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境界線のワーカー  作者: くろねこ
第2章「千早」
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4.再生

初夏の光が差し込むグループホームの庭。

男性は、短時間バイトの後に帰宅し、庭先で深呼吸をしていた。

少しずつ、自分の生活リズムを取り戻している。

支えられながらも、自分で歩く力をつけてきた。

千早はオフィスで資料を整理している。

まだ不安はある。

でも、支えを受けながら患者と向き合う術を学び始めた。

「一人で抱え込まなくていい」

その感覚を少しずつ実感している。


桜は、二人を見守る立場に立っていた。

かつて新人だった自分も成長してきた。

今は先輩として、揺れる後輩を受け止め、導くことができる。


ある日の面談後。

千早がぽつりとつぶやく。

「天瀬さん......自分、少しだけ前より強くなれた気がします」

桜は微笑む。

「私も、同じ。まだ揺れてるけど、歩ける」

男性が遠くから声をかける。

「俺も、迷惑かけながらだけど、ちゃんと歩いてる」

三人は庭の光に包まれながら、静かに笑った。

揺れることは悪くない。

支え合うことは、決して弱さではない。

再生とは、倒れずに立つことでも、完璧に回復することでもない。

迷いながらも、手を取り合い、また歩き出すこと。


その日、桜は深呼吸をした。

支援者も、患者も、後輩も。

それぞれの歩幅で、再生は進む。

そして、今日もまた、誰かの隣で手を差し伸べる自分がいる。

支えること、支えられること。

それが、境界線のワーカーとしての、生きる力だった。


完結です。

ありがとうございました。

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