25 ぼったくり
・まえの回のあらすじです。
『ユノの持ちものを竜がほしがる』
「それをよこせ」と竜は手を動かした。
なんだ絵を見るのは『有料』だったのかとユノはだまされた気持ちになる。
「これはあげられないよ。もらってすぐだし……どんな効果があるのかも知れないし」
ひょっとしたら貴重なアイテムかもしれない。
今後も【冒険者】として活動をつづけていくユノにとっては、用途不明な道具は『いのち綱』となる可能性もあった。もちろん、無用の長物か、最悪わざわいをもたらす『疫病神』の危険性もあったが。
「ふー」
しょうがねえなあと突き出た鼻から息を吐くと、竜は「じゃあこっちをくれ」とユノの胸もとに両手をあてた。
防護用のあつでのシャツの奥に、おまもりのように吊った小ぶくろがある。
「ちょっと待ってね」
ユノは首にかけていた革ひもを持って、服のなかからひっぱりだす。
ちいさな巾着ぶくろのなかには、『種』がはいっている。人間界にあった【ミース】という村で、【テノン】という少年からもらったものだ。
それはテノンが【精霊】からゆずられた「ねがいのかなう種子」だった。
ユノはひもをかんぜんに首からはずし、自分の手のひらにのせる。
「これが欲しいの? でも、このなかにある『種』は、土を『えらぶ』んだ。だめなところに植えても、ぜったいに埋まらない。弾かれたみたいに飛びだしちゃう。ボクも道中にちょっとだけためしてみたんだけど、どこも合わなかった」
精霊の神殿から山をおりて、【バーライル】の町へ行く途上に、ユノはいくつかの土地で種が植えられるかやってみた。
種は植えた者のねがいをかなえる――とテノンは言っていたが、ねがいの成就うんぬんについてはさしたる興味はない。ただいつまでも持っていて、なにかのまちがいで悪党の手にわたってしまうのをおそれて、はやめに消費したかった。
ユノの質問に竜はコクコクと肯んずる。
どうせまんぞくにつかいこなせるものでもないし。
へんな人にうばわれるよりかは、邪気のないおさな子にあたえたほうがましだろう。ユノはそう考えた。
「わかった。いいよ、あげるよ」
金色の両手に、小ぶくろに入れたままの『種』をぽすんと置いた。
「ぎゃっぎゃっ」
と竜はわらって革ひもをにぎりしめる。
プランプラン右手にさせたまま、ほらあなの木戸をあけてそとへ飛びだしていく。




