第2話
「王都、とうちゃーく!」
すっかり日も暮れた王都のとある建物の入り口で元気良く背伸びをする少女。そう、私だ。
盗賊の襲撃を受けて、華麗に撃退した私はギルドから感謝されると共に、勧誘と口外しないように、っという念を押されてから開放された。
襲撃してきた盗賊は、本命の襲撃チームが撃退された事をしると、全員が散らばって逃げ出した。
私が射殺した一人を除いた三人は捕虜として捕らえられ、国の警察機関に連れて行かれた。その際にお礼としてそこそこの金額を貰い、ギルドの不手際を隠す為にそこそこの金を貰った。詰まる所、今の私は馬車で使った金額を遥かに超える大金を手に入れていた。
王都についたのは襲撃を受けてから翌日の事で、まだ総長だったのだが、事情聴取や捕まえた盗賊の引渡し、そして不手際を隠す為の口舌を聞いていたら、すっかり日が暮れていた。
まぁ、お金を貰う事が出来たため、文句は無い。
「さて、どうしようかな?」
王都に来たのは勿論、目的があるのだが、その目的が開催されるのは到着した今日から数えて一週間後。少しどころか、かなりの時間がある。
まずは当面の宿泊するべき宿を探して、歩き出すのが一番だろう。しかし、問題はこの王都、かなりでかい。
国に入国した時に貰った地図を見てみると、王都の大きさは馬鹿でかい。
まず、国は「居住区」「商業区」のニ種類に分けられる。王都の殆どがが居住区と商業区に占められており、今居る場所はその他の王都の中心から最も遠い居住区だ。
王都の中でも端から端まで移動するのに馬車で半日以上かかるほど大きい。
目的地は国の中心なので、まずは6時間ほど移動をしなければならないのだが、今日はもう夜。
軽くとはいえ、襲撃を受けて交戦したり、事情聴取を受けたりで少々疲れた。まずは宿を探すとしよう。
王都の中心からは離れているとはいえ、ここは王都。周りを見渡せば、夜だというのに煌々と明かりがついた食事所や、宿が並んでいる。
あ、いや良く見てみると宿と言うより休憩所・・・。
そうか。ギルドの本部からお金を得た男達を捕まる為に集まっているのか。
詰まる所。この辺りにあるのは居酒屋と娼婦達の居る夜のお店と言う事で、私みたいな見目麗しい少女が泊まるのに向いている店はない、ということか。
うーむ。そうなると先に行うべきなのは王都の中心へ向かうほうが良いな。
こういった国に限らず、夜というのは危険がいっぱいだ。
酔っ払い、変質者、人攫い。少なくとも、王都内での発砲は避けなくてはいけない。弾も作るのにかなりコストがかかったので、あと6発しかない。王都内で必要物品を集めて、作るつもりだったが、金が手に入ったので多めに作る事が出来そうだ。
もしくは、新しい武器を作るのも良いかも・・・。
ニコニコと考え事をしてると、遠巻きにこちらを見る男達。
ふむ。私の美貌に惚れたのだろうか?
何やらこそこそと何かを話しているようだ。ナンパなら悪い気はしないが・・・。
「(おい。やめとけって。吸血鬼みたいだぞ・・・。)」
「(あぁ、不気味な・・・。)」
「うむ、不愉快じゃ。」
どうやら褒められている訳ではない。余りうれしい物でもないので、とっとと移動する事にしよう。