第7話
洋服の購入にめどが立った為、ひとまずホテルへ戻った私。何をするのかといえば、勿論風呂だ。
備え付けのシャンプーを手に取り、ここ1週間の汚れを取る。
今まで着てきた服は、新しい物に代えるため必要ないが、選択はホテルの従業員に頼めばやってもらえるらしい。
ちなみに、一番高い部屋のコースの場合のみで、他のコースの場合、ホテル裏の空き地に洗って自分で干すそうだ。
ひととおり、シャワーを浴びてさっぱりした後、風呂につかる。
「はふーーっ。気持ち良い・・・。」
熱い風呂は最高だ。気分がさっぱりするし、気持ちが良い。
しかし、私はあまり長湯が好きではない。
早々に湯船から出た私は、バスタオルで体を拭きながら部屋に戻る。
この、風呂上りに何も着ないのが楽で良い。誰も居ないし。
風邪を引いてもあほらしいので、新しい下着と服を着る。
そして銃を机の上に置く。
この銃は私が作った特製品だ。
元のベースになった銃はソードオフショットガン。この一丁を作るのに私はかなりの労力を費やした。
まず、銃弾の作成と、銃本体の作成だ。
銃弾というのを簡単に説明すると、爆発に指向性をつけて物を飛ばすという物だ。
難関ポイントその1.火薬が無い。
この世界に火薬が無かった。その為代用品になる物を探すところから始まった。
結局、火薬の代わりになるのを見つけるのに1年ほどの歳月が流れていた。
火薬の代わりになったのは、魔法石の屑だった。
魔法石はいくつかの種類に分けられ、赤、青、緑の三種類。
それらを足して、色を代えるとまた別の属性に分けられるらしいが、見た事が無いので割愛。
赤は炎、熱などを出す事が出来る。
青は水、冷やすことが出来る。
緑は風などを出す事が出来る。
赤い魔法石を使ってヒーター、青を大量に使って水を出す。これらを足してお湯を作り、お風呂になる・・・などだ。
しかし、基本的に魔法席はそこそこの値段がする、魔法石を作るのは結構な労力が必要らしい。
そしてそれらの魔法石は加工が可能で、任意の形にする事が出来る。
その際に出来るのが、魔法石を削ったりした際に生まれる屑だ。
この屑石を粉上にして、緑を1、赤を2の割合で調合する事で火薬の代わりになる。
孤児院でのアルバイトで稼いだお金でなんとか形にするのにさらに1年かかったが、出来たときの喜びは大きかった。
難関ポイント2は、銃本体の作成だ。
銃器の作成の中で、一番難しかったのがライフリングの作成だ。
ライフリングとは?まぁ、銃身の銃の中の溝だ。これがあると弾が飛びやすく、銃身の寿命が延びる。
金属整形が難しいのに加え、火薬が少なければ玉はマトモに飛ばないし、多ければ銃の本体が耐えられない。
その為、私が考えたのがソードオフ式のショットガンだ。
中折れ式の水平2連のショットガン。前世でも流石に銃器を造ったことの無い私は、合計で2年半もの歳月が必要だった。
王都に持って来た銃弾は最初は10発だったが、一発使った為、残りは9初だ。
弾丸は一発作るのに時間を度外視すると1万ほど・・・。結構高い。
残り五日間でもう一丁拳銃と、幾つかアイテムを作りたい。
「材料を買いに行くかな・・・。」
着ているもののみで王都に着た私は、銃を作るときに使った道具などは殆ど故郷に置いてきた。
持って来たものは、手になじませたサバイバルナイフと最低限のクリーニング用品のみ。
お金は運良く盗賊を捕まえた報酬と、ギルドからの報酬で300万ほど貰った。
本来は王都に来て、10発の弾丸とナイフで試験は乗り切るつもりだったので、非常にありがたい。
本来の所持金は故郷で稼いだ200万ほど。そこから馬車代の150万を引いて、50万ほど持っているはずだった。まぁ。ただの子供ならこんなに稼げないだろうが、私は前世の記憶がある。
普通に街の外に居る獣を体になれさせるために狩りまくってお金を稼げた。
おかげで街の平和を守る事が出来たのだが、なぜか不気味がられた。
まだ日もあるし、今日の残り時間は材料の購入と、お金を預ける銀行探しとしよう。