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「良く友達に聞かれるよ、『一宮と付き合ってるんだろ?』って」
「それは……私も良く言われるよ…」
告白は……恐れ多いけどされる
でも決まって言われるのが
『最初から振られると思ってたけど気持ちを伝えたかった』とか『やっぱり九条には敵わないよな』って台詞
幼馴染みだし確かに仲が良いのは認める
聞かれれば否定してたけど、学校では結構有名な噂
「そうか……楓はさ、その時全部否定してるよな?」
「…………」
「俺はしてない」
無言で頷くとさっきまで目も合わせてくれなかったのに蒼太は私を真っ直ぐ見つめて来た
え……?
これって……
蒼太の瞳は似てる
今まで告白をしてくれた男子と同じく決意に似た瞳
「蒼太っ……」
何となく嫌な感じになって直ぐに話題を変えようと思った矢先、立ち上がった蒼太は私の腕を掴んで引寄せる
「俺は幼馴染みじゃ嫌だ」
「……っ……!」
聞こえるのは蒼太の鼓動
「否定しないのも彼女を作らないのも…俺は楓が好きだから」
「…………」
「好きの意味は幼馴染みなんかの好きじゃない紅葉や奏との気持ちとは違うから」
「…………っ!!」
蒼太の言葉に想いっきり蒼太の胸を押して距離を取る
『奏』
「楓……俺……」
「違うよっ!…違うよ蒼太……私達は幼馴染みで……ずっと……仲良く…」
「……楓は俺が嫌い?」
そんな……
なんでそんな意地悪な言い方するの?
目の前の蒼太はいつもと違う
いつもの優しい蒼太じゃない
「嫌いじゃないよ、幼馴染みだし……」
「楓」
「でもそう言う意味じゃないよ、蒼太は違う……」
「俺は?」
どうしてだろう?
少しずつ距離を取ってるつもりなのに…蒼太との距離が縮まらない
見える池は離れてるのに……
「あのさ……」
「他に誰か居るのか?」
「……っ!」
この話題を…蒼太の話を無かった事にしたくて目を泳がせてしまってた私の手首が痛くなる
「楓、俺……」
「やめて!!」
蒼太に捕まれれてた手首を捻って振り払う
自分もかなり痛かったけど、あのままの方が嫌だった
「楓っ!」
蒼太から離れる様にとにかく走った
まだ明るい園内、蒼太の声が楽しく遊んでる子供達の声に変わると私は漸く走る勢いを弱めた




