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第5話
このままだと、彼を殺してしまうかもしれない
そう思ってしまったのは、それほど抑えられなくなってしまったのは、初めてだった
全くいいことじゃない
気づいてしまった
彼が、私の嫌いなあいつに似ていると
最初からそうだったわけじゃない
でも彼は薄々感じていたんだろう
私が彼を嫌いになるかもしれないと
「俺の印象が変わるのが怖い」
居酒屋に行く前にそう言った、彼の言葉の意味がわかったような気がした
心を開いて本性を見せたら、きっと私は彼を嫌うだろうと、勘づいていたのかもしれない
もしもあいつと同じなら
私は距離を置くべきだ
あいつと距離を置くことで、私は自分を救うことができた
変わらないやつを変えようとしても無駄
そんなことに時間を割くのも無駄
距離を置くのが一番
友達か恋人になると言ったが、そのどちらにもならないかもしれない
私は、私を守りたい