第15話 生配信復活 完全勝利!
カラスの攻撃に慌てる殺人犯の教頭。
わたしは反撃に出る。
先生、見ていてください!
仇をうちます!
教頭の手から電波妨害装置がすべり落ち、夜の校庭へ落ちていき、ガシャンと砕け火花が散る。
「うぉおおおおおおおっ!」
教頭はフェンスに腕を突っ込んだまま、叫びながらのたうちまわる。腕はあり得ない方向に曲がり、簡単には抜けそうにない。
先生を殺し、特攻隊員を侮辱し、死は怖くない、とか、ほざいていた教頭が、腕一本で大騒ぎしている姿はとても滑稽だった。
わたしは急いで教頭から離れ、ポケットからスマホを取り出す。
スマホの画面が明るく光る。電波が復活している。赤い録音マークと緑の生配信マークが点滅している。
AIが変換した動画と、生の音声が、世界に流れていく。
遠くからサイレンの音が近づいてくる。
パトカーのライトが校舎の壁に赤と黒の影を投げる。
風の中で、わたしは涙が止まらなかった。
膝が震えて、声も出ない。
スマホの向こうで、コメントが滝のように激流のように流れていた。
視界がにじんで、街の夜景が滲んでいく。
夜風が髪をなで、遠くの星がかすかに光っていた。
カラスたちは、いつの間にか、姿を消していた。
「先生……」
わたしはフェンスにもたれながら、空を見上げた。
「約束を破ってごめんなさい。
でも、先生のことを、ほんとうのことを伝えたかったんです。」
言葉が風に溶けていく。
街の光が、まるで銀河鉄道のレールのように続いている。
「わたし、生きていきます。
命を大事にして、配信も続けて、
世界のほんとうの幸いを――
ずっと探し続けます。」
星がまたたき、どこかで汽笛のような風の音がした。
その夜、わたしのスマホの配信は、銀河のように静かに光りながら、世界中に広がっていった。
「ぐぉおおおおおおおっ!」
せっかく、わたしがヒロインらしく勝利の余韻に浸っているのに、教頭がまだ汚ならしく叫んでいて、ジャマだったので、尻を蹴ってやった。
これはちょっとヒロインらしくなかったかもしれない。
真実はネットを通じて明らかになり、
教頭は逮捕されました。
主人公は、警察と両親にたっぷりと叱られたことでしょう。
でも無事で良かった。




