風夜、話を持ち込まれる 。
「もう一度言ってくれないか?」
「だから、異世界に行ってくれないか、と言っているのよ」
繰り返し聞いても答えはかわらなかった。しかし、異世界か.....小説や漫画で見たことあるが、まさか現実になるとは。
「なぜ俺なんだ? 俺でなくてもいい気がするが?」
「それはあなたが一番わかっているんじゃないの? あなたの力が強く、世界のバランスを崩しかねないからよ。」
確かに何となくであるが、そんな予感はしていた。
俺の力は滅却師であった先祖の血筋だったからなのか、不思議な力が使える。
いや、俺だけではなく、滅却師の血筋の者たちも使えるのだが。
滅却師とは世界中に起こる空間の裂け目から出現する異物を倒す存在である。その力は属性により分けられる。
属性は火・水・地・風・光の5つである。その5属性の内一つを滅却師は有しおり、それを使い異物と戦う。
ちなみに俺の属性は無属性である。
なぜ5属性ではないのか? それは前例がないからである。
だからなのか、最初は使いこなすのにとても苦労したのを覚えている。今は使いこなすができるが。
「だいたいの理由はわかった。しかし、俺が異世界に行くとして、言葉とか大丈夫なのか?」
「もちろん考えてあるわ。最初だけだけど、しっかりサポートしてあげるから大丈夫よ」
本当に大丈夫か?....どうもこのとんちんかんは何かをやらかしそうな気がするが。
「何よ!その疑いの目は!わたしだってしっかりできるわよ!」
おっと、また表情にでていたか、まあ、事実疑っているしな。
「わかったわかった。で、俺が行く世界はどんな世界だ?」
まず、どんな所か聞かないとな。
「あなたが行く世界は剣と魔法の世界、ラスクエルよ」