【第二章】
《悲惨壮絶、蛸女》。
真夏の陽炎にゆらゆら揺れる見世物小屋の幟にはそんな煽り文句と絵が書かれている。
周辺の村や町からも大勢の参拝者や観光客、商人、その他諸々の人たちが数百人、数千人は訪れる大きな夏祭り。
女は髪をまとめ上げて結い、男の多くは髷を結っている。
男女ともに着物姿。
腰に刀を携えた侍もいる。
所は日本の一地方の片田舎。
時は今から三百三十年ばかり前である。
タコ女の見世物小屋の口上が、祭り囃子と民衆のざわめきと蝉の声に被さる。
「・・・ある晩、網元の美しい娘・お浜が八尺八寸の巨大なタコに襲われて、淫靡な触手に捕らわれた!〈パン! ←張扇を打つ音〉 お浜はタコと交わったね!〈パンパン!〉 その結果!〈パパンッ!〉 産まれてきたのが此処にいるタコ女だ!〈パンパン!〉 さあさあ! 涙なしには語れないタコ女! 見なきゃ損だよ! 見なきゃ損! いらはい! いらはい!」
娯楽と刺激を求める者たちがぞろぞろ集まってくる。
そんな木戸銭を払う入場客の中に居たのが三田井汁之丞なる三十路も半ばの侍と伴侶トワ。
「汁之丞さま怖いです。やめましょう」
「何を言うトワ、俺は珍しいものが見たいんだ! 俺の好奇心の強さはお前が一番に知っているだろう!」
妻が止めるのも聞かず夫は強引に見世物小屋に入ってしまう。
同時刻、遠く離れた鳴門海峡。
いつもの鳴門の渦潮が突然ゴウゴウと巨大な大渦に変化する。
見る見る内に大渦は真っ黒に染まり・・・、いや、海底に大穴が開いたらしい。
しかも暗黒の渦が竜巻を起こし海水を巻き上げる。
浜の村の飼い犬が遠くの海に向かって「ワンワン!」吠える。
海鳥の群れが「ギャアー!」と騒ぐ。
ザァッバァァァーッ!
舞い上がった海水が引力に負けて海面にバチャバシャ叩き落ちる。
と、そこに大怪獣ガゥジーラが海水を滴らせ、ヌゥ~ッと頭頂から姿を現した!
飼い犬が犬小屋に逃げ、海鳥が一斉に飛び去る。
ガゥジーラの咆哮が大海原に響き渡る。
「アンギャアアアーアーッ!」
鳴門海峡の荒波にびくともせず、巨岩柱の如き怪獣がそびえ立つ。
背鰭からは海水が瀧になって幾重も落ちる。
再び咆哮を上げる。
「アンギャース!」
・・・だが。
だが、ガゥジーラ自身も鳴き終えると周囲をキョロキョロと見回し、どうやら困惑している様子。
「・・・ガルルルルル」
世界の雰囲気が変わっていることに気が付いているのか。
大怪獣は目をパチクリ。
またキョロキョロ。
「ガル?」
もしかして、首を傾げた?
そんな大海原での化け物出現の一部始終を見ていたのがたまたま漁に出ていた地元の漁師たち七人。
「な、なんだありゃ!?」
「ばばば化け物だ!」
「大トカゲだあっ!」
荒れる波間を漕ぎ漕ぎて、回る渦潮を掻き分けて、逃げるわ逃げる、大慌て!
「早よぅ漕がんかっ!」
「逃げろ!」
命からがら浜に上がった漁師たちは転がるように駆け込んで、お頭にでっかい化け物の出現を伝える。
「ご、権蔵さん! てぇへんだ! う、海に化け物が出ただようっ!」
「で、で、でで、でっけぇトカゲが出たんでさぁ!」
「お前らぁ酒飲んでぇ漁に出たんかぁ!」
「と、とんでもねぇ!」
「おらたちゃ本当に見ただ!」
「んだ! んだ!」
「・・・う~むぅ。正直だけがぁ取り柄のお前らが言うんだぁ。ウソでもなさそうだなぁ・・・。よぉし! 行ってぇみよう!」
「権蔵さんやめなせえ!」
彼らの怯える形相から嘘ではなく本当だと悟った漁師頭は止めるのも聞かず一人で浜へ向かう。
「げぇっ! 何だぁ? あの大トカゲはぁっ!?」
確かに沖合いにでっかい化け物がいる!
カーン! カーン! カーン!
カーン! カーン! カーン!
白浜の漁村に火の見櫓の半鐘が鳴り響く。
「山の上に逃げろーっ!」
幼児を両手に赤子を背負う者、大八車を引く者、持ち切れないほどの手荷物を担ぐ者・・・。
女子供老人は持てる荷物を持ち、大急ぎで山へと避難する。
大怪獣ガゥジーラはどうやらタイムスリップして過去へ飛ばされ、大昔へと流れ着いたようだ。
そう、舞台は世に言う江戸時代、貞享五年である。
薄暗い見世物小屋の中、蝋燭の僅かな灯りに照らされた舞台上にタコ女と呼ばれる頭を丸めた小太りな女性が現れる。
小刻みに鳴らされるおどろおどろしい太鼓と横笛が恐怖を演出する。
タコ女は手の指を反対に曲げたり下半身を捻って上半身に曲げて乗せたり・・・。
つまり、ただの身体の柔らかい女性らしい。
「わたしはタコ女おハチ・・・。わたしの秘密は誰にも話さないでください・・・」
そりゃ話したら次からお客は入らない。
漁師頭の権蔵は直ぐ様、奉行所に走り自ら報告する。
話を聞いた筆頭同心の中田は始めこそ疑ってはいたが・・・。
「半鐘が鳴り、村が騒がしいと思ってはいたが左様であったか。正直だけが取り柄の権蔵らが言うのだ。本当のようだな・・・」
お堅い漁師頭の真剣な眼差しに同心たち一同は立ち上がり、浜へと走って向かう。
すると本当に海原を二本足で立ち上がった大トカゲらしき、巨大な化け物が歩いているではないか!
役人たちが恐怖に青ざめる。
「げっ! 何だ? あの大トカゲは!?」
「と、殿に報告じゃ! 急げ! 急げ!」
お客たちは満足でタコ女の見世物小屋をあとにする。
皆それなりに楽しんだ様子。
良い時代である。
もちろん、汁之丞もその嬉しそうなお客の一人。
「凄いなぁ! 世の中には奇々怪々、不思議なことがあるもんだなぁ!」
「ただ身体が柔軟なだけじゃありませんか! 汁之丞さまは純粋すぎます!」
蝉声の降り注ぐ木陰、稲荷神社の石段に腰掛ける夫婦。
「トワが疑り深いんだよ! 未知のものを探求する心が無い!」
妻がぷんぷん怒り返す。
「探求心では仕官は叶いません! ・・・それに汁之丞さま、今ので路銀も使い果たしたしてしまいました。今夜の旅籠はどうしましょう?」
困り顔の愛妻に小膝をパンと叩いた夫が告げる。
「また無くなったのか。・・・仕方ない。いつもの通り、刀で稼ぐか」
汁之丞はすっくと立ち上がり、祭りの群衆へと戻っていく。
「殿! 殿! 一大事でござる! 奉行所から報せが!」
家臣の大トカゲ出現の報に和歌山城の城主・石川原尊道が驚きを隠せない。
「なにぃ!? 大トカゲだと!?」
殿が思わず上の間で立ち上がる。
肘掛けがゴトンと倒れる。
石川原尊道が直々に現場へ飛ぶ。
するとまさしく海には二本足で立ち上がった大トカゲらしき、巨大な化け物が歩いているではないか!
「げっ! 何だ? あの大トカゲは!?」
大怪獣を注視する尊道らは夏の暑さから来る汗とはまた違う、嫌な脂汗を流す。
ガゥジーラは陸地に大勢の人間がざわついているのをチラチラ確認する。
恐怖と敵意が自分に向けられているのを本能的に感じ取る。
そこで人間を避け、海を歩いてこの場から去る判断をする。
ザバーッ!
ガゥジーラは大波を立て、本能の赴くまま、より広い南方の海を目指す。
三田井汁之丞は露店の風車屋と話を付ける。
そうして自らの周りに赤い風車を八本並べる。
「何だ何だ?」と観客が大勢集まってきた。
風車は夏日の灼熱の風を受けてくるくる回る。
眩しい太陽が肌を焼く。
「ゴクリ・・・」
その場にいる数十人全員に暑さと緊張の汗が流れる。
汁之丞は人だかりの頃合いを見計らうと、「セイヤッ!」っと一瞬の居合い抜刀によって八本の風車の中心付近、手前側の表羽根を僅かに斬る。
シャキンと静かに納刀。
すると各々の風車の紙羽根が回転の遠心力で花が開いたように瞬く間に赤から白に変化する。
見物客たちから感心と感動の拍手が一斉に湧き上がる。
見物料の小銭も飛び交う。
見事な剣さばきであった。
「とりあえず今夜はこれで旅籠に泊まれそうだな」
汁之丞は妻に笑い掛けると風車屋に礼を告げ、代金と分け前を手渡す。
「それじゃあ旅籠を探すか!」
ところが祭りを取り仕切る地元のチンピラが因縁を付けに来た。
「やいやい! 兄ちゃんよぅ! 誰に断って商売してやがんでぃ!」
汁之丞は
「こりゃいけねぇや!」
とトワの手を取って走り出す。
そうして逃げながらも振り返り、風車をシュッとチンピラに向けて投げる。
「ごめんよ! これはショバ代だよ!」
放たれた風車はチンピラの歪んだ髷に刺さる。
だが風車の持ち手には小銭十五枚ばかりが通っている。
「ひゃっ!」っと驚き腰を抜かすチンピラ。
それを見た人々はまた拍手を贈る。
祭り囃子が流れ、大衆の雑踏の波に三田井汁之丞とトワの姿は消えるのであった。
石川原尊道と家臣らは海に歩く大トカゲを馬を駆って静かに追う。
「・・・うぬぅ。確かに大トカゲじゃ。世に言う、龍という奴やも知れぬ」
「殿、いかがなさいましょう?」
「・・・とにかくあの大トカゲが上陸せぬよう考えねばなるまい。皆は奴を見張ってくれ。わしは一旦、城に戻って策を練る!」
「はっ!」
ガゥジーラは波飛沫を立てながら悠々と夏の沖を行く。
場所は変わって、江戸城、天守閣。
遠眼鏡で城下の民を見守る者がいる。
「天下泰平、実に素晴らしい!」
遠眼鏡を置き、振り返りながら背後に座っているお年寄りに語り掛ける。
「時に爺、余が所望した鼻の長い南蛮の珍獣、エレフアントなる巨大動物は、まだ来ぬのか?」
「綱吉殿、今しばらくお待ちくだされ。あと七日、八日の内に江戸に到着予定と使いの者が申しておりましたでな」
「う~む・・・エレフアント、エレフアント、待ち遠しいのう・・・」
そう話すのは時の将軍・徳川綱吉。
動物大好き上様である。
澄んだ青空の下、江戸城の瓦屋根で雀らが戯れる。
一方、炎天下の田舎街道をふらりふらり歩くこちらの御老体は、かの有名な画家・菱川師宣、その人。
独り言を呟きながら山の街道を歩いている。
「何か、こう・・・誰も描いたことがないもんが描きたい・・・誰も描いてないもん・・・誰も・・・」
すれ違う人たちは、ぶつぶつうわ言、ふらふら上の空で徘徊する汚ならしい風体の老人を気の毒がったり、避けたり。
ザバーッ!
ザバーッ!
掻き分けられる波音が海風に乗って聴こえる。
真夏の灼熱太陽をジリジリ背鰭に受けてガゥジーラは海を行く。
「村長、あれは何だべぇか?」
村人のひとりが村長に尋ねる。
「わ、分からん。わしにも分からん・・・。爺さまも見たことないっちゅうとった・・・」
他の村人らも話している。
「しっかしよぅ、でっけえトカゲでねぇか!」
「おめ、ありゃでかすぎだべぇ!」
海岸線では役人や民衆がチョロチョロ移動しながら、いつ上陸するかと恐れながら着いて歩く。
山奥にある小さな峠の茶屋。
特にこの夏という暑苦しい季節は、行き交う旅人にとって心身の休憩の場となる大切な店である。
そんな茶屋の一角、次の見世物の噂を聞いて旅路を急ぐ三田井汁之丞夫婦がひと休みしている姿が見て取れる。
「三田井様、またですか! もう金子も少なくなったでしょう?」
茶屋娘が呆れている。
「お風ちゃん、僕は色んなものが見たいんだ! 世の中の珍しいものがね!」
娘が二人に冷たい茶を差し出す。
「トワさんも大変ですね。三田井様の物好き癖に振り回されて」
トワはうんざり顔。
「お風ちゃんからも言ってくださいよ。毎日毎日振り回されて、本当に大変なんだから!」
茶屋の主・治助も苦笑い。
「三田井様、奥方もお困りですよ。ほどほどになさってはいかがです?」
「いやいや。何でも五里ばかり先の寺に空を飛ぶ猫がいるらしくてね。今日中には是非見てみたいんだ!」
お風とトワが困った笑顔を見合わせる。
そんな会話を聞くとはなしに聞いてしまったのは離れた席に座っていた菱川翁。
「じゃトワ、行こうか! ・・・では、これにて、ごめん!」
会釈をして去る夫婦を見送る峠茶屋の二人。
「三田井様の奥方もお気の毒に。早う世継ぎも欲しかろうに」
「そうかも知れませんねお爺様。けれどトワ様はあれで幸せなのかも」
照り付ける太陽が真上を過ぎた。
旅人たちは流れる汗を拭く時間も惜しみつつ宿屋のある町へと急ぐ。
ゴツゴツした大小の石の点在する山道。
お地蔵さまが陽炎に揺らめいては通り過ぎる人間たちを見ている。
三田井夫妻が早足で歩いていると、後ろから声を掛けてくる年寄りがいる。
「待ってくだされ! 待ってくだされ! そこのお侍さま!」
立ち止まる汁之丞とトワ。
「? これは御老体、何か?」
三田井夫妻は知らぬが菱川師宣である。
「いえ、ね。さっきの茶屋で空飛ぶ猫の話を聞いたもんでね。わしもご一緒して構わんかね?」
「まぁ! お爺さんも珍しいもの好きなの?」
トワが夫と同属の登場に驚く。
「はいはい。わしゃこう見えて、しがない絵描きでな。誰も描いたことがないもんが描きたいのじゃよ」
汁之丞の表情がパッと明るくなる。
「これはこれは。同じ性分とは心強い。旅は道連れ。ささ。御一緒に参りましょうぞ、参りましょう!」
こうして三田井汁之丞と妻トワ、菱川師宣の三人の旅が始まった。
和歌山城の庭先で盆栽の観賞をしていた家老・坂上長右衛門の元に報せが入る。
「坂上様! ここにいらっしゃいましたか! 先ほど戻りました殿から海に化け物が出たとの報せがありました!」
汗だくの若い侍が駆け寄る。
「化けも・・・はぁ? 尊道殿も何を寝惚けとんねん! 寝言は寝てから言うもんやで!」
「いえ! 殿直々の見聞により、化け物は本当に居たのでございます! 但し化け物は幸いにして上陸はせず、海岸線沿いを南に向かって進んでいると!」
「ホンマかいな! うむむ・・・ほな、早よう徳川方に報せなアカンな! えらいこっちゃ!」
長右衛門は廊下を走り一目散に石川原尊道に会う。
大広間には既に十名ばかりが集まっている。
「殿!」
「お。長右衛門か。化け物の話は聞いたか?」
「聞きましたがな。早う徳川綱吉殿に言わなあきまへんで!」
「うむ。わしもそう思うてな。今、伝令を出すところじゃった。山田吾郎三!」
「は!」
「化け物は紀伊へ向かっておるようだ。先ずは紀伊と伊勢の各奉行へ早急に伝えよ!」
「承知しました! 早速!」
「沢城兵衛。そちは尾張方面に向かえ!」
尊道は更に尾張、三河等の各藩へ巨大生物出現の報せの早馬を走らせる。
「皆の者、急げ! 龍の襲来である!」
伝令役人を乗せた早馬が砂埃を上げて街道をひた走る!
パカラン! パカラン! パカラン!
「退け! 退け! 急ぎである!」
町の飯屋から三人の笑い声が聞こえる。
「・・・しかし汁之丞とは変わった御名前ですな」
「ええ。母上が、汁物は体と心を温め、食には不可欠である。世の中に対し、かような者になれと名付けましてな」
絵描き翁がお椀を傾け味噌汁をすする。
「面白い母君ですな」
「で、御老体は絵を描かれるとか?」
きゅうりの漬け物を口にした汁之丞が尋ねる。
「いいえ、売れない絵描きですじゃ。諸国を旅しながら珍しいものを絵に残したくて、旅、旅、旅で、あっと言う間にこの歳です」
「お爺さん、御名前は?」
トワが質問する。
「わしの本名は藤原吉兵衛」
「藤原・・・吉兵衛・・・さん?」
トワが復唱する。
汁之丞が更に尋ねる。
「して、筆名は?」
「ああ~・・・ 法螺狗斎と申す」
「ホラクサイ?」
二人が首を傾げる。
「はい。ホラ吹きの絵を描きますゆえ」
「ホラ絵か! ならば明日もホラ話を聞きに参りましょう!」
「もう! 御二人ともほどほどにお願いいたします!」
「おお、そうじゃ、長右衛門、上様に火急の報告となれば早馬より早い竜巻の鹿兵じゃ! 鹿兵を呼べ!」
石川原尊道は江戸城の徳川綱吉へ最速の足を持つ忍者を走らせることを思い立つ。
「鹿兵め、ここにおります」
押し入れの襖がいきなりバンッ!と開くと、くるくる回る忍者が参上。
「あひゃ~!」
長右衛門が驚き真後ろにひっくり返る。
「おお。そこに居ったか。江戸までそちの速足を頼む。巨大な化け物の一件、上様へ報告じゃ」
「は。では行って参ります」
鹿兵は書状を受け取り一礼すると、小さな竜巻を起こし、一瞬のうちに姿を消す。
サササササ!
鹿兵が猛烈な勢いで街道を、山を、市中を駆け抜ける!
「お泊まりはこちらにどうぞ! いらっしゃいませ~! いらっ・・・きゃっ!?」
旅籠の店先で旅人を呼び込む女中が乱れた袂を押さえ、脇をかすめる疾風(鹿兵)に驚く。
「な、何なのよ、今の風は!?」
竜巻の鹿兵が風になって走る。
ザバーッ。
ザバーッ。
陽は沈み、夜の帳が落ちる。
ガゥジーラは人間との接触を避けるかのように、遠浅の沖合いを東へ・・・江戸方面へと歩みを進める。
人々は息を潜め、大トカゲが上陸せぬように祈りながら見守っている。
浜の松林から臨む夜の海に、大怪獣の黒い影が波音と共に不気味に移動する。
ザザザザザ・・・。
ザザザザザ・・・。