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35 ただいま
〇まえの回のあらすじです。
『ようせいの世界のようす』
「ただいま帰ったわよー」
【霊樹の里】のまんなかに立っている巨大な【樹】。つる性の植物で御簾のできた入りぐちに、フローラのあいさつがすべり込む。
セレンのながい耳がぴくりと動いた。だがその反応は、小動物のおびえたようなふるえではなく、肉食獣めいた『攻撃性』に満ちている。
外敵を警戒し、牙を剥くための。
【霊樹の苗木】の紛失を知ってから、ずっと納戸にいたセレンである。ハルモニアがなにかしたという前提で【巫女】と【魔鳥】の少女にゆくえを追わせたものの、その推測がまちがいだということもある。
もしやどこか見落としている場所があるのではないか。
あってほしい――。
そう思って、手ずから荒らしてしまったもの置きを、整頓しなおしながらこちらでも検めて待っていた。
セレンは部屋を出て竜の寝所にもどる。
でかけるまえにパンドラがきっちりかたづけた寝床はもとどおり。クッションがまんなかにあり食材の木箱がカベ沿いに積まれた内装になおっていた。
「おかえりなさい」
セレンは杖をつきつつ帰ってきた者を出むかえる。
ふたりの少女と、もうひとり。
『地球』からまねいてひさしい少年――【ユノ】がいた。




