16 無意識で
え~…お久しぶりです(-"-)半月ぶりの更新となります。
忙しくてパソコンに向かう時間がなかった、と言い訳をさせてください。
急いで第1営業部の自分のデスクに戻った。
就業時間で休憩時間でもないのに、営業部ではざわめき立っていた。
そんな様子を見ていた愛梨を発見した同僚たちは、にっこにっこしながら口々に冷やかした。
「朝霧さん、あんな恋人がいたんだね!教えてくれても良かったのに。ホント残念だよ」
「朝霧ちゃん、顔が怖いよ?あめちゃんあげるから元気だしなよ?しかし、彼氏イケメンだね」
「朝霧さん、みんなで飲みに行きましょうよ!ぜひ婚約者紹介してくださいよ~」
「朝霧さん可愛いから、イケメン彼氏と美男美女だよねー!うらやましいよ!」
私の周りには人だかりが出来るし、いろいろ冷やかされるので、真っ赤になってしまった。
私に嫌がらせしてくる馬鹿グループを除けば、私は可愛がられている方だ。
第1営業部では特にだ。
「もぅッ!みんな仕事してくださいッ!!私をからかわないでくださいッ!!」
真っ赤になって叫んでみたが、生温か~い目を向けられながらニヤニヤとみんなが笑う。
そのニヤついた顔にむぅっとしながら、また憎まれ口を叩いた。
「仕事できないじゃないですかッ!みんな暇なんですか?!」
そう叫んだ直後、頭を優しくポンポン叩かれた。
「愛梨ちゃん、みんなお昼の番組でのことが聞きたい上に、愛梨ちゃんが可愛くて仕方ないんだよ」
「河内さん!」
うっわー・・・。にっこり笑う河内さんのこの笑顔にやられそう・・・。
私はそれはないけど。
ん?
あれ?な~んかこんな雰囲気の顔見たことあるような?
いやいや、河内さんが笑うところは良く見てるけど、なんかどっかで?
「どうしたの?愛梨ちゃん?見つめてるなんて俺に惚れちゃった?」
「へ?」
河内さんは両手を頬に当て、キャッと言う感じでニヤッとしながら愛梨を見た。
―――私は河内さんをじーっと見ていたらしい。
私は思ってもいないことを言われて、また少し赤くなり反論した。
「ンなわけないですからッ!」
私はムッと怒っているのに、河内さんは全然気にしてない様で、相変わらず愛梨の頭をなでながらくっくっと笑っていた。
「河内ー、そりゃ朝霧くんはあの碓氷大翔の方がいいだろうよ。お前はまだまだだ!」
はっはっは!と豪快に笑いながら、第1営業部の部長も話に参加していた。
「部長~、ホントですかー?僕、あの碓氷大翔にかないませんかねー?」
そんなとこありませんよねー?って言う感じを込めて河内さんは部長に返した。
「オーラが違いすぎるだろう!!」
部長と河内さんのおかげで私の話から逸れ、はい、仕事だぞーっと部長の鶴の一声でみんな仕事へと戻って行った。
愛梨は部長の方をちらっと見ると、部長は愛梨の視線に気が付いたのか、こっちを見て軽くウィンクをした。
・・・部長、ウィンクとか似合わないし・・・ありがとうの気持ちが冷めますよ・・・
*****
あれから営業部のみんな仕事へとシフトチェンジした。そこは営業部。オンオフの差がハッキリしていて、私はとても仕事がしやすいと思う。切り替えが上手いから営業の実力もあるんだろうなぁ~。
そして、定時となり愛梨も帰り支度を始めた。
今日は、瑠依はちょっと残業するって言ってたし、寄り道せずに帰ろうかな~
でも、本屋さんにちょっと寄ろうかしら?
何しようか考えながら、一つくくりにしていた髪を一旦ほどき、ちょっとアレンジしてくくりなおし、朝やお昼の件でいろいろ言われたら嫌だし、速足で階段からエントランスへ向かった。
エントランスで女性が数人きゃぁきゃぁ良いながら輪を作っていて、なにやらいつもより騒がしい?
他にもエントランスを通り抜け帰路についている女性も、エントランス右側を見て頬を染めている。
ん?誰かいるの?
慧維?でも慧維は確か今日は社長と社長室で打ち合わせで社内のはずだし。
まぁ、誰でもいいか。でも、どんな人かは見ておこう~。
愛梨は通り過ぎり前に、横目でチラッと見た。
おぉ~背も高いし整った顔した人だわー!モデルさんって言ってもいいかもねー!
みんなが騒ぐのが分かるかもー!
ん?・・・んん!?
「・・・新・・・? わぁ!新ッ!どうしたのこんなところで!?」
私はびっくりして思わず大きな声で新に声をかけた。
新は目を閉じて腕を組み壁にもたれかかっていたが、ゆっくりと目を開け、風で髪をサラッとさせスッと愛梨を見た。
「愛梨。仕事終わった?」
新は壁にもたれかかっていたが、壁から体を起こし愛梨に向き直った。
新、なんだか機嫌が悪い?
機嫌が悪いのをこんなに表に出すなんて珍しい。
「あ、うん、終わったよ?どうしたの、こんなところで?」
「愛梨を待ってたんだよ。ちょっと聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
新は、キョトンとして答える私を見て、一度ため息をつき、困ったような、辛い?悲しい?気持ちが込められた笑顔を向けて聞いてきた。
「そう。今日のTV見たよ?全国放送だしね・・・。あの日からまだ数日しか経ってないのに、愛梨は婚約認めたの?」
「え?認めたというか・・・ってあれ見たの?」
新があの番組を見ていたことにビックリした。
さすが日本トップの会社が出るとライバル会社の経営者や営業マンはチェックするんだね~
って、さすがに男友達にあーゆーの見られるのは恥ずかしいわッ。
そう思って、ちょっと頬が赤くなったのか、顔が熱くなったので自分の手で頬を触った。
「・・・あれを見たから居ても立っても居られなくてここに来たんだろ。・・・これから時間ある?」
「へ?これから?」
新はイライラしているのか、それを隠そうともしないで、声も低く不機嫌オーラを振りまいていた。
いつもは優しいオーラで優しい声で話すのに。
新、機嫌悪いなぁ~。
これだけ機嫌が悪かったら行くのめんどくさいわー。瑠依も居ないし。
話だったら今言ってくれればいいのにー。
しかし、新ってばなんでそんなに機嫌悪いのかしら?
「新、めっちゃ機嫌悪いね。どうしたの?」
新は、はぁとため息をつき、眉間に手を当てた。
「・・・機嫌悪いのは分かるんだ。とりあえず、場所移動しようか」
新は手を繋ごうとして、愛梨の手と少し触れた瞬間、愛梨は驚いたのかバッと手をひっこめた。
今まで愛梨に手をひっこめられたことのなかった新は驚いて愛梨を見た。
「愛梨?」
「え?あ、ごめん。あれ?」
「・・・・・・」
愛梨は自分の手を見ながら首をかしげた。
あわわ。どうしたのかしら、私。
バッと手をひっこめちゃって、新びっくりしてるし。
手を取られることなんて初めてじゃないのに。
「愛梨どうしたの?・・・俺と手・・・つなぎたくなかった?」
いつも自信に満ちたキラキラした顔は、苦しくて、悔しくて、なんだか泣きそうな顔をしていた。
「つなぎたい、つなぎたくないとかそういうのじゃなくて・・・なんだろう?」
愛梨は腕を組み、片手を顎に当てて、どうしてそうしてしまったのか理由を考えてみたが、考えてみても愛梨自身も分からなくて上手く説明できない。
「あはは、何でこうなったのか自分でもよく分かんないー」
私はこめかみに人差し指を当て、頭を傾けて苦笑いした。
そんな愛梨を見て、新はそんな愛梨に困ったような笑顔を向け、愛梨の頭をポンポンとした。
ざわざわしている周りに気が付き、自分たちが会社のエントランスで注目を浴びていることに気が付いた。
うわっ!やばっ!また注目されているよッ!!
しかも一緒に居るのが新とか、慧維になんて言われるかッ!!
さーっと血の気が引いて行った。
「愛梨、場所移動しよっか。なんだかすごく注目浴びてる感じだし」
そんな愛梨を見て、新は優しく声をかけた。
そして、愛梨を自分に引き寄せて歩いて行こうと、愛梨の肩を抱こうとした瞬間・・・
「愛梨」
名前を呼ばれた愛梨はくるっと振り向いた。
半月ぶりの更新ですが、読んでいただきまして、ありがとうございます!!
これからもよろしくお願いいたします!!