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第3話
居酒屋の個室で2人
いろんな話をした
楽しいエピソードもたくさん話したし、これで私の過去の印象も変わるだろうと思っていた
「だって今が全然楽しそうじゃないんですもん」
そう彼に言われてハッとした
当たっていた
言われたくなかった言葉かもしれない
本質を突きすぎていて、驚いて一瞬固まった
10年後生きているのが怖い
そうつい本音を言ってしまい、帰り道ずっと頭から離れなかった
一緒にいた彼のことより、隠して気付かないふりをしていた本当の自分のことを考えていた
私は、幸せになれていない
気づいていた
頑張って今の場所を見つけてもがいて、ずっと蓋をして見ないふりをして
そんな私を言い当てた
今思えば、彼は最初からそうだった
ずっと正直だったじゃないか
痛いくらいに馬鹿正直で失礼な男だ
私のどす黒い本音を口に出して私に言ってしまうようなやつだったんだ