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清岡卓行「手の変幻」解説(テスト対策)

作者:

テスト勉強に利用できるよう、順を追って説明します。


〇「ミロのヴィーナス」

 「こんなにも魅惑的」=「両腕を失っていなければならなかった」

 …「ふしぎな思い」腕がないことによる魅力の獲得の不思議さ

〇「美術作品の(人々に鑑賞されるに至るまでの)運命(道のり・道すじ)」も、彼女の魅力に「微妙な協力をしている」

〇「制作者のあずかり知らぬ何ものか」

…製作者が考えもしなかった何か・偶然の要素。

〇ミロのビーナスの「運命」

…十九世紀のはじめごろ、メロス島でそこの農民により、思いがけなく発掘され→フランス人に買い取られ→パリのルーヴル美術館に運ばれた。

〇「生ぐさい秘密の場所」…ワークブックの模範解答などには、「人目に触れない隠された場所」とあるが、もっと深い意味が含まれている。しかし今回はテスト対策なので、それには触れない。

〇「彼女はその両腕を、自分の美しさのために、無意識的に隠してきた」

…それはなぜかというと、「よりよく(美が破壊されずにうまく)国境を渡っていくため」、「そしてまた、よりよく時代を超えて(存続して)いくため」。


〇ミロのビーナスの美について

・「特殊から普遍への巧まざる跳躍」

…腕が無いという「特殊」な状況であるにもかかわらず、「普遍(いつの時代にも通用する)」的=「全体性」(全体的)美を、ミロのビーナスは手に入れたということ。

・「部分的な具象(両腕)の放棄(無くすこと)による、ある全体性(普遍的美。「神秘的な雰囲気」・「生命の多様な可能性の夢」)への偶然の肉迫(迫ること、手に入れること)」


〇「逆説を弄しようとしているのではない」

…「逆説」とは、一見矛盾しているようだが、実は真理を表す言葉。たとえば、「急がば回れ」、「負けるが勝ち」など。

〇「失われた両腕は、ある捉えがたい神秘的な雰囲気、いわば生命の多様な可能性の夢(=「存在すべき無数の美しい腕への暗示」(存在することが可能なたくさんの美しい腕をそれとなく示すこと))を、深々とたたえているのである」

…この理由は、「腕」には、「人間存在における象徴的な意味(人間という存在を具体的に形としてあらわしたものが「腕」であること)」があるから。


〇「ここで問題となっていることは、表現における量の変化(両腕が無いこと)ではなくて、質の変化(普遍的な美を手に入れたこと)であるからだ。表現の次元そのものがすでに異なってしまっているとき、対象への愛と呼んでもいい感動が、どうして他の対象(かつてあったはずの両腕)へさかのぼったり(向かったり)することができるだろうか? 一方にあるのは、おびただしい夢を孕んでいる無(具体的な形を持たないからこそ、無限の可能性があること)であり、もう一方にあるのは、たとえそれがどんなに素晴らしいものであろうとも、限定されてあるところのなんらかの有(両腕が有る元の姿は、美が限定されてしまうこと)である」。


〇「ここで、別の意味で興味があることは、失われているものが、両腕以外の何ものかであってはならないということである」

…「生命の変幻自在な輝きなど、たぶんありえなかった」から。


・「手というものの、人間存在における象徴的(形のない抽象的なものを、具体的な形で表したもの)な意味」

…「世界との、他人との、あるいは自己との、千変万化する交渉の手段」。「媒介」(二つのものを繋ぐこと)。

・「機械とは手の延長である(機械は人間の労働を助けてくれる)という、ある哲学者が用いた比喩は、まことに美しく聞こえるし、また、恋人の手をはじめて握る幸福(感情)をこよなく讃えた、ある文学者の述懐は、ふしぎに厳粛なひびきをもっているのである。どちらの場合も、きわめて自然で、人間的である」


◇筆者の主張まとめ

 ミロのビーナスの美は、その両腕を失っていることに由来する。両腕の欠落によって彼女は、普遍・全体性・多様な可能性・おびただしい夢を獲得した。

 「手」は、自分と世界・他人・自己とを媒介する交渉の手段であり、ミロのビーナスは、「その欠落によって、逆に(我々に)、可能なあらゆる手への夢を奏でる(自由に想像させる)のである」。


以上が、「手の変幻」の核にあたる部分の説明です。

高校生のテスト対策のお役に立てれば幸いです。

頑張ってください。

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