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再び声を潜めて私に聞いてくる
「当たり前じゃない……誰にも言ってないよ……琴音しか……」
蒼太になんて言えるわけがないっ!
妹が1番なら蒼太には2番目に言いたくない…
「……そう」
「ねぇ、何が面倒になるのよ?面倒になるなら今日の約束止めようか?」
一緒に帰る事が関係してるなら、それを中止にすればいい
「あ~ムリムリ、そんなの少しだけ時間稼げるだけだよ、相手はもう行動するって決めちゃったんだから、今日逃げたとしても明日とか明後日に延びるだけ……」
外人の様にオーバーリアクションの琴音
声を潜めてるのにジェスチャーは大きい
それに、琴音は蒼太の用が解ってるみたいだけど、私には教えてくれないらしい
「……私にとって嫌な事なんだよね……?」
蒼太が私に?
小さい時から同い年なのに面倒見が良くて、優しい蒼太が?
少し思い出しても意地悪なんてされた事無いのに
「1つだけ教えてあげる」
「何!?」
「好きな人の事を絶対に言わない事」
「好きな……私の?」
「そう、名前なんて言語道断、どんな事言われても駄目」
「そんなの……言うわけ無いじゃん!!」
バンっと机を叩きながら席を立つ
言葉に気合が入り過ぎて思わず行動に移してしまった
「お前たち、煩いぞ!」
遂に先生に怒られた
当たり前だ、授業前とは言え、椅子から落ちたり、いきなり席から立ち上がったり…
「「すみません……」」
私は前を向いて1時間目の準備をしてると背中を小さく叩かれる
「…………」
流石に振り向く事は出来ないし、琴音も解ってる筈
この辺は長年のアイコンタクトと言うか琴音の行動が解った
手だけを後ろに伸ばすと思った通り掌に何かを渡された
『後で話そう』
……何なんだろ?
紙を開くと書いてた文字に首を捻る
蒼太の誘いで、私の日常は大きく変化する事になる
私だけじゃなくて周りの人達も……
放課後になり、琴音は先に帰って行った
気のせいかな?逃げるように見えたのは……
『取り敢えず覚悟して行け!』
話そうと言って放課後までの休み時間何度も話したけど、琴音は決定的な事は教えてくれなかった
「……あの顔は絶対何か知ってる」




