風夜、ゴブリンとの対決
(さて、異世界で初めての術式だな。何を使うか....)
と悩んだのは一瞬のこと。あらかじめ決めていたのがあるのか、ニヤリと笑みをうかべ、術式を組む。
「我、上谷風夜の名の下に命ずる。如何なる時も、我を守り、我の刃として振るうものよ。今ここに出現し、敵を討ち滅ぼせ!」
「現れろっ!....その名は、セキ!!」
詠唱後、突然夜の右手の甲から術式が浮かび上がり、緑色に光り出した。
「ギャギャッ!」
棍棒の射程圏に入ったゴブリンは、その光とともに発生した吹き荒れる風に、思わず吹き飛ばされて、木に激突した。
風が止み、その場に現れたのは、エメラルドグリーンの髪を肩より少し伸ばし、同色の瞳をしたイケメンの青年が風夜に顔を向けていた。
「風夜、呼びました?」
「ああ、呼んだぞ」
「ここってどこです? 私どもがいた場所とはなにか雰囲気が違うのですが」
「ああ、ここは異世界だ」
「......」
「......」
「それ、本当ですか?」
「本当だ」
「またまた~ 風夜の嘘ですよね?今度はだまされないませんから」
「なら、お前が飛ばした緑の物体はどう説明するんだ?」
「......」
「......」
あんな生物は日本にはいない。存在していたとしても何も情報がないのは有り得ないからだ。
「本当に異世界なんですね....」
「何度もそうだと言っているだろ」
やっと信じたセキに一言。
「じゃあ、さっさとあの緑を倒してくれ」
「断る!」
「......」
断られることは想定できていたので、切り札を切ることにした。
「さっさとやらないと、あれを食わせ「冗談です!喜んでやらせていただきます!」」
セキはそ風夜の言葉に被せてう言うと、自分へ向かってくるゴブリン。
「あなたに恨みは有りませんが、私のために死んで下さい。」
言葉とともに一振りされて起きた風の刃が、ゴブリンを横に真っ二つに切り裂いた。
ゴブリンを一撃でしたね。
セキの正体はいずれ出てくると思います。
ちなみに風夜は詠唱短縮できます。
長いせりふで詠唱したのは、異世界で短縮できるかわかりなったからです。
次回は探索再会。セキを伴い、街探しです。