そしてこれは全て魔法発動者のその想像のみで出来てしまう。
だからそれなりに練習して、上手く発動させる感覚を掴んでしまえば、魔法を使うことはそこまで難しくない。
だから、近くの村に住む人達の中でも6,7人に一人くらいは使える。
そう………そんなフワッとした感じで出来てしまうがゆえの問題がある。
全ては発動者の感覚によって発動するから、毎回毎回効果にズレが発生するし、無駄なことにもエネルギーを使ってしまうため酷く効率が悪く、消費した魔力のわりには効果が弱かったりする。
しかも、複雑な効果は発言できず、効果も単調な物ばかりだ。
おまけに想像するにはそれなりの集中力がいる。
もし、戦っている最中魔法を使うなら、敵の事を差しておいて集中し、魔法を発動しなけゃならないことになるし、複雑な効果を出したければ更に時間もかかりまともに実践で使用出来ないって事になる。
だから生まれた学問が魔術学。
これは想像に頼っている魔法の効果や発動条件を明確化させ、発動を容易化させたり、複雑な効果の発現を可能にさせようっていうもの。
例えば特定の言葉に意味をつけ、魔法に特定の条件付けをするとか………………まあ、実際にこの世界に来て、魔術学を学べば基礎くらいは分かるようになる。
こっちを使う人は魔術師何て呼ばれていて、かなり勉強しなきゃいけないから只の平民で使える人はかなり少ないらしい。
あっ、この世界は身分制度が普通にあって貴族とかもいるよ。
特に高位の貴族だと二人に一人くらいは魔術師らしい。
そして当然ライシュお父さんは私にこれを教えてくるわけ。
それに対する私の反応は……………めっちゃハマった。
元々理系大卒でこういうの興味あるし、自分の発想力次第でかなり発展させていける学問に感じる。
日本で学んできた知識も生かせれて楽しいし。
あと他に違うところは筋力の上限が見えないってこと!
地球において仮に走力を鍛えて、100m走をするとして最初はそれなりの練習でも一秒二秒と縮めていくことができる。
でも、行き着くともまで鍛え上げれば、血の滲む練習を数ヶ月…或いは数年掛けてようやく0.1秒縮めると言うレベルに成る。
ただ、それは当然のことで人間という生き物の性能的な限界があるからだと思う。
だが、この世界はそれがないと思われる
走力を鍛えれば、ボルトより速く走れるようになる。
腕力を鍛えれば、岩をも握りつぶせるようになるし、体を鍛えれば殴られても怪我1つしなくなる。
恐らくこの世界に存在して、地球にはなかったマナという存在が、無意識化で体を強化していったりしてるんじゃないかと思ってる。
まあ、ここでも才能というものがあり、人それぞれ成長率に差があれど、確実に成長し続けられる。
だから、剣術の得意なキュルェお父さんは「毎日だ。それがフェルの力になる。」と言って5歳の頃から鍛えられてる。
どっちも結構好きで鍛えてたけど初めての実戦として、この世界特有の生き物である魔物と戦った時はビビって動けなくなっちゃった。
相手が攻撃してくる瞬間、キュルェお父さんが切り刻んでくれたから助かったけど、あのままだったら死んでたかも?
………………………正直恐すぎて……漏らし…ちゃったことが、恥ずかしかった事の記憶に残ってて…あれだ…………うん…だって子供だもん……。
ってな訳で何度か魔物に殺されかけたけど、この世界特有の要素にも馴染み私は今の私になったわけだ。