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【異世界転移】をやってみた《4》 ―旅のおわり―  作者: とり
 第4話 はじまりの庵(いおり)
50/82

 50 ついで






   〇まえの回のあらすじです。

   『ユノが目覚(めざ)めると、家に【フローラ】と【ハルモニア】がいた』












「フローラ、いつからいたの?」

十分(じゅっぷん)くらいまえかな」

 『くるり』とイスのうえでからだの()きをかえて、フローラは正当なかたちにすわりなおした。つまり、背もたれをまえにするのをやめた。


 テーブルの対面(たいめん)には金の小竜(こりゅう)【ハルモニア】がいて、果実(かじつ)(すい)をストローで「チュー」と()んでいる。

 コップもジュースも、ふたりが持ってきたものだった。

 土竃(どべっつい)のかたわらにカンタンな台があるのだが、そこにお皿や(さかずき)、フォークやスプーンなどの食器しょっきが、敷いたぬののうえに()かれている。


 くだものや野菜、たまごのはいったカゴもあった。

「きみが持ってきてくれたの?」

「そーよ。感謝なさい」

(これさえなきゃね……)

 ユノは半眼(はんがん)になって、ひきつった笑みをかえす。

「ま、ついでの用事(ようじ)だったからいいわよ。ここって(とお)りがかりだったから、うちであまってるぶんの食糧(しょくりょう)を持ってきてあげただけ」

「なんだっていいよ。たすかる」


 【(さと)】の【妖精(ようせい)】たちとは、どう考えてもコミュニケーションが取れそうもないユノだった。

 旅用(たびよう)の『携帯食(レーション)』もほぼ底を尽きていたいま、食べものをもらえるというのはありがたい。

「ところでフローラ、ハルモニアも……。もうセレンさんのてつだいは()わったの?」

「あらかたね」

「じゃあ、なんの『ついで』なのさ」

「あんた、つまんないこと気にすんのね」


 心底あきれたかおつきになって、フローラは(かみ)()めでひろくしたおでこに自身の指を()しあてた。かつてユノとパンドラにもらった髪かざりだ。

「『狩り』に行くのよ。リリコが言ってたでしょ。『【キングボア】のまる()きが食べたーい』って」

(そんな言いかただったかなあ)


 両手(りょうて)()わせて『おねだり』のポーズ――リリコのマネらしい――をするフローラに、ユノはこころのなかだけで苦笑いをした。







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