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2 婚約者初対面!?

私も瑠依もいわゆる令嬢だけど――――ザ・普通。

居酒屋だって行くし、普通に電車やバスにも乗る。

周りの御曹司様たちやご令嬢様たちは、マイカー&マイ運転手がいるから居酒屋行ったりなんてしないし。

だって御曹司様やご令嬢様たちは、プライドが高いから。

でもそんなの要らない。私たちは自分の好きなことしたいもの!

行きたいとことは自分で行くし★

父や母も、そんな私の考え方を理解してくれてて、めちゃ感謝。

なので、行きつけの居酒屋があったりするのですッ。


お互い大好きなチューハイ片手に、瑠依に今朝あったことを話した。

一通り話し終わったころには、私はお酒も進み、お酒にも弱いしでいい感じに酔っていた。


話を聞いた瑠依は同情している様な雰囲気…を醸し出してるんだけど…

だけど!口元はニヤッとしている。

これは面白い!と思っているような表情をしてるから、むぅぅ~と思ってグビッと飲み干した。


「あのね、瑠依。笑い事じゃないんだよ!私の一生の話なの!」

「分かってるよ~。だけどさぁ、あのおじさんとおばさんの一押しの人ならいい人なんじゃないかな?って思う私もいるわけよ。イケメンなんだし?」

「じゃぁ、瑠依はいきなり両親から『結婚決定~!』とか明るく言われて、『了解!』ってなる!?」

「まぁ…、ならないよね…普通。ははは」

「でしょう!それと一緒なのよ!あ~~~~どうしよう~~~」

ガバッと机に突っ伏して、右手のこぶしをダンダン!と打ち付けた。

そんな私を瑠依はなだめるように、頭を撫でていた。


あうあうとうなだれていると、ガヤガヤしていた店内が一瞬違うザワツキが起こった。

周囲の女性たちからは「めっちゃかっこいいー!」と黄色い声が聞こえてきたので、その女性たちの視線の先を辿って見ると、やっぱりな…とつぶやき、顎を手に置きながらその人物を見た。


「よぉ!盛り上がってるか?瑠依から面白い話があるっていうから、仕事投げ出してきたよ」

身長180超えですらっと高く、ビシッとオシャレなスーツを着こなし、キリッと上がった眉にスッと通った鼻筋、キレイな二重のアーモンド型の黒目がちの目をもつこの男は、キラキラしたオーラを振りまきながら笑顔で私の隣に座った。


「お疲れ、新。結構早かったじゃん。」


いつの間にか瑠依が呼び出していたんだろう新と呼ばれたこの人物。私たちの高校の時の同級生で、いつも一緒に居た親友だ。高校卒業後も、同じ大学で共に過ごし、遊びまくったのだ。

社会人になる時は、さすがに同じ会社にはなれなかったけどね。

だって、新も大手IT企業の御曹司。会社の専務として日々を忙しく過ごしているのよ。


「そりゃ、呼び出すぐらいの愛梨の面白い話が聞けるんだろ?来ないわけにはいかないよ」

新はすくすくと笑いながら、私の頭をさらっと撫でた。

「面白くなんかないよ!私の一生がかかってるんだよ!」

ちょっと酔っぱらっている私は、バンバンと机を叩きながら新たに訴えた。

「えぇ?一生?なになに、どんな面白い話なの?」

同い年な癖にちょっぴり落ち着いてる新。子供っぽい私をあやしながら聞いてきた。


「愛梨。結婚するらしいよ?」


瑠依はあっけらかーんと言っちゃいましたよ。

おいおい瑠依様?そんなあっけあらかーんと言うような内容でしたっけ?


「結婚するってどういうこと?愛梨、恋人いたの?」

それを聞いた新は、一瞬体をピクッとさせ、聞き返した。

ニコニコしてはいるけど、どことなく目は笑っていなくて、いつもよりちょっと低い声。


ななな、なんで私がそんな顔して見られるワケ?!

新のいつもの顔じゃないことと、今朝投下された爆弾で、軽く自暴自棄。

グラスにいっぱい入ったチューハイをゴクゴクと一気飲みし、ヤケクソな勢いでしゃべりだす。


「今朝、突然言われたわけよ。『愛梨、近々あなた結婚よ♡』ってウッキウキしたお母さんに言われたのよ。その上『もう決定事項だから、拒否権無しよ♡』だって!見たことも会ったことも無い人なのよ!好きでもない人と結婚だなんて、私の両親どうかしてるよッ!私の人生なんだと思ってるワケ―――ッ!!」

「それ、ドッキリとかじゃなくて?」

「新、こういうドッキリとかすると思う?愛梨の両親。」

「…しないだろうね。」

「しかし、おじさんとおばさん、娘の結婚なのに、やけにあっさりしてるね」

「相手って誰なんだろう?愛梨、名前も聞かなかった?」

新は、叫んだ後再び机に突っ伏していた愛梨に問いかけた。


「愛梨?大丈夫?起きてる?…愛梨?」

私は、お酒に強くないのに一気飲みをしてしまったのと、朝からの心労でどうやら相当参っていたみたい。

さっき叫んだので、どっと疲労感に襲われ眠りこけてしまった。


「あら~、また愛梨寝ちゃったの?」

「寝たみたいだな。眉間にしわ寄せてる」

「アルコールにそんなに強くないのにいっぱい飲むから。」

「愛梨も酔って気を紛らわしたかったのかもね、だっていきなり結婚だし。」

「でも、マジで愛梨、結婚することになるだろうね~。…愛梨大丈夫かな?」


酔って寝てしまった私を、新が膝枕をしてそれから2時間ぐらい飲んだらしい。

その間、私は「はんたーい!!」や「私の人生!!」とか途中叫んでいたそうです。

うぅぅ、いくら瑠依と新でも恥ずかしいものは恥ずかしい…。


22時も過ぎたので、解散することになったらしいんだけど、起きないよね、私。

お酒も入ってるから簡単には起きません。

「愛梨ー、帰るよ~。起きて~愛梨~」

「愛梨、ココで寝てちゃだめだよ、起きないと。愛梨?起きて?」

何度も何度も2人にゆさゆさと揺らされても起きない私。

私は夢の中で、自分の両親と果てなき戦闘をしていたわけで。


全く起きない私を、新が送ってくれることになりました。

瑠依のスマホから着信音が流れた。

「瑠依、お迎え来た?」

「来た~。お店の前に着いたって~。」

「そうか。じゃあ、今日も寝てる愛梨は俺が送って行くよ。」

「うん、毎回ごめんね、ありがとう。新、愛梨よろしくね~」

「了解。気を付けて帰れよ。」

瑠依は『はいは~い』と片手をひらひらさせて、お店から出て、迎えに来ていた車に乗り込んだ。

それを見届けると、愛梨を抱き上げ、呼んでおいた車の後部座席に乗せ、自分もそのまま乗り込んだ。


30分程車を走らせ、高級住宅街へと入って行った。

愛梨の家は相変わらずひときわ大きく、どこまで行っても塀が続く。

インターフォンを鳴らし、名前を伝えると自動的に門が開く。

俺にとっては見慣れているため驚きはしないが、そうじゃない人が、この広い庭を見ると開いた口が塞がらないだろう。


「こんばんは、いらっしゃい新くん」

ふわっとした雰囲気で出迎えてくれたのは、愛梨とよく似た愛梨の母だ。

「こんばんは、おばさん。ごめんなさい、愛梨お酒飲み過ぎて寝てしまいました。」

愛梨を抱き上げたまま、おばさんに挨拶しお詫びを入れた。

「あらあら、愛梨、またなの?ごめんなさいね、いつもいつも送ってくれて。」

「いえいえ、全然大丈夫ですよ。」


そんな話をしていると、背が高くがっしりとした体型の愛梨の父が、申し訳なさそうに奥から歩いてきた。

「いらっしゃい、新くん。毎回すまないね、愛梨が迷惑をかけて。」

「いえ、迷惑じゃないですよ。いつも楽しく飲んでますよ。」

にこやかに対応し、いつも通り部屋へ連れて行こうとすると、ふともう一つの影が視界に入ってきた。

そこに視線を向けると、若い男だった。

短めの黒髪に、180センチ…は超えているだろう身長、細いだけじゃないスラッとした体。

整った眉にスッと通った鼻筋、キレイな二重の切れ長の目。

ザ・イケメン。


何故ここに男が?

瞬間的に愛梨の弟ではないと確信する。

見たことない…?

いや、見たことは何度もある。

こいつは―――――!!





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