表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

吟遊詩人の忘れ語り

-凶鶏と冠蛇の甃の清眸-

作者: -Sare-

 はい、どうも!やっと此処迄来れました。もうテンション上げ上げです。

 今回は新規で書いた五話の最終回になります。ま、又書こうとは思ってるんですけどね。小休止って事で。

 個人的に割と気に入った話になりました。迚も書いてて楽しかったです。矢っ張り幻獣は良い物です。

 今回も又二匹、コカトリスとバジリスクです。筆者としては一応分けてるつもりですが、文献によっては同一視したり、単に国によって呼び方が変わった丈、と言われたりもするんですけどね。一寸筆者なりの区別の仕方で書かせて貰いました。(今迄もそんなのざらだったけど。)

 実際の文献とは多少異なる所もあるので悪しからず。

 では自己紹介を。コカトリスは鶏さんです。鱗に覆われた頸と毒のある長い尾、膜の張った翼を持ち、鶏の卵を蟇蛙に温めさせると生まれるんだとか。睨まれたら石になっちゃいます。最早鶏じゃないですよね。反対に彼を鶏だと言った方が凄いです。・・・実は名前が先行してコカトリスのコッカが鶏だから其の要素が含まれた、とか言われたり。

 次はバジリスクさん。足と鶏冠のある蛇ですね。火を吐き、見た者を石にし、皓い斑点のある鶏冠から猛毒を出し、其の息は石を砕くと言う。蛇の王とされてます。もう恐過ぎますね。もう此の子も最早蛇じゃないですね。何方かと言うと蜥蜴、否ドラゴンっぽい。足があるのに何故蜥蜴じゃなく蛇なのか、其は学術的にも生物的にも迚も難しい所なのでしょう。足が退化する前の蛇みたいに捉えましょう。

 前述の通り、此は筆者なりの分け方なので、二匹を混合させて幾つか追加したのや派生したのが文献には沢山あるので詳しくは御自分で御調べする事を強く推奨します。

 さて、此の二匹の共通は見た者を石に変える化物と言う事丈。さて、そんな彼らが出会った時、欠けた歯車はどんな時を刻むのか。

 何故彼等には石に変える呪いを宿して生まれたのでしょうか、其の宿命とは。

 ある(ムラ)()たり(サワ)りのない(ムラ)だったが(ヒト)(ダケ)秘密(ヒミツ)があった

 (ムラ)(オオ)くの(ニワトリ)生計(セイケイ)()てていた

 ()(ニワトリ)(ナカ)一羽(イチワ)(ダケ)目隠(メカク)しをした(ニワトリ)()

 でも()わっているのは(ソレ)(ダケ)ではない

 (ウロコ)(オオ)われた(クビ)(ナガ)()(マク)()った(ツバサ)

 ()()げて(アル)(サマ)剽軽(ヒョウキン)にも()えるは凶鶏(コカトリス)

 (ムカシ)ある魔術師(マジュツシ)(ソダ)()げた()(ニワトリ)数奇(スウキ)(メグ)()わせで()(ムラ)守護(シュゴ)(ジュウ)として()かれていたのだ


 何時(イツ)もの(ヨウ)(ムラ)散歩(サンポ)していた凶鶏(コカトリス)

 一人(ヒトリ)少年(ショウネン)(オモ)(シロ)半分(ハンブン)(ハヤ)()てた

()()(ニワトリ)御通(オトオ)りだ。(サク)()たるな、(アナ)(ハマ)るな。」

()()しじゃないよ。(ムラ)()らない(ミチ)()い。」

甲高(カンダカ)(ウタ)(ヨウ)凶鶏(コカトリス)(コタ)えた

 もう何十年(ナンジュウネン)()きた凶鶏(コカトリス)(クチ)()けたのだ

「じゃあ如何(ドウ)して目隠(メカク)しなんかしているの?(ナン)意味(イミ)があるんだい?」

「さぁ(ソレ)(ワタシ)にも()からない。()まれた(トキ)からしているからね。」

()しかして景色(ケシキ)()(コト)ないのかい?今迄(イママデ)ずっと。」

()うなんだ。(ワタシ)(ソラ)(イロ)()らないし、(キミ)(カオ)()からないんだ。」

()うかい。じゃあ其の目隠(メカク)し、取ってあげよう。(ナニ)()えないのはつまらないでしょ。」

本当(ホントウ)かい?(ソレ)(タノ)しみだ。(アア)()には()()けて、(ドク)があるからね。」


少年(ショウネン)凶鶏(コカトリス)目隠(メカク)しを()ってやりました

 (アラワ)れるは(トテ)()んだ(アオ)(ヒトミ)

 少年(ショウネン)()(ウツク)しさに(イキ)()んだ刹那(セツナ)(イシ)になってしまった

 (ハジ)めて()景色(ケシキ)凶鶏(コカトリス)()(シバタ)かせた

 ()(モノ)(スベ)てが(ウツク)しく(メズラ)しくて凶鶏(コカトリス)歓声(カンセイ)()げた

噫坊(アアボウ)や、(ナン)素晴(スバラ)しいんだ。(コレ)(イロ)って(モノ)か。()るって(コト)なのか。」


でも少年(ショウネン)(コタ)えない

 凶鶏(コカトリス)不思議(フシギ)(オモ)って()(マエ)にある(イシ)(ゾウ)()いてみた

 (コエ)(ホウ)からして()(イシ)(アタ)りに少年(ショウネン)()(ハズ)なのに

 (クチバシ)感覚(カンカク)から(ソレ)(イシ)だと()かると凶鶏(コカトリス)(クビ)(カシ)げた

 おかしいな、少年(ショウネン)何処(ドコ)()ってしまったんだろう

 ()()えず凶鶏(コカトリス)散歩(サンポ)再開(サイカイ)する(コト)にした


 (シバラ)()くと(ツギ)農夫(ノウフ)()った

 機嫌(キゲン)()凶鶏(コカトリス)陽気(ヨウキ)(カレ)(コエ)()けた

「やぁ小父(オジ)さん。小父(オジ)さんとっても()(タカ)いのね。でも()(クワ)(オト)()()かったわ。」

(アア)凶鶏(コカトリス)()天気(テンキ)だね。」

其限(ソレキリ)農夫(ノウフ)(イシ)になってしまった

 今回(コンカイ)()(サマ)をしっかりと()てしまった凶鶏(コカトリス)

 (ミンナ)次々(ツギツギ)(イシ)になって()(コト)気付(キヅ)きました

大変(タイヘン)大変(タイヘン)だ!皆々(ミンナミンナ)(イシ)になってしまう!」

(オオ)(アワ)てで凶鶏(コカトリス)村中(ムラジュウ)(ミンナ)()らせようと(ハシ)()しました


 自分(ジブン)()(ノロ)いを()()いているとも気付(キヅ)かず

 (タダ)気付(キヅ)けば(ムラ)石像(セキゾウ)(アフ)(カエ)っていた

 (ヒト)(ニワトリ)(ホカ)動物(ドウブツ)(ムシ)(ミンナ)凶鶏(コカトリス)()()わせたが(タメ)()けない(ノロ)いに()かってしまった

 ()(カイ)現象(ゲンショウ)にすっかり(オソ)れをなした凶鶏(コカトリス)(ムラ)()()した


 (シバラ)凶鶏(コカトリス)(アル)くと奇妙(キミョウ)(クチナワ)出会(デクワ)した

 (イヤ)でも(アレ)(クチナワ)ではないのかも()れない

 (アシ)はあるし、凶鶏(コカトリス)(ヨウ)鶏冠(トサカ)がある

 でも凶鶏(コカトリス)はどんな(モノ)であれ()(コト)がなかったのでそんな(コト)(カマ)わず(コエ)()けた

(アア)其処(ソコ)(カタ)如何(ドウ)(ハナシ)()いてくれないですか。」

「おっと、(ワル)いが(ワタシ)()()わせないでおくれ。(イシ)になってしまうからね。」

()うです!(ムラ)(ミンナ)何故(ナゼ)(イシ)になって()くんです。」

凶鶏(コカトリス)(ハナシ)興味(キョウミ)()った(クチナワ)経緯(イキサツ)()(コト)にした

「ははぁ()かったぞ。(キミ)(ワタシ)(オナ)(チカラ)があるんだ。()(モノ)(イシ)にする(チカラ)が。だから(ワタシ)()ても(チカラ)相殺(ソウサイ)されて無事(ブジ)なんだ。」

「では(ワタシ)(ムラ)(ミンナ)(イシ)にしてしまったのですか。()(ダケ)()()けていれば()いと(オモ)ったのに(ワタシ)(ナン)(コト)をしてしまったんでしょう。」

「まぁ()御嘆(オナゲ)きなさんな凶鶏(コカトリス)(ソレ)でも()(イロ)景色(ケシキ)(トテ)素晴(スバラ)しかったんだろう?奴等(ヤツラ)(ナガ)(アイダ)(キミ)から(ソレ)(ウバ)っていたんだ。当然(トウゼン)(ムク)いさ。」

(タシ)かに()える(コト)素晴(スバラ)しいわ。でも(ワタシ)所為(セイ)(ミンナ)(イシ)になってしまうなら、こんな()なんて。」

如何(ドウ)だろうか。(ワタシ)冠蛇(バジリスク)(ワタシ)今迄(イママデ)(トモ)(カタ)れる(トモ)(サガ)していたんだ。()不自由(フジユウ)(ヒトミ)世界(セカイ)(トモ)(メグ)らないかい?」

冠蛇(バジリスク)さん。()いのですか。(ワタシ)(イシ)(ダケ)でなく(ドク)もあるんですよ。」

(ナニ)(ワタシ)(ホノオ)()くよ。でもそんなの(タイ)した問題(モンダイ)じゃないだろう。(ワタシ)(イマ)から蛇石女(メドゥーサ)(ムラ)()くつもりだ。彼等(カレラ)(オナ)(チカラ)()っているからね。」

凶鶏(コカトリス)冠蛇(バジリスク)(タビ)(トモ)にする(コト)にした

(イシダタミ)(スス)彼等(カレラ)旅路(タビジ)()(ハジ)まった(バカ)


  -Fin-

 終わっちゃいましたね。旅立ちエンド、Nextend。「未だ未だ俺達の冒険は続くぜ! -Sare-先生の今後の活躍に御期待下さい!」みたいな。完全に打ち切りのノリだ!

 彼等の旅が終わる時、其は世界の命が全て石へ変えられた時でしょう。

 でも見られたら石になるって中々ファンタジーで魅惑的ですよね。今となればメドゥーサ達の御蔭かゲームでも石化と言う状態以上がある位メジャーな物になって来ましたけど、大抵其の状態は戦闘不能と同各レベルになり勝ちです。あるアイテムとかじゃないと治せないし、全員が其の状態になればゲームオーバーみたいな。厄介ですね、フフッ。

 でも矢っ張り想像を絶する能力の気がします。良くモンスターが火を吹いたり水を吐いたりしますけれど、彼は体内に火焔袋があるとか、水袋を瞬間的に圧縮させるとか言うじゃないですか。でも石化は?

 睨まれたら動けなくなるから飛躍した能力でしょうが、つまり此、触れなくても相手の躯に作用を及ぼしていると言う訳ですよね。視線に触れると言いますか、一応今作は目を合わせたら石になる、としましたが、本来は睨まれたら、なのだからもう対策の仕様がないですよね。常に見えない殺害ビームを目から放っている訳です。正にファンタジー、やっぱ石化ってロマンを感じます。

 今回の二匹は迚も気に入っているので、二匹の旅を一つの話として書くのも良いなぁと思ってるんですけどね、一寸考えときましょう。

 呪いを振り撒きつつも不条理な世界を不条理な力で押さえ付け、奪い、旅をした果てに何を見るのか。わぁ、中二病すぐる、かっくいー。又こんな破滅で素敵な世界を覗ける様になる迄暫し御別れです。

 では良い物語を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 人間が他の動物に報復されるという作品は多いですが、同じ能力を持った生き物が協力するというのは珍しいと思いました。無意識に周りを石にしてしまいつつも、初めて見る景色に喜ぶ子、友達になれる相手…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ