風夜、セキの言動を正す?
「さて、さっさと街を見つけないとな」
野宿はイヤだからな。宿で早く寝たい。
と思いながら歩みを進める。
「それなら、私にお任せ下さい。周囲を探ってみましょう」
あ、そういえばこいつにそんな能力あったな。異世界のことで頭がいっぱいで、そんなの忘れてたな。
「じゃあ、頼む」
「じゃあ断る!」
「......」
「冗談ですから.....その握っている手を収めてくれませんか?」
「断る」
と言うのと同時にセキの能力を一時的に、使えなくしたので、動きを止めるための術式を組む。
「束」
言葉を発した瞬間、セキは、後ずさっていた足をとめてしまう。その足を見ると光のベールを纏っていた。
「あの~、ほんのじょ、冗談ですから、術式を解いてくれませんかね?」
「おいおい、何年ともにいると思っている?お前が冗談好きなのはわかっている」
そう言うと、足を止めたセキに向かって歩き始めた。
「たがな、お前の過ちを直すのはおれの役目だ。その直し方もわかっているだろ?」
「(ガクガク、ブルブルッ!)」
悪い笑みを浮かべ、歩いてくる風夜に、セキはその場で震えるしかなかった。
「じゃあ....くらいな!」
「ブハッッ!」
風夜の拳がセキの顔を直撃し、その痛みに悶絶してしまうセキ。
殴ってすっきりしたのか、表情が元に戻り、再び尋ねた。
「探してくれるな?」
「ハイ、ヨロコンデ!」
この時、肯定する以外の言葉を、セキは持っていなかったという。