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騎士(仮)  作者: 黒犬神
9/10

09

 「ごめんなさい!」


 「全くだ!」


 私と強奪少年の間に入った金髪少女。


 剣を抜いていたので、思わず追いかけるのをやめてしまった。


 話を聞くと、助けを請いながら逃げる少年と、それを追いかける悪党・・・と思って中に入ってしまったらしい。


 「はぁ・・・。見失っちゃった・・・。」


 「あの・・・。本当にごめんなさい・・・。」


 「まぁ、うん・・・。良いよ。」


 私はしないが、状況だけ客観的に見れば、少年を追いかける黒い服を着た人が全力で追いかけていたのだ。


 確かに悪役っぽい。


 この世界の警察組織の騎士団は、一応被害報告をすればある程度対応はしてくれるが、取られた物が帰ってくる可能性はゼロに近い。


 つまり、諦めるしかない。


 「それじゃ、今後は気をつけてね。」


 「あっ!待ってください!弁償を・・・。」


 「貴方が取ったわけじゃないし、とられた私も非がある。大丈夫。」


 「そ、そんな・・・。では、何か手伝える事はありませんか!?私に出来ることなら何でもします!」


 がっくりと肩を落とす少女。まぁ、少しばかり可愛そうな気もする・・・。


 「あ、じゃあ、買い物手伝って欲しいな。」


 「勿論です!荷物持ちだろうと、なんだろうとやらせてください!」


 

 っと、言うわけで荷物持ちが出来た。


 彼女の名前は。アリス。この世界でも割とポピュラーな名前だ。そこはかとなく猪っぽいなぁ・・・と思った。


 買い物を手伝ってもらえるということなので、行く予定だった店を聞く



 「じゃあ、武器を扱ってるお店に行きたいのだけれど。」


 「武器・・・ですか。ええと・・・、少し離れますが、私の孤児院の近くにドンさんの鍛冶屋があります!」


 「じゃあ、そこに案内してもらえる?」


 「はい!こっちです!」


 アリスに続いて裏路地を歩く。


 「あの、本当にすいませんでした・・・。」


 「もう過ぎた事は仕方ないよ。」


 「うぅ・・・。張り切りすぎてしまった・・・。」


 「?そう言えば、剣を持ってるけど、騎士?」


 アリスが持っているそこそこ長いレイピア。いくら治安が悪い裏道とはいえ、剣を携帯するのは穏やかではない。普通、剣を持っているのは騎士団か、ギルド、強盗などくらいで、街中にぶら下げている人は少ない。


 「いや、私はまだ騎士でもなんでもなくて、その・・・。」


 「?」


 「・・・恥ずかしい話ですが、今度の騎士団試験に挑戦しようと思っているんです。」


 お、奇遇。どうやら彼女も騎士団の試験を受けるのか。


 「あら、私も試験を受けようと思ってるの。」


 「そ、そうなのですか・・・。」


 「うん。あっ、敬語話で良いよ。私の方が年下みたいだし。」


 「・・・。ありがとうございます。」


 盗人の片棒を知らずとはいえ、担いでしまった負い目もあるのか少しばかりぎこちない。

 

 何か共通の話題でもないだろうか・・・。


 「そう言えば、騎士団の試験を受けるって言ってたけど、剣を持ってるって事は実働部隊?」


 「えぇ、そうしようかと・・・。」


 「私もよ。お互いがんばりましょう。」


 そう声を掛けると、朗らかに笑顔を浮かべた。


 「そうだったんですね。えっと・・・。」


 「あっ。私の自己紹介がまだだったね。シズよ。気軽にシズって呼んでちょうだい。」


 「分かりました!私のこともアリスと呼び捨てにしてくださいね!共に試験をがんばりましょう!」


 ガシッと手をつかまれ、まっすぐな瞳でそうこちらへ訴えかけるジャンヌ。しかし、すぐに手を離してしまう。


 「あっ・・・。すみません、急に。」


 「大丈夫。少しびっくりしたけど・・・。」


 結構熱のある子だ・・・。



 「さっきアリスは孤児院って言ってたけど・・・。」


 「はい。王都の聖堂協会直轄の孤児院の出です。今回の騎士試験に合格したら・・・。ですけど。」


 どうやらアリスも孤児院出身らしい。


 うんうん、同じような出身である私はかなりシンパシーを感じる。


 「そう言えばアリスは剣が使えるの?立派なのを持ってるけど・・・。」


 そう、彼女が最初に向けた剣。遊びや装飾がない、無骨なレイピア。


 前世でも流石に使った事が無いタイプの剣なので、少しばかり興味もある。


 かろうじて保持しているレイピアに関する知識は、切るより刺す剣・・・という事くらい。


 鎧通し・・・という技術の名前くらいは聞いたことがあるが、かなりの上級者で無いと扱えない武器だと聞いたことがある。


 「えぇ、この後に行く加治屋さんが教えてくれたので、ある程度は自信があるんですよ!今は持ってないですけど、ボウガンも使えるんです!」


 「へぇ・・・。ボウガンか・・・。」


 ここで耳寄りな情報が入ってきた。ボウガンか・・・!実に気になる!


 「そのボウガンって、私も買えるかしら?」


 「あっ・・・。ちょっと分からないです・・・。他の人からしたらかなり気難しい人なので・・・。」


 「そう・・・。まぁ、良ければ貴方のだけでも見せて欲しいのだけど。」


 「それなら全然大丈夫です!あっ、ここですよ!」


 アリスの案内で鍛冶屋に到着した。


 王都の中にいくつも流れる用水路のすぐ横に建っていた。


 店の名前は、鍛冶屋・・・・・・。


 

 質素というか簡潔で男らしい。


 


 


 

























 

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