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【異世界転移】をやってみた《4》 ―旅のおわり―  作者: とり
 第4話 はじまりの庵(いおり)
53/82

 53 覇王の冠



   〇まえの回のあらすじです。

   『ユノが【覇王(はおう)(かんむり)】を手に入れる』










 ユノのもの知りた()な視線を察して、フローラは講釈(こうしゃく)した。

「【覇王(はおう)(かんむり)】っつーのはね、魔石(ジェム)をふくむあらゆる【魔法(まほう)】の攻撃を、ぜんぶ無力化(むりょくか)するっていうすぐれものなの」

「ぜんぶってことは……回復も?」

 ちちちとフローラが、たずねるユノに人差し指を振る。


「そこが、わたしがその(かんむり)を『すぐれもの』という所以(ゆえん)なわけ」

「はあ」

「そいつはね、装備者にとって有益(ゆうえき)(じゅつ)だけは、ちゃんと効果を受けてくれるのよ」

「ひえ~……」

 自分でもわかるくらい(ほう)けたふうにくちを()けて、ただただユノは(きょう)(たん)するばかり。

 さきほどフローラに着けてもらった、円環状(えんかんじょう)のカブトに触れる。中央に金の玉石(ぎょくせき)()めたひたいの防具(ぼうぐ)は、(いおり)(まど)からそそぐ夕刻(ゆうこく)(くれない)を照りかえして、(ねつ)っぽい(しゅ)()びていた。


「まえから思ってたけど、きみ、もの知りだよね。()()によらず」

「見た目どおりよ。あんたねー、こんなに知性に()ちあふれた御尊顔(ごそんがん)をまえにして、なに言ってくれちゃってんのよ」

 ユノの(はな)をつまんでぐいぐい引っぱりながら、フローラは(りょう)碧眼(へきがん)をすぼめた。

 銀髪(ぎんぱつ)のおかっぱ(あたま)少女(しょうじょ)のかわいい(かお)至近(しきん)に感じて、ユノは「ふがふが」戸惑(とまど)う。


学都(がくと)にいたときに世話になったひとがいてね」

「どんなひとだったの?」

 ふと、(そと)を気にしてフローラは立ちあがった。

 片腕に妹のハルモニアをかかえて、ユノのカバンからいくらかの魔石(ませき)を取りあげる。


「先生のことは、(はな)してもいいんだけどさ。帰ってきてからでいい? いい加減に時間が()してるわ。獲物(えもの)()つけやすいうちに、こっちも出かけておきたいのよね」

「あ、そっか」

 シュンとユノが(あたま)をさげるのに、フローラはかるく手を振って(きびす)をかえした。

「代金はあとでいいわよね?」

 もらった【魔石(ジェム)】をいくつか()せて、うしろにしたユノに了解(りょうかい)をとる。

「うん。――いや、ちょっと待って」


 ユノは立ちあがった。

 窓辺(まどべ)に立てていたエクスカリバーをつかみ、(つか)直接(ちょくせつ)ひっかけた(ぬの)(ひも)を、肩に袈裟(けさ)けにして背負(せお)う。

 エクスカリバーに(さや)はないのだ。もう、この()には。

「ボクも行っていい? なんなら、手伝うよ」

「来てもいいけど、手伝うのはダメよ」

「どうして」

「リリコが『ほかの人を()()むな』って言ったのは、そういうことだから」


 にべもなく(ことわ)られたものの、「ついて来るのはかまわない」ということで、ユノはフローラと共に森へ出ることにした。





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