プロローグ
ジリリリリリ…
電車の発車ベルが鳴る。
俺は東京の高校へ通う、ごく普通の高校一年生だ。
俺が住んでいるところはぎりぎり東京。東京の端のほうの田舎に住んでいる。田舎とはいえ、さすがは首都。交通面では不便はない。しかし高校は都市部にあるため、電車を乗り継がなければならない。今日も都市部の乗換駅に到着し、一息ついた。
「はぁ…」
俺は思わずため息をもらす。
毎日乗っているがこの満員列車にはどうも慣れない。
俺はどうも他人が苦手なのかもしれない。
だが、人混みとは裏腹にこの視線にはもう慣れたものだ。
なにせ生まれてからずっとなのだ。慣れないほうがおかしいだろう。電車に乗った瞬間から、というか駅のホームからなのだが、周りの人が一斉に俺を見てくる。中学生のころなんかは嫌だと感じたりもしたが今ではもうまったくと言っていいほど気にしていない。
おそらく俺は毎日、たくさんの人に印象を残しながら通学しているのだろう。
今日も俺はたくさんの人に印象を残しつつ、片道約一時間半の通学を終えた。
一日のうち、三時間つまり、一日の八分の一を通学に使っていることになる。
どうも無駄な気がしてならない。
「はぁ…」
本日二度目のため息をもらしながら、俺は都立桜高校の校門をくぐった。