14 魔を祓うちから
・まえの回のあらすじです。
『ヨルムンが、【エクスカリバー】にはじかれる』
【霊樹の杖】は弱い魔物を寄せつけない。
かつて、ユノが【メルクリウス】に来てすぐのころに、【アヴァロンの泉】から王都へのみちすがら、セレンがはなしてくれたことだ。
あのときは、「彼女の持つ杖にはそんな効果があるのか」くらいにしか思っていなかった。だがエクスカリバーにもまた、似たような能力があるのだとすると。
(あの杖は、ただの魔法の杖じゃない)
なぜ気づかなかったのか。
気にも留めなかったのか。
ユノは【コルタ】という町での一件のあと、すぐにうたがうべきだったのだ。
(『空間を絶つ能力』うんぬんもあるけど、それ以上に……あの杖は、【カルブリヌス】の一撃を受け止めたんだ)
一年ほどまえに、ユノはいちどセレンに斬りかかったことがある。エクスカリバーが、まだ【精霊】の加護を得る以前の幼体、【選定の剣】だったころに。
そのときセレンは、いともたやすくカルブリヌスの斬撃を霊樹の杖でふせいだ。
押しかえしすらしたのだ。
「さすがは、魔王さまを殺せるだけのちからを持つ武器ってわけだ。勇者さまにしかあつかえないと見える」
怪我をした右手を振って、ヨルムンが皮肉っぽく告げた。ニドヘーグに言って、【治癒魔法】をつかってもらう。
トカゲ男のやけどは、年少の同胞が無言で手をかざしただけでやさしいグリーンの光につつまれた。あっという間に、無傷の状態に回復する。