14話 王都着きます
「おっ見えましたよ師匠。」
「あそこが王都ですフェルさん先生。」
「サリファさんもマリアさんも、先生とか師匠とかって言うの止めませんか?」
「だってねぇ。あんなの見せられたら………そうなっちゃうよね。」
「そうですよ。講義もしていただきましたし。お世話になりっぱなしです。」
うん。
あの大牙狼との戦闘の後メチャクチャ何者か聞かれたんだけど、私はただの村人だからなぁ。
いや?フェテシアお母さんはお金持ちの家の人ってのは間違えないからただの村人ではないのか?
まあ、特別だれかに従事したって訳じゃないって何度も説明してようやく納得してくれた。
その代わりに術句についてや魔術について色々説明したりして何故か今では先生呼ばわりだよ!
向こうの方が年上なのに!………まあ、前世も含めれば私の方が年上なんだけどさ。
サリファさんには「私の魔術どうですか!」と言われたので正直に「ぶっちゃけビミョーな気がします………。」って言ったら1日落ち込んだ後にめっちゃ質問された。
なんか私が生意気な子供に見えてくる。
あっ!因みに大牙狼とかの素材はナサムさんが持っていたアイテムバックという、内部空間を拡張していて、そこに物を入れれる魔導具の中に入れて運んでる。
……てか、アイテムバックってあるのかぁ………。
私が術句習得に4ヶ月、魔術構築に3ヶ月掛けてようやくオリジナル魔術【アイテムボックス】を創ったのに………魔導具で代用できるなんて……悔しい……。
そして、その後は近くの宿場で馬車を買い上げて再び旅を続けてようやくここまで来た。
「振動がスゴすぎて身体中ピキピキになったよ。」
流石安物の馬車というべきか、ダイレクトに地面からの振動が伝わってきて辛かった。
これには然しものフェテシアお母さんも苦慮してた。
「何か列があるみたいだけど……。」
「そうなんですよ師匠。私達みたいな平民や商人は数時間掛けて検問を通過してようやく町に入れるんですよ。」
列の先には城壁があり、結構な高さがある。
並んでる人は200~300人はいる。
それに対して検問している衛兵は………2人だけだ。
そりゃ、列も延びるよ!
日本だったら絶対人員強化・効率化しないとクレームくる。
「貴族なんかは専用の門があって、検問もほぼ素通り出来るんだがな。」
「羨ましいよねぇ。」
ヤッシュさんの呟きに対し、サリファさんが相槌を打ちながらフェテシアお母さんの方をチラチラ見てる?
「おいやめろサリファ!詮索は失礼だろうが。」
ナサムさんがサリファさんに怒ってる…………なぜ?どういう意味だろう?
するとフェテシアお母さんが嘆息しながら私の方を見て話し出します。
「さて、フェルは私の実家の事をこっそり気にしてたみたいですよね。」
あっ、バレてたのか。
「ここで1つ大ヒントを差し上げましょう。マリアさん馬車を向こう側へお願いします。」
そう言ってフェテシアお母さんは貴族用の検問を指す。
「おお!やっぱり!だってフェテシアさん空気感が違いすぎるんですもん!なんかもうオーラが違う。」
「狼に負けかけて娘さんに助けられててなんですが、これからも依頼受け付けてますんで、末永く使っていただければ………マリアのこともありますし、破格な価格でやりますよ。」
う~んと?
みんな盛り上がってるみたいだけど、どうゆうことだ。
え~と?
お母さんの実家の大ヒント+貴族用の検問へ行く=……お母さんの実家は…貴族ってこと!ってか、フェテシアお母さん貴族=娘の私も貴族ってこと?
「フェテシアお母さん………私って貴族なの!?」
「さあ~どうでしょうか?…………実家に行ったり、学校に行ったりしてればそのうち詳しくわかるようになるわよ。」
私の質問に対してフェテシアお母さんが面白そうに笑ってる。
ううぅ~。私の反応を見て楽しんでるし………まあ、貴族ってことには間違いは無いんだろうな。
あとは貴族の位が気になる…………貴族とは言っても一代限りの士爵から公爵まで沢山あるからなぁ。
いいや!さっさと実家に着いたら暴いてしまうぞ!
衛兵さんにフェテシアお母さんが何やら剣を見せると驚いたような反応をし、直ぐに通してくれた。
「貴族の護衛も何度もやったことはあるが、貴族門の衛兵がここまで検査を急いだのは初めて見たんだが……………。」
「まっ、良いだろ。それよりフェテシアさん。馬車はこのままご自宅まで?」
ナサムさんがヤッシュさんの呟きに答えつつ、フェテシアお母さんに尋ねる。
「はい。お願いします。」
「どちらに行けば?」
「取り敢えず東区の貴族街までお願いします。」
「っ………りょ…うかいしました。」
なんかナサムさんがひきつった笑顔を浮かべてた。
今更どういう反応?近くにいるサリファさんに小声で質問する。
「何でナサムさんあんな反応したんですか?」
「ばっ!東区の貴族街ってのは日当たりも良くて王都一の地価の高さで、土地を買うにも最低でも子爵以上の爵位がいるんですよ。」
え~と。
この国の爵位は上から順には、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵・士爵。
うん。我が家は中々上の爵位なようだ。
「てか、何で今更敬語を?」
「師匠……じゃなくてフェルさん。いやフェル様?もフェテシアさんの娘ってことは貴族じゃないですか…………不敬罪になるかなぁと思いまして。」
「止めてくださいよサリファさん。そもそも私は貴族ってことは今の今まで知らなかったですし、そんな事で態度を変えられても困りますよ。」
「そ、そっか!良かった。じゃ師匠これからもよろしく!」
「師匠ってのを認めた訳じゃないんだけどね。」
そんなこんなで馬車は大通りを抜けていく。
そこには様々な服装や店が建ち並んでいる。
その中でフェルはあるものを見つけた。
「あっ、あの人………頭に猫耳が……!」
私の呟きにマリアさんが答えてくれる。
「獣人族の人ですね。レルモンド王国の周辺属国には獣人族の国もいくつか有りますからその関係の人なんですかね?田舎では滅多に出会えませんけど、王都ではそれなりに見ますよ。」
「ほぇ~。獣人族いるんだ~。」
THE異世界って感じ!
いや~楽しみになってきたぁ!!!