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【異世界転移】をやってみた《4》 ―旅のおわり―  作者: とり
 第4話 はじまりの庵(いおり)
55/82

 55 愛ゆえに





   〇まえの回のあらすじです。


   『ユノがフローラの先生のことを聞く』






   


 緋色(ひいろ)の森林にしずけさが()りる。

 ユノは「今だ」と意気込(いきご)んでフローラの背なかに声をかけようとした。

「ふぎゃあ」

 ハルモニアが()く。

 肩車(かたぐるま)をしているフローラが、妹の視線を受けてちかくの(しげ)みを見やった。


 ユノは出しかけた声をのみこむ。

 (しげ)みのなかから、二頭(にとう)のちいさな動物があたまをのぞかせた。

 フゴフゴ。

 かおから突き出た三角(さんかく)(はな)をうごかしている。

(子ブタ?)

 とユノは(おも)った。

 だが出てきた()頭の()ブタ(仮)は、体毛が深いむらさき色であり、ところどころに黒い模様(もよう)がある。

「ぎゃあ~」

 ごきげんな笑顔(えがお)になって、ハルモニアが(あね)のあたまから仔ブタたちに飛んでいく。

 黒曜石(こくようせき)のような色味(いろみ)の毛皮の仔ブタたちは、さいしょビックリしたふうに身をすくめた。

 が、相手(あいて)に敵意がないとさとったようで、すぐにフゴフゴと小竜(こりゅう)になつく。


(かっ、かわいいなあ~)

 ハルモニアとじゃれ()う黒い仔ブタたちに、ユノは目を()キラキラさせる。となりではフローラも(おな)じように陥落(かんらく)――される寸前(すんぜん)だった。

「うん。めっちゃカワイイわね」

「いいなあ~。カメラがあればよかったのに」


 メルクリウスに近代機器がないのを心底()やみながら、ユノは(けもの)の子どもたちの(あい)くるしいようすを、(あな)のあくほどにみつめる。

「その『カメラ』ってのはよくわかんないけど……。冷静になったほうがいいわよ、ユノ」

「なにが?」

 どうゆうこと?

 とふにゃけた表情(ひょうじょう)のまま振りむくユノに、フローラは(よこ)から半眼(はんがん)()げかえした。ことばをえらぶ。


「この仔たちは【キングボア】の子ども。でもって、子どもがここにいるってことは……」

(おや)もちかくにいるってこと!?」

 地球(ちきゅう)にいたとき、テレビのニュースでツキノワグマへの注意喚起(ちゅういかんき)をみたことがある。

 ()グマはいかにもヌイグルミめいていて、観光旅行客(りょこうきゃく)などが「かわいいかわいい」と()でようとしたり写真を()ろうとしたりすることがあるようだが、それはキケンだからやめてほしいと、地域のハンターなどが()びかけている。


 【キングボア】というのが、()たしてクマと(おな)習性(しゅうせい)を持つかどうかは分からない。

 だがユノは、()(あせ)をたらすフローラから、それとなく「似ているのだ」と判断(はんだん)した。


 ――(おや)グマは、人間が()グマのそばにやってくると、我が子を(まも)るために攻撃的になるという。

 そのパワーのつよさたるや、クマパンチをして自動車のフロントガラスを(たた)()るいきおいである。


 ――ぶるるおおお!


 ハルモニアとたわむれる()イノシシたちに、ユノが戦々恐々(せんせんきょうきょう)としはじめた矢先(やさき)

 (みみ)をつんざく(けもの)怒号(どごう)と、風と大地を()るがす足音(あしおと)が、ふたりの背後(はいご)に接近した。








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