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吟遊詩人の忘れ語り

-凶鶏と冠蛇の甃の清眸-

作者: -Sare-
掲載日:2016/11/24

 はい、どうも!やっと此処迄来れました。もうテンション上げ上げです。

 今回は新規で書いた五話の最終回になります。ま、又書こうとは思ってるんですけどね。小休止って事で。

 個人的に割と気に入った話になりました。迚も書いてて楽しかったです。矢っ張り幻獣は良い物です。

 今回も又二匹、コカトリスとバジリスクです。筆者としては一応分けてるつもりですが、文献によっては同一視したり、単に国によって呼び方が変わった丈、と言われたりもするんですけどね。一寸筆者なりの区別の仕方で書かせて貰いました。(今迄もそんなのざらだったけど。)

 実際の文献とは多少異なる所もあるので悪しからず。

 では自己紹介を。コカトリスは鶏さんです。鱗に覆われた頸と毒のある長い尾、膜の張った翼を持ち、鶏の卵を蟇蛙に温めさせると生まれるんだとか。睨まれたら石になっちゃいます。最早鶏じゃないですよね。反対に彼を鶏だと言った方が凄いです。・・・実は名前が先行してコカトリスのコッカが鶏だから其の要素が含まれた、とか言われたり。

 次はバジリスクさん。足と鶏冠のある蛇ですね。火を吐き、見た者を石にし、皓い斑点のある鶏冠から猛毒を出し、其の息は石を砕くと言う。蛇の王とされてます。もう恐過ぎますね。もう此の子も最早蛇じゃないですね。何方かと言うと蜥蜴、否ドラゴンっぽい。足があるのに何故蜥蜴じゃなく蛇なのか、其は学術的にも生物的にも迚も難しい所なのでしょう。足が退化する前の蛇みたいに捉えましょう。

 前述の通り、此は筆者なりの分け方なので、二匹を混合させて幾つか追加したのや派生したのが文献には沢山あるので詳しくは御自分で御調べする事を強く推奨します。

 さて、此の二匹の共通は見た者を石に変える化物と言う事丈。さて、そんな彼らが出会った時、欠けた歯車はどんな時を刻むのか。

 何故彼等には石に変える呪いを宿して生まれたのでしょうか、其の宿命とは。

 ある村(ムラ)、当(ア)たり障(サワ)りのない村(ムラ)だったが一(ヒト)つ丈(ダケ)、秘密(ヒミツ)があった

 村(ムラ)は多(オオ)くの鶏(ニワトリ)で生計(セイケイ)を立(タ)てていた

 其(ソ)の鶏(ニワトリ)の中(ナカ)に一羽(イチワ)丈(ダケ)目隠(メカク)しをした鶏(ニワトリ)が居(イ)た

 でも変(カ)わっているのは其(ソレ)丈(ダケ)ではない

 鱗(ウロコ)に覆(オオ)われた頸(クビ)と長(ナガ)い尾(オ)、膜(マク)の張(ハ)った翼(ツバサ)

 尾(オ)を上(ア)げて歩(アル)く様(サマ)が剽軽(ヒョウキン)にも見(ミ)えるは凶鶏(コカトリス)

 昔(ムカシ)ある魔術師(マジュツシ)が育(ソダ)て上(ア)げた其(ソ)の鶏(ニワトリ)は数奇(スウキ)な廻(メグ)り合(ア)わせで此(コ)の村(ムラ)の守護(シュゴ)獣(ジュウ)として置(オ)かれていたのだ


 何時(イツ)もの様(ヨウ)に村(ムラ)を散歩(サンポ)していた凶鶏(コカトリス)

 一人(ヒトリ)の少年(ショウネン)が面(オモ)白(シロ)半分(ハンブン)に囃(ハヤ)し立(タ)てた

「目(メ)無(ナ)し鶏(ニワトリ)の御通(オトオ)りだ。柵(サク)に当(ア)たるな、穴(アナ)に嵌(ハマ)るな。」

「目(メ)無(ナ)しじゃないよ。村(ムラ)で知(シ)らない道(ミチ)も無(ナ)い。」

甲高(カンダカ)く詠(ウタ)う様(ヨウ)に凶鶏(コカトリス)は応(コタ)えた

 もう何十年(ナンジュウネン)と生(イ)きた凶鶏(コカトリス)は口(クチ)が利(キ)けたのだ

「じゃあ如何(ドウ)して目隠(メカク)しなんかしているの?何(ナン)の意味(イミ)があるんだい?」

「さぁ其(ソレ)は私(ワタシ)にも分(ワ)からない。生(ウ)まれた時(トキ)からしているからね。」

「若(モ)しかして景色(ケシキ)も見(ミ)た事(コト)ないのかい?今迄(イママデ)ずっと。」

「然(ソ)うなんだ。私(ワタシ)は旻(ソラ)の色(イロ)も知(シ)らないし、君(キミ)の顔(カオ)も分(ワ)からないんだ。」

「然(ソ)うかい。じゃあ其の目隠(メカク)し、取ってあげよう。何(ナニ)も見(ミ)えないのはつまらないでしょ。」

「本当(ホントウ)かい?其(ソレ)は楽(タノ)しみだ。噫(アア)尾(オ)には気(キ)を付(ツ)けて、毒(ドク)があるからね。」


少年(ショウネン)は凶鶏(コカトリス)の目隠(メカク)しを取(ト)ってやりました

 現(アラワ)れるは迚(トテ)も澄(ス)んだ蒼(アオ)い瞳(ヒトミ)

 少年(ショウネン)は其(ソ)の美(ウツク)しさに息(イキ)を呑(ノ)んだ刹那(セツナ)、石(イシ)になってしまった

 初(ハジ)めて見(ミ)る景色(ケシキ)に凶鶏(コカトリス)は目(メ)を瞬(シバタ)かせた

 見(ミ)る物(モノ)全(スベ)てが美(ウツク)しく珍(メズラ)しくて凶鶏(コカトリス)は歓声(カンセイ)を上(ア)げた

「噫坊(アアボウ)や、何(ナン)て素晴(スバラ)しいんだ。此(コレ)が色(イロ)って物(モノ)か。見(ミ)るって事(コト)なのか。」


でも少年(ショウネン)は応(コタ)えない

 凶鶏(コカトリス)は不思議(フシギ)に思(オモ)って目(メ)の前(マエ)にある石(イシ)の像(ゾウ)を突(ツ)いてみた

 声(コエ)の方(ホウ)からして此(コ)の石(イシ)の周(アタ)りに少年(ショウネン)は居(イ)た筈(ハズ)なのに

 嘴(クチバシ)の感覚(カンカク)から其(ソレ)が石(イシ)だと分(ワ)かると凶鶏(コカトリス)は首(クビ)を傾(カシ)げた

 おかしいな、彼(ア)の少年(ショウネン)は何処(ドコ)へ行(イ)ってしまったんだろう

 取(ト)り敢(ア)えず凶鶏(コカトリス)は散歩(サンポ)を再開(サイカイ)する事(コト)にした


 暫(シバラ)く行(イ)くと次(ツギ)は農夫(ノウフ)に会(ア)った

 機嫌(キゲン)の良(イ)い凶鶏(コカトリス)、陽気(ヨウキ)に彼(カレ)に声(コエ)を掛(カ)けた

「やぁ小父(オジ)さん。小父(オジ)さんとっても背(セ)が高(タカ)いのね。でも其(ソ)の鍬(クワ)の音(オト)で直(ス)ぐ分(ワ)かったわ。」

「噫(アア)凶鶏(コカトリス)、良(イ)い天気(テンキ)だね。」

其限(ソレキリ)農夫(ノウフ)も石(イシ)になってしまった

 今回(コンカイ)は其(ソ)の様(サマ)をしっかりと見(ミ)てしまった凶鶏(コカトリス)

 皆(ミンナ)次々(ツギツギ)と石(イシ)になって行(イ)く事(コト)に気付(キヅ)きました

「大変(タイヘン)だ大変(タイヘン)だ!皆々(ミンナミンナ)石(イシ)になってしまう!」

大(オオ)慌(アワ)てで凶鶏(コカトリス)は村中(ムラジュウ)の皆(ミンナ)に知(シ)らせようと走(ハシ)り出(ダ)しました


 自分(ジブン)が其(ソ)の呪(ノロ)いを振(フ)り撒(マ)いているとも気付(キヅ)かず

 只(タダ)気付(キヅ)けば村(ムラ)は石像(セキゾウ)で溢(アフ)れ返(カエ)っていた

 人(ヒト)も鶏(ニワトリ)も他(ホカ)の動物(ドウブツ)や虫(ムシ)も皆(ミンナ)凶鶏(コカトリス)と目(メ)を合(ア)わせたが為(タメ)に解(ト)けない呪(ノロ)いに掛(カ)かってしまった

 此(コ)の怪(カイ)現象(ゲンショウ)にすっかり恐(オソ)れをなした凶鶏(コカトリス)は村(ムラ)を飛(ト)び出(ダ)した


 暫(シバラ)く凶鶏(コカトリス)が歩(アル)くと奇妙(キミョウ)な蛇(クチナワ)に出会(デクワ)した

 否(イヤ)でも彼(アレ)は蛇(クチナワ)ではないのかも知(シ)れない

 足(アシ)はあるし、凶鶏(コカトリス)の様(ヨウ)に鶏冠(トサカ)がある

 でも凶鶏(コカトリス)はどんな物(モノ)であれ見(ミ)た事(コト)がなかったのでそんな事(コト)は構(カマ)わず声(コエ)を掛(カ)けた

「噫(アア)其処(ソコ)の方(カタ)、如何(ドウ)か話(ハナシ)を聞(キ)いてくれないですか。」

「おっと、悪(ワル)いが私(ワタシ)と目(メ)を合(ア)わせないでおくれ。石(イシ)になってしまうからね。」

「然(ソ)うです!村(ムラ)の皆(ミンナ)が何故(ナゼ)か石(イシ)になって行(イ)くんです。」

凶鶏(コカトリス)の話(ハナシ)に興味(キョウミ)を持(モ)った蛇(クチナワ)は経緯(イキサツ)を聞(キ)く事(コト)にした

「ははぁ分(ワ)かったぞ。君(キミ)は私(ワタシ)と同(オナ)じ力(チカラ)があるんだ。見(ミ)た者(モノ)を石(イシ)にする力(チカラ)が。だから私(ワタシ)が見(ミ)ても力(チカラ)が相殺(ソウサイ)されて無事(ブジ)なんだ。」

「では私(ワタシ)が村(ムラ)の皆(ミンナ)を石(イシ)にしてしまったのですか。尾(オ)に丈(ダケ)気(キ)を付(ツ)けていれば良(イ)いと思(オモ)ったのに私(ワタシ)は何(ナン)て事(コト)をしてしまったんでしょう。」

「まぁ然(ソ)う御嘆(オナゲ)きなさんな凶鶏(コカトリス)。其(ソレ)でも此(コ)の色(イロ)や景色(ケシキ)は迚(トテ)も素晴(スバラ)しかったんだろう?奴等(ヤツラ)は永(ナガ)い間(アイダ)君(キミ)から其(ソレ)を奪(ウバ)っていたんだ。当然(トウゼン)の報(ムク)いさ。」

「確(タシ)かに見(ミ)える事(コト)は素晴(スバラ)しいわ。でも私(ワタシ)の所為(セイ)で皆(ミンナ)石(イシ)になってしまうなら、こんな目(メ)なんて。」

「如何(ドウ)だろうか。私(ワタシ)は冠蛇(バジリスク)、私(ワタシ)は今迄(イママデ)共(トモ)に語(カタ)れる朋(トモ)を探(サガ)していたんだ。此(コ)の不自由(フジユウ)な眸(ヒトミ)で世界(セカイ)を共(トモ)に廻(メグ)らないかい?」

「冠蛇(バジリスク)さん。良(イ)いのですか。私(ワタシ)は石(イシ)丈(ダケ)でなく毒(ドク)もあるんですよ。」

「何(ナニ)、私(ワタシ)も焔(ホノオ)を吹(フ)くよ。でもそんなの大(タイ)した問題(モンダイ)じゃないだろう。私(ワタシ)は今(イマ)から蛇石女(メドゥーサ)の村(ムラ)へ行(ユ)くつもりだ。彼等(カレラ)も同(オナ)じ力(チカラ)を持(モ)っているからね。」

凶鶏(コカトリス)と冠蛇(バジリスク)は旅(タビ)を共(トモ)にする事(コト)にした

甃(イシダタミ)を進(スス)む彼等(カレラ)の旅路(タビジ)は未(マ)だ初(ハジ)まった許(バカ)り


  -Fin-

 終わっちゃいましたね。旅立ちエンド、Nextend。「未だ未だ俺達の冒険は続くぜ! -Sare-先生の今後の活躍に御期待下さい!」みたいな。完全に打ち切りのノリだ!

 彼等の旅が終わる時、其は世界の命が全て石へ変えられた時でしょう。

 でも見られたら石になるって中々ファンタジーで魅惑的ですよね。今となればメドゥーサ達の御蔭かゲームでも石化と言う状態以上がある位メジャーな物になって来ましたけど、大抵其の状態は戦闘不能と同各レベルになり勝ちです。あるアイテムとかじゃないと治せないし、全員が其の状態になればゲームオーバーみたいな。厄介ですね、フフッ。

 でも矢っ張り想像を絶する能力の気がします。良くモンスターが火を吹いたり水を吐いたりしますけれど、彼は体内に火焔袋があるとか、水袋を瞬間的に圧縮させるとか言うじゃないですか。でも石化は?

 睨まれたら動けなくなるから飛躍した能力でしょうが、つまり此、触れなくても相手の躯に作用を及ぼしていると言う訳ですよね。視線に触れると言いますか、一応今作は目を合わせたら石になる、としましたが、本来は睨まれたら、なのだからもう対策の仕様がないですよね。常に見えない殺害ビームを目から放っている訳です。正にファンタジー、やっぱ石化ってロマンを感じます。

 今回の二匹は迚も気に入っているので、二匹の旅を一つの話として書くのも良いなぁと思ってるんですけどね、一寸考えときましょう。

 呪いを振り撒きつつも不条理な世界を不条理な力で押さえ付け、奪い、旅をした果てに何を見るのか。わぁ、中二病すぐる、かっくいー。又こんな破滅で素敵な世界を覗ける様になる迄暫し御別れです。

 では良い物語を。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人間が他の動物に報復されるという作品は多いですが、同じ能力を持った生き物が協力するというのは珍しいと思いました。無意識に周りを石にしてしまいつつも、初めて見る景色に喜ぶ子、友達になれる相手…
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