-凶鶏と冠蛇の甃の清眸-
はい、どうも!やっと此処迄来れました。もうテンション上げ上げです。
今回は新規で書いた五話の最終回になります。ま、又書こうとは思ってるんですけどね。小休止って事で。
個人的に割と気に入った話になりました。迚も書いてて楽しかったです。矢っ張り幻獣は良い物です。
今回も又二匹、コカトリスとバジリスクです。筆者としては一応分けてるつもりですが、文献によっては同一視したり、単に国によって呼び方が変わった丈、と言われたりもするんですけどね。一寸筆者なりの区別の仕方で書かせて貰いました。(今迄もそんなのざらだったけど。)
実際の文献とは多少異なる所もあるので悪しからず。
では自己紹介を。コカトリスは鶏さんです。鱗に覆われた頸と毒のある長い尾、膜の張った翼を持ち、鶏の卵を蟇蛙に温めさせると生まれるんだとか。睨まれたら石になっちゃいます。最早鶏じゃないですよね。反対に彼を鶏だと言った方が凄いです。・・・実は名前が先行してコカトリスのコッカが鶏だから其の要素が含まれた、とか言われたり。
次はバジリスクさん。足と鶏冠のある蛇ですね。火を吐き、見た者を石にし、皓い斑点のある鶏冠から猛毒を出し、其の息は石を砕くと言う。蛇の王とされてます。もう恐過ぎますね。もう此の子も最早蛇じゃないですね。何方かと言うと蜥蜴、否ドラゴンっぽい。足があるのに何故蜥蜴じゃなく蛇なのか、其は学術的にも生物的にも迚も難しい所なのでしょう。足が退化する前の蛇みたいに捉えましょう。
前述の通り、此は筆者なりの分け方なので、二匹を混合させて幾つか追加したのや派生したのが文献には沢山あるので詳しくは御自分で御調べする事を強く推奨します。
さて、此の二匹の共通は見た者を石に変える化物と言う事丈。さて、そんな彼らが出会った時、欠けた歯車はどんな時を刻むのか。
何故彼等には石に変える呪いを宿して生まれたのでしょうか、其の宿命とは。
ある村、当たり障りのない村だったが一つ丈、秘密があった
村は多くの鶏で生計を立てていた
其の鶏の中に一羽丈目隠しをした鶏が居た
でも変わっているのは其丈ではない
鱗に覆われた頸と長い尾、膜の張った翼
尾を上げて歩く様が剽軽にも見えるは凶鶏
昔ある魔術師が育て上げた其の鶏は数奇な廻り合わせで此の村の守護獣として置かれていたのだ
何時もの様に村を散歩していた凶鶏
一人の少年が面白半分に囃し立てた
「目無し鶏の御通りだ。柵に当たるな、穴に嵌るな。」
「目無しじゃないよ。村で知らない道も無い。」
甲高く詠う様に凶鶏は応えた
もう何十年と生きた凶鶏は口が利けたのだ
「じゃあ如何して目隠しなんかしているの?何の意味があるんだい?」
「さぁ其は私にも分からない。生まれた時からしているからね。」
「若しかして景色も見た事ないのかい?今迄ずっと。」
「然うなんだ。私は旻の色も知らないし、君の顔も分からないんだ。」
「然うかい。じゃあ其の目隠し、取ってあげよう。何も見えないのはつまらないでしょ。」
「本当かい?其は楽しみだ。噫尾には気を付けて、毒があるからね。」
少年は凶鶏の目隠しを取ってやりました
現れるは迚も澄んだ蒼い瞳
少年は其の美しさに息を呑んだ刹那、石になってしまった
初めて見る景色に凶鶏は目を瞬かせた
見る物全てが美しく珍しくて凶鶏は歓声を上げた
「噫坊や、何て素晴しいんだ。此が色って物か。見るって事なのか。」
でも少年は応えない
凶鶏は不思議に思って目の前にある石の像を突いてみた
声の方からして此の石の周りに少年は居た筈なのに
嘴の感覚から其が石だと分かると凶鶏は首を傾げた
おかしいな、彼の少年は何処へ行ってしまったんだろう
取り敢えず凶鶏は散歩を再開する事にした
暫く行くと次は農夫に会った
機嫌の良い凶鶏、陽気に彼に声を掛けた
「やぁ小父さん。小父さんとっても背が高いのね。でも其の鍬の音で直ぐ分かったわ。」
「噫凶鶏、良い天気だね。」
其限農夫も石になってしまった
今回は其の様をしっかりと見てしまった凶鶏
皆次々と石になって行く事に気付きました
「大変だ大変だ!皆々石になってしまう!」
大慌てで凶鶏は村中の皆に知らせようと走り出しました
自分が其の呪いを振り撒いているとも気付かず
只気付けば村は石像で溢れ返っていた
人も鶏も他の動物や虫も皆凶鶏と目を合わせたが為に解けない呪いに掛かってしまった
此の怪現象にすっかり恐れをなした凶鶏は村を飛び出した
暫く凶鶏が歩くと奇妙な蛇に出会した
否でも彼は蛇ではないのかも知れない
足はあるし、凶鶏の様に鶏冠がある
でも凶鶏はどんな物であれ見た事がなかったのでそんな事は構わず声を掛けた
「噫其処の方、如何か話を聞いてくれないですか。」
「おっと、悪いが私と目を合わせないでおくれ。石になってしまうからね。」
「然うです!村の皆が何故か石になって行くんです。」
凶鶏の話に興味を持った蛇は経緯を聞く事にした
「ははぁ分かったぞ。君は私と同じ力があるんだ。見た者を石にする力が。だから私が見ても力が相殺されて無事なんだ。」
「では私が村の皆を石にしてしまったのですか。尾に丈気を付けていれば良いと思ったのに私は何て事をしてしまったんでしょう。」
「まぁ然う御嘆きなさんな凶鶏。其でも此の色や景色は迚も素晴しかったんだろう?奴等は永い間君から其を奪っていたんだ。当然の報いさ。」
「確かに見える事は素晴しいわ。でも私の所為で皆石になってしまうなら、こんな目なんて。」
「如何だろうか。私は冠蛇、私は今迄共に語れる朋を探していたんだ。此の不自由な眸で世界を共に廻らないかい?」
「冠蛇さん。良いのですか。私は石丈でなく毒もあるんですよ。」
「何、私も焔を吹くよ。でもそんなの大した問題じゃないだろう。私は今から蛇石女の村へ行くつもりだ。彼等も同じ力を持っているからね。」
凶鶏と冠蛇は旅を共にする事にした
甃を進む彼等の旅路は未だ初まった許り
-Fin-
終わっちゃいましたね。旅立ちエンド、Nextend。「未だ未だ俺達の冒険は続くぜ! -Sare-先生の今後の活躍に御期待下さい!」みたいな。完全に打ち切りのノリだ!
彼等の旅が終わる時、其は世界の命が全て石へ変えられた時でしょう。
でも見られたら石になるって中々ファンタジーで魅惑的ですよね。今となればメドゥーサ達の御蔭かゲームでも石化と言う状態以上がある位メジャーな物になって来ましたけど、大抵其の状態は戦闘不能と同各レベルになり勝ちです。あるアイテムとかじゃないと治せないし、全員が其の状態になればゲームオーバーみたいな。厄介ですね、フフッ。
でも矢っ張り想像を絶する能力の気がします。良くモンスターが火を吹いたり水を吐いたりしますけれど、彼は体内に火焔袋があるとか、水袋を瞬間的に圧縮させるとか言うじゃないですか。でも石化は?
睨まれたら動けなくなるから飛躍した能力でしょうが、つまり此、触れなくても相手の躯に作用を及ぼしていると言う訳ですよね。視線に触れると言いますか、一応今作は目を合わせたら石になる、としましたが、本来は睨まれたら、なのだからもう対策の仕様がないですよね。常に見えない殺害ビームを目から放っている訳です。正にファンタジー、やっぱ石化ってロマンを感じます。
今回の二匹は迚も気に入っているので、二匹の旅を一つの話として書くのも良いなぁと思ってるんですけどね、一寸考えときましょう。
呪いを振り撒きつつも不条理な世界を不条理な力で押さえ付け、奪い、旅をした果てに何を見るのか。わぁ、中二病すぐる、かっくいー。又こんな破滅で素敵な世界を覗ける様になる迄暫し御別れです。
では良い物語を。