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昔を思い出すなぁ…
紅葉の自転車のブレーキが弱くてこの坂を中々止まれなかった時……蒼太が止めてくれたっけ…
『ありがとう、そうたお兄ちゃん!』
あの時既に紅葉の女子力は群を抜いてたな
お兄ちゃんって台詞も男としてはツボらしいけど。
でもあの時、私も紅葉を助けようと思った………だけど
『かえでちゃんは女の子何だからあぶないよ』
そうやって私を止めてくれた手も思い出すと何だか恥ずかしくなる
あの時も……いつも私を『女の子』として扱ってくれた彼
「……元気かなぁ」
「あ?何か言ったか!?」
「ううん!何でも無いよ!」
危ない…呟いただけだったのに聞こえてたとは…
『好きな人の名前は言うな』
名前は言ってないけど気を付けないと!
琴音の約束を何故か守ろうとしてる私
琴音は感か昔鋭いから絶対に何か知ってる、何となく約束は破ったら自分にマイナスになる様な気がするから
家に着く少し前の公園で蒼太が自転車を止めた
「蒼太?」
髪が流れて気持ち良い初夏の風を満喫してた私は最初、家に着いたのかと思った
「降りて…ちょっと話が有るって言ったろ?」
「うん……」
少し広めの公園で子供達が遊ぶ場所は勿論だけ大人が休める様な場所も多い
琴音と寄って木の椅子に座ってアイスを食べたりした事もある。
少し前を歩く蒼太に後ろからゆっくり着いていく
「子供の時さ、良く遊んだよね?」
「あぁ」
「あの時より広くなってるよね?増築?拡大?なんて言うのかな…」
「………」
さっきから私はお喋りだ
前を歩いてるから蒼太の顔は見えないし、何だかいつもと様子が違う
こんなに話してたら優しい蒼太は必ず振り返って話してくれるから
まず、2人で歩いてるこの距離がもどかしい
「蒼太……話って?」
自分から切り出したのは誤算
でも私には蒼太とのこの沈黙は耐えられなかった
「……この前さ、お前告白されただろ?」
「…………」
「この前だけじゃない…高校入ってから結構、お前は女子人気高いけど男子からも相当高いって知ってた?」
「…………」
「まぁ、告白されてるんだから知ってるか……」
少し自閉気味に笑って蒼太は池の見える場所の長椅子に座った
私は隣にはなんとなく座れなくて立ったまま




