表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【異世界転移】をやってみた《4》 ―旅のおわり―  作者: とり
 第4話 はじまりの庵(いおり)
51/82

 51 魔石の交換



   〇まえの回のあらすじです。

    『ユノがフローラから食べものをもらった』





   



 『狩りに行くついでに()っただけ』とのたまう少女に、どう切りだしたものかまよったが、数秒(すうびょう)逡巡(しゅんじゅん)のすえに、ユノは正直(しょうじき)()くことにした。

「それで……ボクが()きるまで、フローラは()ってたの?」

「ええ」


 半身(はんみ)をひねってイスの背もたれに左腕をひっかけた体勢で、フローラは臆面(おくめん)なくこたえる。

 訊いたユノのほうが気恥(きは)ずかしくなった。

 もうすこし、つっこんでたずねてみる。

「なんで?」

「【魔石(ジェム)】を売ってもらおうかと(おも)ってね」

「ジェムを?」


 ピョイとイスから()りて、(ゆか)にほうり出してあるユノの肩かけカバンをフローラがあける。

 ユノもあわてて寝台(しんだい)から飛びおりて、フローラのそばにしゃがみ込んだ。勝手に()っていかれないように見張(みは)る。かのじょには前科があるのだ。

「うーん、やっぱりわたしの見立(みた)てたとおり、いっぱい()め込んでてくれたわねー」

「きみのためじゃないよ」

「わーかってるって。(れい)の『使いたくない』(びょう)でしょ?」

「……それだけじゃなくってさ」

「ほかにまだなんかあんの?」


 カバンから(りょう)()いっぱいに【魔石(ジェム)】をつかみ出して、(あか)や黄の宝石(ほうせき)が手と手のすきまからこぼれ()ちるのをそのままに、フローラはユノの横顔(よこがお)注視(ちゅうし)した。

 「うん」とユノは首肯(しゅこう)する。


「換金は、するつもりだったんだ。でも、(おう)()をはなれてからは、ひとのいる(まち)がほとんどなくって」

「ひとが?」

「……廃墟(はいきょ)になってたんだ。【冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド】も、機能(きのう)していないところが(おお)かった。モンスターに(おそ)われたってだけじゃなくって、『(きょう)(かい)』の(だん)(あつ)がひどくなっているっていうのもある」

「【(りゅう)神教(じんきょう)】か。連中(れんちゅう)もなかなかメイワクなことしてくれるわね」

 てのひらにあまっていたいくつかの魔力(まりょく)の石を、ザラーッとユノのカバンにかえして、フローラはまぶたを()せる。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ