持続魔法体系
「はい、グループ出来ましたねぇ。それでは皆さん、隣の人と手を繋いで円を作って下さい」
唯一5人グループが出来なかった俺達には目もくれず、先生がそんなことを言った。というか意識的に目を逸らしてないか・・・・・・?
授業展開が小学生のそれっぽいけど一体何がはじまるんだろうか。
俺が疑問に思っていると、リナが俺の両手を握ってきた。手袋越しなのが残念だったが、それでも握手したことを思い出してドキッとしてしまう。
「はい、ではね、持続魔法について説明しますね。持続魔法はご存じの通り自分が止めるまで発動し続ける魔法のことですが、一番の特徴は魔力消費が少ないところにあります」
「へぇ、そうなのか」
先生の話を聞いて俺が呟くと、リナが補足してくれた。
「持続魔法は基本的に自分の能力を変えるものだから、魔力を体内で循環させるだけで発動できるのニャ。その代わり、発動までに時間がかかるけどニャ」
「成る程、となるとこうやって手を繋いでるのは、複数人いた方が魔力を循環させる練習がしやすいとかそういう感じか」
「そうニャけど・・・・・・本当に魔法への理解力だけは異常ニャ、コウタは」
だけって言わないで!
先生が俺の予想通り、手を繋いでいる人と魔力を循環させるように言ってきた。
手を繋いで作った円に自分の魔力を流す練習をすることで、自分の中で魔力の円を作る感覚を学べるらしいのだが・・・・・・。
「で、できねぇ・・・・・・」
生前には勿論魔力なんて体感したこともないため、魔力を循環させるどころか、操る方法さえ全く分からない。
リナが慰めてくれる。
「魔法を使うこと自体が初めてなんだから、仕方がないニャ。それにコウタはさっき魔力を体から溢れさせてたし、きっと出来るニャ」
言いながら、リナが俺の手を握る力を強めてくる。
どうやらリナは両手から魔力を送り出して魔力を動かす感覚を伝えようとしてくれているようだが、魔力のまの字も感じない。
一度でも魔力を知覚できれば魔力操作は簡単らしいのだが、それの補助はリナの力をもってしても難しいようだ。
「や、やっぱり、二人だけなのがまずいっぽいニャア・・・・・・」
どうやら、この惨状さえも俺達のぼっちが原因のようだ。
異世界に来てまでコミュ力について悩むとは思わなかった・・・・・・というか思いたくなかったのに・・・・・・。
俺が絶望していると、何故かリナが体を俺に近づけてきた。そして、本当にわけが分からないんだけど、腰の動きだけで俺のズボンを引きずり下ろそうとしてくる。
なんだこれ! いきなり発情したのかこの猫耳少女!?
俺が驚愕していると、リナが理由を説明してくれた。
「魔力や魔法を体の外に出すときは、手の平や足の裏にある魔孔から出すのが基本なんニャけど・・・・・・。肌からも、ちょっとは魔力を出せるのニャ・・・・・・。だ、だから・・・・・・」
言葉の続きを実演するように、リナが俺のズボンを下ろし切った。あまりに容易い陥落。
そう。俺は部屋に引きこもっている状態で異世界に来たので、ここまでずっと、スライム戦も含めてパジャマ姿だったのである。叙述トリィィック。
そして、パンツ一丁となった俺の脚に、リナの脚がめっちゃ絡みついてきた。彼女は彼女でショートパンツしか履いてないので、彼女の肌の暖かさがそれはもうダイレクトに――――。
「魔力キタァァァァァ!」
「よ、良かったニャ!」
なんかもう、全身に魔力を感じるわ!
すげぇ! これが魔力ってやつか! ほえー!
でも俺が魔力を感じ取った瞬間に、リナが俺からバッと距離をとってしまった。残念、もう少し分からないふりをしとけば良かった。
リナが顔を真っ赤にして、汗をダラダラ垂らしながら言った。
「ふ、二人でも、なんとかなったニャ!」
俺も顔が熱くなっているのをかんじながら、頷く。
「ああ、俺達なら何でも出来そうな気がするな!」
「いやズボン履けニャ」
あっ。
ちょっと言うタイミング間違えたわ。
俺はリナと脚を絡ませた興奮を思い出すだけで魔力を循環させられるようになったので、ものすごい早さで《支援魔法強化》を習得し、翌日以降は支援魔法の授業をいくつか受けた。
前置き長いなーとお思いの皆様!実を言えば、これでもかなり短縮されております・・・・・・!バトル以外のシビアな日常も楽しんでいただければ幸いです!




