第1章 03
「それじゃ軽く『GPS』の説明するね」
手に持った煎餅を一口食べてから真面目モードになる依里。
「お願いしますね、依里先生。」
こういう雰囲気の依里はふざけた事はしない事を知ってる水兎。少し茶化すが、真面目に聞く体制になる。
「せんせいはいやんっ。ってふざけてる場合じゃないね。それじゃエリちゃん先生の『GPS講座』~~♪どんどんぱふぱふ〜〜〜♪」
結局先生呼びを自ら受け入れる辺りノリのいい依里であった。
Grand Plain Saga 通称『GPS』。
フルダイヴ型のVPMMO。特徴は『全てを自らの手で創る』
キャラクターメイキングにも特徴があり、無数に用意されている『ルーツ(由来)』から最大4つまで選択して
第一から第四までに当て嵌める事によりキャラクターが表現される。
ルーツの例を挙げると、
『剣』『槍』『斧』『刀』『鞭』『拳』etc.の武器
『鍛冶』『裁縫』『調合』『革細工』etc.の生産
『○属性』『精霊魔法』『治癒』『錬金』『付与』etc.の魔法
『森人』『地人』『翼人』『獣人』『魔族』etc.の種族
『貴族』『狩人』『傭兵』『盗賊』『僧侶』『魔術師』etc.の職業
これら無数のルーツから第一から第四までに当て嵌めるのだが、注意する点は
『第一が一番影響が強く、第四が一番影響が弱いという事』である。(勿論成長である程度挽回可能)
種族で例を挙げると、『森人』を第一にすると『純血森人』となり、第四にすると『森人の血を薄く引いた』という事になるのだ。
第一から第四まで(重複可能)を埋めてしまえば取り敢えずキャラクターメイキングは完了する。
アーツ(技、魔法等)に関してはマニュアルとセミオートが存在する。
『マニュアル』実際に自分が行った動作や設定した魔法を登録し名前をつける事でアーツとして登録できる。トリガーも設定可能。例えば指パッチンで真空波という某偉大なる人の真似ができたりする。その代わり、詠唱や動作などを省略すればするほど消費が大きくなる。
『セミオート』サーバーに登録してある基本的な動作を組み合わせてアーツを作成する。剣での連撃だったり格闘ゲームでの乱舞技とかも可能。
「...といった辺りがさわりの部分かな?ミナちゃん質問するとこ有る?」
説明をひとまず終えた依里が水兎に質問が無いか聞く。
「そうね、ステータスはどうなってるの?説明に無かったけれど」
「あ、ステータスはHPとMPあとは所持スキル以外はマスクデータ。つまり隠されてるんだよ?」
「ふぅん。自分の力量は自分で数字に頼らず把握しろ、という事でいいかな?」
「うん。多分そういう事。リアル追求、というのもあると思うんだけど。」
言いながらも依里は化粧箱からVRギアを取り出し始める。自分宛ての箱はちゃっかりと鞄にしまい込んでいる。
「じゃ、次は実際にミナちゃんのキャラクターメイキングやってみる?」
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