12話 合流しました
四人の元に戻ってきたら何やら結構まずい状態みたい?
「フェ、フェル?だ、大丈夫ですかぁ~?」
後ろでは、フェテシアお母さんが目を廻してぐったりしている。
全力で移動するために、アリアお母さんお手製の筋力増強薬飲んで更にお薬効果強化魔術も使ったからなぁ。
まるで地面を滑るような速度でフェテシアお母さんを抱えて走ってたから、体力のないフェテシアお母さんは堪えきれないよね。
「取り敢えず[結界-対象者の-周囲1mで-5重-再生し続け-衝撃を-魔力を-遮断し-衝撃を-軽度に-反射し-護れ]」
万が一があっちゃダメだから、フェテシアお母さんの周りに強めの結界張っといた。
一般的には[マルチバリア]と呼ばれるもの。
でもかなりの強化版にしといた。
12句も使用する結界魔術で物理衝撃にも魔力的影響にも強く、そして、全損は無理だけど多少のダメージ位なら再生する。おまけに5重だ!
衝撃反射もあるからずっと攻撃し続けることも不可能だよ。
少なくともさっき戦った砂漠狼ごときの強さじゃ、結界にダメージを与えることすら出来ないよ。
魔力も結構注ぎ込んだしね。
それにもし結界が破られてもこの距離なら直ぐに駆けつけられる。
「おいなんで!こっちに来たんだ!……いや!それどころじゃない!今すぐ逃げろ。そこならまだ砂漠狼の包囲網の範囲外だ!」
その声はナサムさんかな?
良く見てみれば身ぶり手振りで私を追い返すような動作をしている。
ってか後ろ!
駆け出しながら手の平を胸に当て、術句を唱える。
「[筋力質を-増強せよ。][質量を-軽量化せよ]。」
手の平を胸に当てる動作は私自身に作用する魔術のイメージを固定化してる。
これで術句を1つ短縮できる。
戦闘時などの急ぐときは重要だ。
因みに[筋力質を]って術句は筋力の質のイメージを固定化してる。
つまり筋肉のサイズや重さは変わらず、質のみを向上させる。
筋肉を強化しても、筋肉が肥大化して戦闘スタイルに影響が出るようじゃ意味無いしね。
魔法が発動し、加速スピードが更に上がる。
うん。体が軽い。
筋力増強薬とその強化魔法の二つに、強化系魔術の筋力質増強魔術・軽量化魔術だ。
その4重効果で普段の脚の速さの2倍弱は速い。
一瞬の内にナサムさん達との距離を詰める。
「ナサムさん避けて!」
「えっ!?」
ナサムさんは驚きながらも私の進む直線上から避ける。
私は懐から細身の直剣を取り出すと構えて振る。
ギャッ!!
ナサムさんの後ろに忍び寄っていた砂漠狼を切り捨てる。
攻撃速度なら魔術より剣何かの武器による攻撃が一番速い。
この剣はキュルェお父さんに貰ったもの、どぉ~見ても刃先ボロボロで、質の良いものとは言え無いけど、唯一私が持ってる真剣だ。
「後ろに居たのか!すまん助かった嬢ちゃん。だが、何故帰って来たんだ!しかもこんな戦いの真っ只中まで来て!」
「私も手伝いに来ました!多少腕には覚えがあります。足手まといにはなりません。」
「しかし………依頼者の家族に戦わせるなんて。しかも子供に………。」
ナサムは思う。
正直言ってこの戦いは勝ち目が無いに等しい。
そんな状況にこんな幼い子供を巻き込みたくは無かった。
だが、それと同時に希望も見えてきた。
驚きもあり、一瞬過ぎて見れなかったが嬢ちゃんは砂漠狼を倒した。しかも一撃だ。
つまりはCランク………低く見積もったとしてもDランク冒険者級の実力があることは間違いない。
今からでも砂漠狼の数を減らし、全員で大牙狼挑めば勝てる。
そんな風にナサムが葛藤していると、サリファがマリアに肩を貸しながら二人で歩いてきた。
「その子手伝って貰った方が良いわ。」
「いやサリファ……だが。」
「お嬢がさっき遠くで使った魔法……通常時の私の総魔力量に匹敵するわ。それを使ってこんなにピンピンしてる。この娘多分化物よ。」
「お前が他人をそこまで……?」
二人が話してる。
何やら心外な呼び名で呼ばれた気もするけど………勘違いだよね。
てか、何でマリアさんはサリファさんに寄りかかってるんだ?
って!
「マリアさん!すごい大怪我じゃ無いですか!……か、回復魔術は!?」
「あぁ……嬢ちゃんは居なかったから知らないのか。もうマリアの魔力量も足りないし、魔術を発動させる時間も稼げないんだ。マリアには遠くから残り数回の回復魔術を使用してもらったら戦線離脱してもらう。実質もうマリア抜きで戦うことになる。」
そんな!
マリアさんに駆け寄り手に触れる。
傷が酷い!
これは骨も神経もズタズタだ!
そのわりには出血量が少ない?
あぁ………魔力の痕跡がある。
【止血】を使ったんだ…………。
でもこのまま放置していい状態じゃない。
「マリアさんこれを飲んで!」
赤い丸薬をマリアの国元に持っていく。
「フェルさん?これは………?」
マリアが声絶え絶えに尋ねてくる。
「これはお母さんお手製の再生能力強化薬。早く手を治さなきゃ!」
マリアは思う。
見たことは無いけど……体力回復薬かしら?
腕が治るとは思えないけど気休めでも痛みが引けば、よりロスが少なく効果の高い回復魔術を使える。
「フェルさんありがとう。戴くわ。」
フェルは丸薬をマリアの口に放り込む。
「?…っ!?熱っい?」
「おっおい!大丈夫なのか!?っ!ちっ!後ろにクソ狼が!」
ナサムが困惑しながら近寄ってくる砂漠狼を切り飛ばしているけど、今は急がなくちゃ…薬効が早目に行き渡るように薬効強化魔術を発動しないと。
「[対象者の-薬-身体中に-行き渡らし-薬効を-有らん限り-増強せよ。]」
私の魔術と薬の薬効が同時に現れ、目に見える速度でマリアさんの腕がモリモリと再生していく。
そりゃ、私が[有らん限り]って術句を入れたからなんだけどね。
この術句は魔力量指定の術句で、必要な分だけ魔力を全部持ってけ~!って感じのイメージだ。
1割近くは持ってかれたかな?
お陰で僅か10秒でマリアさんには純白で傷1つ無い体に戻る。
「………う………そ。」
「………?………体が軽い?………嘘…………腕が?」
いゃ~治って良かった。
あとは皆で狼の群れをやっつけるだけだね。
「おっおい。どうゆうことだ。魔術師はこんなことが出来るものなのかよサリファ…………。」
「出来るわけないじゃない!薬を強化する魔術なんて聞いたこと無いわ。おまけに7句の魔術を淀みなく、一瞬の内に発動させたのよ。魔力のロスもあり得ないほど感じないし!」
ん?




