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俺の人生最高でっす!

17年と153日さらに8時間25分47秒




 なんの時間かって? 俺──立花(たちばな)(たすく)の生きた時間だ。そして、この時間はこれ以上増えることはない。

 そう、俺はたった今死んだのだ。トラックに轢かれて呆気なく死んだのだ。呆気なさ過ぎて、死んだ実感がない。

というか…

 




ここ何処ーーー⁉︎  マジなんなのここ!  辺り一面真っ白!  ……ひょっとしてあれですか?  噂に聞く異世界転生への入り口かなんかですか?  もしそうならテンション上がるわー。

 でも、周りには大層な髭たくわえた神様も美人でボインな女神様もロリっ子な唯一神様も……てか、人っ子ひとりいねぇ。何、もしかしてここが天国ってパターン?  うっわぁ、つまんねぇの。

 まぁ、ここは前者に望みをかけ、誰かいないか探してみるか。


〜30分後〜



── うん。誰もいねぇぇぇっ! 予想はしてたよ、してたけどさぁ。30分近くウロウロして誰にも会わないって……淡い期待を抱いていた俺が馬鹿みてぇじゃねぇか!

「あぁ、もうヤダ死にたい!」って、俺

「すでに死んでるじゃないですか。」

へ?  俺まだ自主ツッコミしてないよ。今のは一体 ..

「 もう、勝手にいなくならないでください。」

よっしゃ、きたぁぁぁぁっ! ついにきたよ、俺を異世界へと導いてくれるボンキュッボンな女神さ、ま……




 ──すんません、訂正します。今、俺の目の前にいるのは……全部キュッキュッキュッなロリっ子もといショタっ子だった。……誰でもいいから、俺の喜びと夢と希望を返せぇぇぇぇぇ!



 透き通るような白い肌。何でも見透かされてしまいそうな綺麗な青い瞳。腰まである長い白髪。

 俺はおもわず、見惚れてしまっていた。


「あのー、君は一体……。」

「えっと、僕…ですか?」

「逆に聞くけど、ここに君と俺以外に誰かいる?」

「あっ、そ、そうですね。」

 なんか焦った顔地味に可愛い// って何言ってんだ俺は!

 





「まぁ、こんな感じですかね。」

 ショタ神様は自己紹介のついでに色々と説明してくれた。だけど、メッチャややこしいから俺なりに要約すると……

・俺は本来なら天国に直行する普通の人間だった。

・だか、手違いでこの空間〈転生の間〉に召喚されてしまった。

・しかも、一度この転生の間に入ったら絶対に異世界に転生されてしまうのだという。





「ほんっと〜に、すみません! その、僕が、ドジなばかりに……。」

 ショタ神様の声はだんだん小さくなり、終いには黙り込んでしまった。さらに、肩が震えだした。



 えっ、もしかして……泣いてる⁈



「ひっ、ぐすっ、僕、が……ダメな、子だか、ら。」

 ショタ神様から小さな嗚咽が漏れ始めた。



 ヤバい。マジ泣きだよコレ。と、とにかく、泣き止んでもらわないと……。



「だ、大丈夫だよ。君のせいじゃないから。気にしないで。」

「で、でも……。貴方に迷惑をかけてしまったんですよ?」

「全然迷惑じゃないよ! ていうか……むしろ嬉しいです!」

「えっ。」

 ショタ神様は驚いて、顔を上げた。

「異世界に転生出来るなんて、俺、俺……嬉し過ぎて、マジ死にそう!」

 俺が大声喋ると、ショタ神様は呆然と俺を見上げていた。そして……

「ぷっ、はは、あはははっ!」

 ショタ神様は泣いていたのが嘘のように、思いっきり笑い出した。

「う、嬉し過ぎて、死ぬって、もう死んでるじゃないですか。」

「あっ、そうだった。」

「貴方は、本当に面白い人ですね。」

 そう言うと、ショタ神様は俺に微笑みかけてきた。


 ヤバッ……マジ可愛い//// 急に笑いかけてくるなんて反則だろ。


 俺はおもわず赤くなってしまった。


「大丈夫ですか? なんか顔が赤いですけど……。」

「えっ! 大丈夫だよ!」

「ならいいんですけど……。」


 あっぶねぇ。何とか誤魔化せた。



「それより、俺はこれからどうなんの?」

「あっ、そうでしたね。肝心な所を説明してませんでしたね。」

「んで、どうなんの?」

「取り敢えず、あと10分程で異世界への扉が開くので扉が開いたら、勢いよくその中に飛び込んでもらえば。」

「えっ、そんだけ? なんか荷物の準備したりとか、チートな能力与えてくれるとか、そうイベントは存在したり……。」

「しないですね。」

 


 そうですよねー。ああ、またまた、淡い期待を打ち砕かれてしまった……。



「あっ!でも、何か1つだけなら異世界に持ち込んでも構いませんよ。」

「マジで⁉︎」

「はっ、はい。」

 俺は驚きと喜びを抑えきれず、前のめりになってしまった。

「何にしよっかなぁ♪」

「あ、あの〜。」

 ショタ神様が小さく手を挙げた。

「ん? どうかした?」

「僕がその『何か1つ』になってもいいですか?」

「へっ? どういうこと?」

 いきなりな事過ぎて、頭がついていかない。

「だから、その、貴方と一緒に異世界に行きたいんです!」

「えっ、えぇぇぇぇぇっ!」


 衝撃的すぎて、何が何だか分からなくなった。


「だ、駄目ですか?」

 ショタ神様が目をうるうるさせて俺を見てきた。


 そんな顔で見られたら……。


「断れるわけないだろっ!」

「という事は……。」

「ああ! 俺と一緒に行こう! ショタ神様!」

「はい! ってえっ? ショタ神?」

 ついうっかり、ショタ神様と呼んでしまった。

「あっ、悪い。えっと……。」

「アランです。これからは名前で呼んでください!」

「んじゃ、俺も、佑で。」

「じゃあ……。よろしく、佑君。」

「ああ、これからよろしくな!アラン。」

 そう言うと、俺は手を差し出した。アランも恥ずかしがりながらも手を出し、俺らは握手を交わした。

 


「あっ、扉が……。」

 目の前に大きな扉が現れた。

「よっし、んじゃ、行くか!」

「はいっ! 佑君!」

 


 俺とアランは異世界への扉をくぐり、新たなる旅立ちに向けて大きな一歩を踏み出したのだ。



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