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お久しぶりですね
エレベーターを降りると、真っ白な壁が続いていた。節電中なのだろう、ところどころ電気が消されていて、自分の影も映らない。お天道様の下とはまるで別世界だ。
係員に促されて、名前やら住所やらを事細かに記入する。こういう所に勤めるのは男性ばかりと思っていたが、三十代くらいの、明るい声の女性だ。淡々と仕事をしている。
「どうぞこちらのお部屋です。」
係の女性が扉を開ける。そこにはこの一ヶ月ずっと会いたかった男が座っていた。鞄を置いて、椅子に腰掛ける。ふぅ、と一息。正面から顔を見るのはいつぶりだろう。あたしの背後で扉の閉まる音がした。
「では、今から20分間です。」
誰もが一目でわかる『警察官』の制服を着た男性が、男の隣で時計を見て言った。