08
さてさて、材料集めだ.
幸いな事に、近くに騎士団の本拠地がある為、材料を買うのに苦労はしない・・・っと思っていたのだが・・・。
「高いなぁ・・・。」
私が見ているのは。宝石商。それも、魔法石を主に扱うお店なのだが、値段が高い。
こぶし大ほどの大きさの魔法石が大体30万円ほど。
それを購入後に加工してから動力にするのだが、その加工後の屑を買いたかったのだが、売ってないとの事。
前の故郷であれば、宝石なんて売れないので、実用的な道具として売られていて、そこからでた屑は簡単に手に入った。
しかし、ここでは屑石も集めて溶かせばまた宝石になるので、売れないらしい。
しかし、掘り出しものも見つかった。
黄色の魔王石、雷の魔法石というらしく、剣や罠に付けることで相手をしびれさせたりする事が出来るらしい。
これがなんと、こぶし大で10万ほど。理由は使い手にもダメージがある・・・とのこと。
観賞用にはなかなか綺麗だということで、店でもそこそこ売れ筋らしい。面白そうなので2つ買った。予備と実験用だ。
「はぁ。仕方ないか。必要経費必要経費・・・。」
仕方ないので、赤を2つ、緑を1つの合計60万と黄色の魔法石20万の合計80万を支払った。
しぶしぶながら魔法石を購入したが、良い点もある。
「お客さん。加工はどうなさいますか?」
「粉々にして、さらさらの粉上にしてもらえる?」
「え、えぇ・・・。まぁ大丈夫ですが。」
怪訝そうな顔をされながらも、快諾されたのでお願いする。
魔法石の屑を買い取ったときも、この作業がとことんしんどかったのだ。
なにせ、石を適当にうすにかけてゴリゴリしようものなら、炎の魔法石は発火し、水の魔法石は水に変わる。
衝撃を加えないように、水の中などをしないと意味がなくなってしまう。
これがまた、実に時間がかかるのだ。
「では、一日いただけますでしょうか?」
「分かった。明日受け取りにくる。」
めんどうな作業を他の人に押し付けられるのであれば、ありがたい。
店の人から受け取り用のサインが入った紙を貰い、店を出る。
予想外の出費となったが、弾丸の材料はこれで大体は揃った。
急な話になるが、王都は大通りから離れれば離れるほど治安と質が悪くなってくる。
大通りから一本脇にそれた程度なら、まだ普通の店が並ぶが、そこから小道に何本か入ればそこは最早無法地帯。
普通の人なら決して近づかないであろうスラム街に私が来た理由・・・。
「まったく・・・。私から物を取るとは・・・。いい度胸をしてる!」
そう、強奪されたのだ。さっき買ったばかりの雷の石を。
大通りで気が少し緩んでいたとはいえ、盗んだ相手は子供・・・いや、私も子供か。
一瞬何が起こったのかわからなかったが、盗まれたと分かった瞬間、かなり頭に来た。
「止まれクソガキ!」
「止まれって言って止まるかよバーカ!いい加減諦めやがれ!」
走って追いかけてからもう2分は立つ。私はまだしも、盗人もなかなか体力がある。
「うわーん!助けてぇ!」
追いかけてると盗人が泣き言を言い始めた。そう、あと少し、あと少しで捕まえ・・・。
「そこまでです!」
喧騒の中でも通る声と共に、私と子供の間で金髪の剣をもった少女が割って入った。