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運命

遅かれ早かれ、こういう運命だったのであろう。自分は今、死に場所を歩いている。人にとって死に場所は沢山あるだろう。屋上や電車など。最後に自分が生きていた証を残そうと、人の注目が集まる場所で。自分がこの世からいなくなり、忘れ去られるのは怖い。その気持ちは今になって痛いほど分かる。ただ、自分は人の喧騒の中で死ぬのは御免だ。誰にも干渉されず、静かに最後のときを迎えたい。

自然は好きだ。干渉せず、ただ側に居てくれる。変に気を使わなくていい。そう、自分は今樹海をさ迷っている。ありきたりだが、最後の場所として有名な樹海を選んだ。なぜ選んだかと言われると答えに困ってしまうが、多くの人が最後の場所に選ぶところを一目見ておきたかったのだ。しばらく歩いた。自分がどこに進んでいるかも分からない。疲れ果て、倒れている木に腰を掛けた。豊かな自然に見とれてしまう。しかし、すぐに目は他のものに見とれてしまう。自分と同じ、ここを最後の場所に選んだ者だ。小太りの男だが、最後に今までの人生に思いを馳せているのか、目を瞑ったまま縄を握っている。えらく冷静だ。人が死ぬ間際を初めて見た。このまま声を掛けなかったら、この男は死ぬ運命だろう。自分はこの男の運命を変えていいものだろうか。そう考えているうちに自分は、その男の運命を変えてしまっていた。

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