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【異世界転移】をやってみた《4》 ―旅のおわり―  作者: とり
 第4話 はじまりの庵(いおり)
52/82

 52 冠を戴く




   〇まえの回のあらすじです。

    『フローラがユノに【魔石(ジェム)】を売ってもらうようたのむ』






   



(フローラにも、なにかを『(うれ)う』って気持ちがあるのかな)

 あかね色のせまい部屋のなかで、わずかに睫毛(まつげ)陰影(いんえい)をまとう少女の青い(あおい)(ひとみ)に、ユノはふとそんな『感傷(かんしょう)』めいたものをいだく。

 フローラはガラガラとユノのカバンをあさった。

 黒や(みどり)(そら)色の【魔石(ジェム)】を、つぎつぎに引っぱり出す。

「これとこれと……これももらっていこうかしら」

(……やっぱ気のせいか)

 夕日(ゆうひ)の色が、ユノをちょっぴりセンチメンタルにさせていただけのようだった。


「あっ、なによこれ」

 ぐちゃぐちゃに()きまわしてしまったために、カバンの奥底(おくそこ)()いやってしまっていた『もの』にフローラは今やっと気がついた。

 つかみ出したのは、金色の宝玉(ほうぎょく)。ユノがかのじょに正体(しょうたい)()こうとしていたアイテムだ。

(知っていればいいけど)

 あさっての方角(ほうがく)をむいてくちの(はし)を引きつらせるユノ。


 こちらが問うまでもなく、フローラの手がのびてきて、そこにつかんだ宝玉(ほうぎょく)をかれの黒いまえがみにかくれたひたいに()てがった。

「なーんでこんないいものを装備してないのよ。もったいなーい」

 キュウンッ!

 宝玉(ほうぎょく)がユノのおでこの中心(ちゅうしん)に触れ、(おと)をたてる。


 金色の光沢(こうたく)が、一瞬(いっしゅん)まばゆい閃光を(はっ)した。

 鳥が両翼(りょうよく)をひろげるように、(たま)の左右から金属のフレームをのばす。それはユノのひたいをグルリとかこみ、後頭部でカチンと連結した。

 (えん)環状(かんじょう)のカブト。

「えッ!?」

 あたまにのしかかる心地よい金属の(おも)みに、ユノはギョッとした。()のまえの少女(しょうじょ)にわめく。


「これ……! フローラ、どういうものか知ってたの?」

「あったりまえでしょ。わたしをだれだと(おも)ってんのよ」


  1・おひめさま。

  2・冒険者(ぼうけんしゃ)

  3・ドロボウ。


(……どれにしようかな)

 ユノはこたえにまよった。すると横合(よこあ)いから、ハルモニアが飛んでくる。

「ぎゃっ、ぎゃあ」

「あら、ハル。あんたもこれがほしいの?」

 やって来た黄金(おうごん)のちいさな(りゅう)を抱きとめて、フローラは(よっ)つのツノの()えたあたまを()でてやる。


「じゃ、つけてすぐでなんだけど、はずしてもらいましょうか」

「いっ、イヤだよ。ボクのだもん。ってゆーか、これはいったいなんなのさ」

「……ハルが(かな)しそうなかおをしているわ……」

「ボクのはなしを聞いてよっ。だいたい、ハルモニアには代わりにヘンな(たね)をあげたんだから、それでチャラでしょ」

「ふぎゃあ」

 こういうときだけあまえた声を出してすがりついてくるハルモニアに、ここぞとばかりにフローラは抱っこしてあまやかしながら。


「わーかった。じゃあ教えてあげるわよ。あんたのつけているソレは、【覇王(はおう)(かんむり)】。(ちょう)(きゅう)の【マジック・アイテム】よ」

「覇王? 超ド級?」

 まぬけにくちをぱくぱくさせて聞きかえすユノに、フローラは妹のあたまにアゴを()いて、「そうそう」と()をほそめた。






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